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2026年9月21日月曜日

ロンドン彫刻ウィーク


ロンドン彫刻ウィークが19日から始まっています。
27日までの1週間、ロンドンの新しい彫刻がフィーチャーされる祭典。

今日ここで紹介するのはトラファルガー広場の最新彫刻「青い服の女性」です。

背景が曇り空なのでちょっと映えませんが、晴れているときに見ればとってもきれい。
「じゃあそんな時に撮ってよ」と思いました?
ちゃんと自分で撮った写真を載せているだけえらいと思って(笑)

ロンドンを代表する広場、トラファルガー広場。
この広場には中心のネルソン提督のコラム(約60m)を囲むように4つの台座があります。
そのうち北西の台座は「第4の台座(4th Plinth)」とよばれて定期的にその上のアートが変わります。


「青い服の女性」はチャバララ・セルフというアーティストの作品。
彼女は、絵画、版画、彫刻など、様々な分野で活動するアーティストで、特に女性を中心とした人体表現で有名。
ニューヨーク生まれでニューヨークを拠点に活動していますから、コスモポリタンな都会をよく理解している人。
彼女のこの作品に対するコメントを紹介します。

「私の作品『青い服の女性』は、多くの人が共感できる女性像です。彼女は崇拝すべき偶像でも、記念すべき歴史上の人物でもありません。広場を日々賑わう多くの人々と同じように、ごく普通の女性です。彼女は野心と目的意識、そして楽観主義を胸に、私たちの未来へと力強く歩みを進めています。ロンドンは常に私にとって刺激的な街であり、人生における数々の節目はロンドンのおかげです。初めての美術館での個展も、初めての大規模なギャラリー展も、ここロンドンで開催されました。ロンドンは真にグローバルな大都市だと認識するようになり、『青い服の女性』はこの街の洗練された雰囲気を反映しています。」

ロンドンの第4の台座コミッションから注文を受けてこの広場のために作られた作品。
青い色は古代から使われているラピスラズリを意識しているそうです。
ニュースで見た時は「フーン」って思ったんですが、実際目にするとその美しさに心を打たれました。
彼女の手首のブレスレットもとってもきれい。
像のほかの部分が全てマットなのに、手作りのグラスで製作されたブレスレットとネックレス、そしてピアスだけが透明感があって近くで見ると特に印象を受けます。
前進する力強さや意志の強さなど、ぜひ近づいて鑑賞してください。
オリジナルのタイトルは「Lady in Blue」
Lady というのは英国の称号でもあります。
貴族の家に生まれた女性という意味。
淑女と訳すときもあります。
私はこの作品ではあえて女性という言葉にしました。
その方が彼女の言う、都会のとある女性という説明にフィットすると思いました。

ロンドンに住んでいると、こういった無料の街角アートを楽しむことができて「幸せだなぁって思います。
作品によっては好き嫌いはあるでしょうが、そういった意見が自由に交わせるところもロンドンが大好きな理由のひとつです。


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2026年9月5日土曜日

今度こそゴッホ!


ということで、改めてゴッホのおはなし。

パッと見れば痛々しい絵ですよね。
普通、けがをしたことがはっきりわかる自画像を描こうなんて気になります?
しかも、そのけがは自傷行為。
いったいどんな気持ちでゴッホは筆をとったんでしょう?

「ゴーギャンに捨てられたかわいそうな僕を見て」って自虐的に描いたのかな?
でも、もしそうだとすれば、背景にごちゃごちゃ他のものを入れずに、その当時ゴッホが気に入っていた、補色を壁紙のような背景にして、もっと自分を際立たせることもできたはず。

ゴッホがこの絵を描いたのは1889年の1月7日直後だと言われています。
ゴーギャンとの口論の後、自分の耳を切った事件が12月23日なので、その約2週間後です。

ゴッホが切った耳を紙に包んでなじみの売春宿に託したことから警察が介入して、部屋で意識のないゴッホが発見されるといった経緯。
発見された後、彼はアルルの私立病院に2週間ほど入院することになりますが、そこを退院したのが1月7日というわけです。

