2015年11月27日金曜日

イギリスの衛兵さんたちの帽子の中はどうなっているの?

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ガイドのお仕事をしていると、お客様からいろんな質問をされます。
この間も「ガイドが使っている教科書ってどこで買えますか」とかね。
マニュアルがあって、単に覚えていることをそのまま話していると思う人も多いみたい。
車に乗ったままのパノラマツアーの場合なんかは特に。

資格を取ったときにも、もちろん勉強はたくさんしたんですが、実際は資格を取った後に勉強したことの方が量では勝っていると思います。
数え切れないほどの本を読んでいるし、歩いてみて興味のあることを調べたり、いきなり知らない建物に入っていって、そこで働いている人から情報をもらったり、勉強の仕方も決まったスタイルがあるわけではありません。
秋の終わりから春先にかけて、レクチャーに参加するガイドも多くいます。

私が所属しているJRTGA(リンクします)でもたくさんの勉強会を企画しています。
JRTGA以外にも、この時期にはAPTGギルドでもプログラムがたくさん。

先日もそんなレクチャーのひとつに参加してきました。
ロンドンの観光で人気1番の「衛兵さんたち」を勉強するレクチャー。

イギリスのブルーバッジガイドたちはガイドになる前に専門職に就いていた人たちも多くいます。
建築家とか、アーティスト、学校の先生や俳優なんかもいます。
今回は、イギリスの軍に今も所属しているブルーバッジガイドが講師を務めてくれました。
プロジェクターで写真を見ながらわかりやすい勉強会。
騎馬近衛兵や陸軍歩兵の歴史なども、ガイドとしてすでに知っていることよりさらに踏み込んだ内容で、とても面白かったです。

 レクチャーの終わりには実際に制服を触らせてくれました。
 これ、革のベルトです。
バックルの部分を拡大してみました。
これって手榴弾がモチーフなんですって。
ずっと植木だと思っていました(笑)

講師のグレッグさん。

気になるフワフワのお帽子も触らせてもらえました。

随分昔に、元軍隊というコーチドライバーから、この帽子には中に竹の内張りがあるということを聞いていました。
だから、お客さまにもそんな風にご案内していたんですが、実際に内側を見たり、触るのは初めて。

グレッグさんは平のポジション(失礼)なので、雄のクマの毛皮のお帽子です。
オフィサー以上になると、雌のクマの毛皮。
雌の方が毛が細く艶もあってきれいだそうです。
今度衛兵交代を見る時に、観察してみようっと。

さて、気になる内側。
あれ、竹の内張りじゃなくて、革の内張りだよ?
これがあるから深くズレてこないようになってるんだ。
へぇ~。


そして、そのさらに内側を覗くと…

あった~!!
この素材はイギリスでウィッカーとよばれているもの。
ウィッカーは藤のツルとか葦や竹、柳なんかが使われます。
かごや家具なんかをウィッカーで作ったりもします。

イギリスの衛兵さんといえば、この帽子抜きには語れない。

でも動物の毛皮の使用を反対する人も多いそうです。
クマの毛皮一匹分から一つの帽子しか作られないんですって。
毛皮はカナダの森で間引きされるクマのものだそうで、わざわざ毛皮を取るために育てられているわけではないし、また、そのために殺しているわけでもないそう。

アイコニックなこの帽子、オークションサイトなどに流れないように、中にはマイクロチップが入っていて管理されているそうです。

軍服も、この帽子やベルトも、そして靴さえも軍の備品。
ということで退軍後は返却しなくてはいけない。

だから、変な話、誰かのお古を支給されることもあるんですって。
白い革を白く保ったり、靴磨きがどんなに大変かとか、面白い話が満載でした。

衛兵の交代式を観たい人は、おすすめの場所を以前記事にしたのでどうぞ。
衛兵交代式のベストポジション(リンクします)

冬場は赤い制服ではなくて、グレーのコートを着ています。
今までコートの中は赤い制服を着ていると案内していましたが、今回のレクチャーでそれが間違いだと分かりました。

グレーのコートはすごくタイトなので、その下には Tシャツくらいしか着る余裕はないそうです。




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4 件のコメント:

phary さんのコメント...


ということは、どんなことがあっても滅多なことでは大衆の面前でコートを脱ぐことができないというわけですね。それとも衛兵さん用の公式Tシャツとかあるのでしょうか?
いくらコートを着るとはいえ、下がそんな薄着でいいというのはいかにロンドンが暖かいかってことですよね。おドイツの冬ではそうは行きません。

miki bartley さんのコメント...

Pharyさん、こんにちは。ブログの中でコートという表現を使いましたが、正式には冬の儀式用の制服というカンジです。なので個人的に外観の変更はできません。例えば部分的に脱ぐ(ボタンをかけないなどを含めて)とかマフラーを上から巻くとか。戦争で使っている軍服ではないので、重いし動きづらいし、正直、機能性にはかなり劣るようです。交替式とか宮殿前の見張りはせいぜい2時間まで。思いきり長い儀式だと4時間ぐらいだけど、普通は夏です。ドイツに比べると冬のロンドンの寒さは全く問題ないです。

ロッテンマイヤー さんのコメント...

帽子の構造、知りたかったんです。嬉しい。なるほどこんな感じだったのですね?一見にしかず。良くわかりました!不穏な雰囲気の世の中ですが、ロンドンはいかがですか?ベルリンは移民がますます増えて、ニュースではテロリスト容疑者が捕まったとかで、別に生活が変わった風では無いにしてもなんだか暗い感じがしました。(すりにもあったし)フランクフルトはそんなに変わりません。常に外国人が多い街ですからね。もしロンドンを旅行するとき気をつけなければならないことがあるなら、教えてください。今は何処も危険ですが、特にパリ、ロンドンはターゲットになっていると聞いています。

miki bartley さんのコメント...

ロッテンマイヤーさん、こんにちは。
スリの被害がお金だけで済んでよかったですね。
私もスリにあったことがありますが、気に入ったお財布がなくなったことの方がショックでした。
それにしても手品師みたい!
ロンドンでもどこでも気を付けることは同じかとは思います。
2005年のテロの時は携帯電話が通じなくて困りました。
みんな公衆電話を探したっていう話を聞きました。
でもないんですよね、ほとんど。
その時よりも、もっと今はスマートフォンに依存していると思います。
正確な情報源を確保するのが大切だと思います。
携帯がつながらなくてもWifiがつながる可能性もあるので、メトロポリタンポリスやBBCのツイッターアカウントやアプリなど入れておくといいと思います。
パリのテロの後では、レストランやお店の非常口を入店後即チェックするようにしています。
これはもう2005年からやってることですけど、地下鉄や列車では大きな荷物を見たら「これ誰の荷物ですか」って確かめるようにしています。
荷物の隣にいる人のものだって限らないですからね。
(通報するまでおかしいわけじゃないけど)挙動不審な人がいたら列車を降りたり車両を変わったりします。
今のところ実行しているのはそれくらいかなぁ。