1月7日に書かれたテオへの手紙では友人のローランがよくしてくれたことや、その日の夕食を共にしたことと併せて、翌日から絵を描き始めるつもりであることにも触れています。
その同じ手紙で、ゴッホは静物画から始めるつもりだと書いているのですが、実際にはこの自画像を描いて画家をあきらめない決意を表したようです。
自分との約束。

バックグラウンドを見てください。

包帯の側にイーゼルが置かれているのが見えますよね。
キャンバスにはまだ色がない。
つまりこれから描くってことじゃないかな。

そして右手側には浮世絵らしいものが見えます。

この作品は実際にゴッホが持っていたもの。
でも、現在では失われてしまったそうです。

大英博物館で広重展があった時にもゴッホと浮世絵についての紹介がありました(リンクします)

この自画像に浮世絵を入れたのは、次に描く題材を示唆したんだと思います。

次に描いたのはカニ。
こちらは現在ロンドンのナショナルギャラリーに展示されています。
実はナショナルギャラリーの所蔵ではなくプライベートのコレクションからのローンです。

弟テオからお金だけではなく、画材やその他のものなども送ってもらっていたゴッホですが、1888年の9月にもいろいろと「日本のもの」を受け取っています。
9月22日のテオあての手紙にそのお礼と Le Japon Artistique(日本の芸術を紹介した雑誌) の編集者についての言及があります。

テオからこの雑誌を送ってもらっていたことは何かで読んだことがあるので、私はてっきり蟹の表紙の号を思い浮かべていました。
インパクトがあるし、なんとなくゴッホが好きそうな感じがしたので。

この浮世絵は leJapon の表紙のひとつで八島岳亭という人の作品。
でも調べてみたら、ゴッホが題材のひらめきを受けたものではないみたい。
というのもこの浮世絵が表紙だったのは1890年の4月号の表紙でした。

ということは1889年の1月に描かれた絵のインスピレーションにはなり得ません。
なので、テオが送ったという1888年の5月号と6月号を調べてみました。
この雑誌、5月が初版なので6月号が2号目なんです。←ちょっとややこしい(笑)
ここに出てきます。
これは後に発売された総集編みたいなものの51ページ目。

そしてこちらが57ページ目の一部分。
ゴッホが描いた蟹とはずいぶん違いますよね。
そりゃそうです。
アルルはプロヴァンス地方なので地中海が一番近い。
ゴッホは地中海で普通に捕れる蟹を市場で買ってきたそうです。
日本の蟹とは違って当然。

ということで、ゴーギャンがいなくなった後も頑張ろうって思って描いたゴッホの自画像が最初に紹介したコートールドのものということなんです。
そして、ちゃんと静物画も描いた。

それなのに、世間はゴッホに冷たい。
アルルの住人達がゴッホを追放する運動を始めたんです。
30人以上の署名を集めてゴッホを糾弾する嘆願書が作られてアルルの市長に届けられたのが1889年2月。
「狂った赤毛」とあだ名されていた外国人のゴッホは、嘆願書にも間違った名前が記載されていました。
酔うと何をするかわからない危険人物で女性や子供が危ないので隔離か追放を望むという訴えでした。
嘆願書の後はすぐに病院の独房に隔離され、黄色い家は警察によって封鎖されてしまいます。
その後ゴッホはサンレミの療養所に移る決心をするのでした。

以前書いたゴッホ関連の記事をリンクしますね。
お時間があればどうぞ😉





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2026年8月30日日曜日

包帯を巻いたゴッホのつもりだったんだけど…

この有名な絵はロンドンにあります。


ナショナルギャラリーではない。
「え、聞いたことないかも」
そんな人もいるかもしれません。
大英博物館やナショナルギャラリーに比べると知名度は今ひとつかもしれませんが、とっても素敵なギャラリーのひとつです。

特に建物がいい。
天井からの採光。
その光がらせん階段を照らします。
印象派の絵画が目的であれば最上階のお部屋。
なのでリフトで一気に3階まで上がることもできます。
でも、階段もぜひ体験してほしいです。
私は高所恐怖症なので、この写真は恐怖と戦いながらかなり苦労して撮りました(笑)
ブロガー魂(爆)

こちらも有名な絵です。
マネの晩年の作品。
そのうちちゃんと記事にします(ホントか?)
誰もいないので好きなだけ見とれていても大丈夫。

他にもゴーギャンやセザンヌといったおなじみの画家の作品が並んでいます。


印象派の絵がたくさんある、こぢんまりした美術館。
ただ、有料なんですよね。

でも、だから、国立美術館などの無料の場所と比較するとすいています。
なのでゆったりと絵を楽しみたい人にお勧めです。

あれは、ここに来たかった日、早く着きすぎてしまって 、まだ開館前だったからお散歩に行ったんです。

コートールドがある場所はサマセットハウスという大きな建物の中で、ウォータールー駅からウォータールー橋を渡ったらすぐ横。
中庭がある大きなサマセットハウスの北西角、北側からアプローチするゲートの中といった方がわかりやすいかも。
入り口が地味なので通り過ぎてしまう人が多いんです(笑)

何だか長くなってしまったので、ゴッホの絵は次回!


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2026年5月5日火曜日

バンクシーの最新作を見てきたよ!

先月(2026年4月29日)の未明に、バンクシーのアート「盲目の愛国者」が設置されました。

描かれたと書かずに設置されたと書いた理由は、彼のたくさんの作品が壁の落書きスタイルなのに対して、今回は 3D の像だからです。

ちょうどお仕事の開始場所が近くだったので、少し早めに行って写真を撮ってきました。

場所はピカデリ・サーカスからリージェント通りを南に降りてパルマル通りと交差するところ。

ナイチンゲール像を含む、クリミア戦争の記念碑の南側です。

「どの角度から見るのがいいかなぁ」って、ぐるりと回りながら写真をいろいろ撮ってきました。

像は南を向いています。
その像を南東から見上げたらこんな感じ。
旗が顔を覆っているところ→つまりこの人には何も見えない。
踏み出した左足の下には台座がない→つまり台から落ちてしまう。
それが一番わかりやすい角度だと思います。

後ろの覆いがかかっている建物はこのエリアに多い紳士クラブのひとつでアセニウムクラブ。
そして像の背後にはクリミア戦争の記念像。
つまり、ザ・大英帝国って感じの場所です。

街路樹を背景に撮ってみた。
像の真横から西を向いて撮ってみた。
踏み出した足がよくわかりますね!

やっぱりかっこいいのは正面からかなぁ。
今度は南西側から撮ってみた。
どの角度も良いですねぇ(笑)←誰も褒めてくれないから自分で褒める(爆)

台座の北側にはサインも入っています。
誰が置いたのが枯れてしまったバラが添えられていました。

これまでのバンクシーの作品は消されてしまったり、逆にアクリルなどで保護されたり、作品によってその将来はいろいろだったのですが、この像があるウエストミンスター市の広報によれば「バンクシーの最新の彫刻作品がウェストミンスターに設置されたことを歓迎します。これは、活気に満ちた市の公共アートシーンに印象的な彩りを添えるものです」とのことです。
裁判所の脇に描かれた司法の不公平さを揶揄した落書きがすぐ消されてしまったのとはえらく対応が違いますね。
ということで、少なくともしばらくの間はそこに行けば見ることができるようです。

この像の解釈はタイトル通り「盲目の愛国者」
設置された場所も併せて色々考えさせられる像です。


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2026年4月13日月曜日

ブロッコリーがアートならレンガだってアート!

どう思いましたか?

「あれがアートだったら何だってアートじゃん」そう思う人もいるでしょうね。
しかも元々は本当にスーパーマーケットで買ってきたブロッコリーを半分に切って壁に貼り付けただけだったんですから。
「アート素材として野菜を使うなんて、素晴らしいアイディア」
そんな風に肯定的にとらえる人もいるかもしれません。


レンガ大のサイズのカラフルなアートが東ロンドンのいろんな場所で観られます。

この間のブロッコリーと共存している壁もある。

レンガは彼の作品だってわかりやすいんですが、実はレンガ以外のモチーフもあるので少し紹介しますね。

これ、なんだと思いますか?
東ロンドンの道の標識。
Scalater が道の名前で ST はストリートの略、E1というのはロンドンの郵便番号です。
その下にはベンガル語で通りの名前。
このエリアは移民の町として知られている場所のひとつ。
ロンドンの中華街に漢字で通りの名前が入っていたりするのですが、それと同じようなもの。
つまりベンガル語を話す人たちが多いエリアってことです。
ベンガル語は主にバングラデシュの人たちが使っている言葉で、このエリアにインド料理屋さんが多いのも頷ける。

ストリートアートに話を戻すと、道の標識の下にほぼ正方形の銀色のアートが見えます。
浮き彫り?
よく見ると頭でっかちな恐竜がスケートボードに乗っている化石風アート。
これもロンゾの作品です。

彼の生み出したキャラクターのひとつ、スケーターザウルスはこんな風に化石になったり、絵になったり、立体になったりして東ロンドンに点在しています。

スケーターザウルスに似ているキャラクターでお金を食べているモンスターもいる。
ロンゾはドイツから来たアーティストで2000年ごろからロンドンの街角に彼の作品が出始めたらしいのですが、お金を食べているものは不況をもじったもの。
ロンゾは有名なので企業とコラボしたりもするようです。

これなんかはコラボ作品でQRコードでウェブサイトに飛ぶことができるようになっているのが今ってカンジ!

レンガだけならわかりやすいけれど、こんな風にいろんなキャラクターが増えていったりコラボ作品が現れたりするので、ストリートアートは奥が深そう。


そういえば、以前バンクシーの動物シリーズのヤギを紹介したことがありました(リンクします)
このヤギさんは建物の改装でその後見られなくなってしまいました。
同じ時期に描かれたお猿さんのアートがこの近くにあるのですが、そちらも残念ながら消されてしまったようです。
何となくうっすらと跡が残っているのが見えますか?
下の写真と比べてみてください。


こんな風にストリートアートは姿を消してしまうものも少なくありません。
消されたり、上書きされるだけではなくて、風化して見えなくなってしまったり、壊れてしまったりするものも多い。

ただの落書きといってしまえばそれまでですが、いくつかのストリートアートはハッと何かを気付かせられたり、美しさを感じるものも多い。
どのあたりに落書きとアートの線を引くか、というのが難しい。
カラフルでグレーな世界、というのがぴったりなのかも。

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2026年3月30日月曜日

ブロッコリーはお金になるのか?

東ロンドンはストリートアートで有名です。

ストリートアートといえば「バンクシー」くらいしか知らないという人も多いはず。
私もそんな感じ(笑)

いろんなアーティストが個性を競い合っている感があるストリートアートですが、そんな中に一目で「あ、あのアーティストだ!」ってわかる人がいます。

彼の名前はエイドリアン・ボスウェル。
またの名をブロッコリーマン。
理由は彼がブロッコリーを題材にしているからです。

ほらね。

ブロッコリー? カリフラワーじゃなくて?

色付きなんです(笑)ほら、他の色もあるよ!

以前、彼が本物のブロッコリーをスーパーマーケットで買ってきて、それを半分に切ってあちこちに設置していたころ、酔っぱらった人たちが「ブロッコリー・チャレンジ」という罰ゲームで、その風雨にさらされた古くなったブロッコリーを食べるという遊びをしていたそうです。
酔っ払ったイギリス人は何をするかわからない😱
もちろんお腹を壊す人たちが続出。
その後本物のブロッコリーは使わなくなったそうです。


彼のブロッコリー・レーン・ギャラリー(というかショップ)は東ロンドンの ブリックレーンを入った小路ドレイウォークにあります。

お店の前にはブループラークもどきがあって1957年生まれらしい。


お願いしてツーショットしてきました。
アーティストというよりも気さくなおじさん。


このお店以外にもオンラインで彼のブロッコリーを買うことができます。


お店の前には巨大なドクター(ブロック)マーティンが置いてあって、靴ごと履けるようになっています。
こういうの好きなので試してみた!
他にも東ロンドンの街角ではいろんなアートを見ることができます。
お散歩に是非どうぞ!


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2025年12月8日月曜日

イギリスの孤児院

ロンドンの大英博物館そばにイギリスの孤児院博物館があります。
名前は「Foundling Hospital」
ホスピタルとありますが、病院というわけではなくて、「世話をする」というラテン語が元の言葉。
そして、わかりやすいように孤児と書きましたが、実際は棄児(つまり親がいないわけではない)捨て子という言い方もありますが、ちょっと響きが残酷。


この孤児院は1739年にトーマス・コーラムによって設立されました。
コーラムさんは海軍のキャプテンです。
なのでこの博物館の前には彼の銅像が置かれています。
ロンドンにある銅像のいくつかは音声を聞くことができるようになっているものがあって、これもそのひとつ。
そのためのQRコードやリンクが像に付けられています。

効くことができる銅像は他にもいろいろあるのでマップもどうぞ。



イギリスの孤児院がどんな理由で設立されたのか、どんな風に経営が成り立っていたのかを詳しく観ることができるので、18世紀のイギリス社会を勉強している人たちにとっても興味深い場所です。

ここで受け入れることのできる子どもたちの数は限られていたので、1768 年までは抽選で受け入れが決められていたそうです。
母親が袋からボールを​​引く抽選方式。
白いボールが出れば入所、オレンジ色のボールが出れば入所待機、黒いボールが出れば失格でした。
後に孤児院の入所は請願制度に変わったので、状況によって入所が検討されることになります。
結局は政府が児童の家庭養育を重視する法律を可決した後、この孤児院は1954年で閉鎖されて、現在、英国最古の児童慈善団体であるCoram(リンクします)に姿を変えました。


昔、子供を連れてきた(主に)母親は、将来こどもを引取りに来ることが前提でした。
子供たちは入所すると母親の保護のために名前を変えられてしまっていたので、親との絆として「トークン」とよばれるしるしを託すことが多かったそうです。
この博物館にはそういったトークンがたくさん展示されています。
使われることがなかったためにここに残っているってことで、見ていると悲しくなります。

ドラマに出てくるようなペンダントとかももちろんありますが、経済的な理由で連れてこられた子供の親が提供できるものは下着の切れ端や紙切れである場合も多かったそうです。


さて、コーラムさんはもちろん素晴らしい慈善家です。
でもこういったチャリティーは立ち上げることと同じかそれ以上に、持続させることの方が難しかったりします。

ここで登場するのが画家のホガース。
このブログでも彼のアートを紹介したことがあります。


ホガースはこの孤児院の中にギャラリーを設けました。
そこへ足を運ぶのが上流階級のファッションになって、チャリティーに賛同した彼らからたくさんのお金が集まります。
絵を展示するアーティストはパトロンを見つけるチャンス、かわいそうな子供たちのためにという建前ですが、実益を伴うことで孤児院は存続することができたのです。
音楽家のフレドリック・ヘンデルも孤児院にアートを提供したひとり。
彼の有名なメサイア(ハレルヤの合唱が有名な曲)がそうです。
孤児院のチャペル設立基金のためにメサイアのコンサートを行い、それが評判になって彼は孤児院の評議会メンバーに選ばれました。
その後も亡くなるまで毎年メサイアコンサートを開くようになり、その流れで孤児院では子供たちに合唱のクラスを設けて音楽の才能を伸ばすようになっていきます。

そういったかかわりから博物館の中には最上階にヘンデルのコーナーがあります。
ヘンデルの胸像はルービリヤック作。

耳元から音楽が聞こえる椅子も置いてありますからのんびりどうぞ。

このお部屋にはバロックの時代年表みないな趣向のテーブルがあります。

テーブルの引き出しの中にはヘンデルの懐中時計なども展示されていました。
大英博物館所蔵のものでこちらの博物館に貸し出されているそうです。

他にもヘンデルの遺書も展示されています。
貴重なものなので保護のために覆いがかけられていますから、見学する人は覆いをまくり上げて観るというスタイル。

もちろんそばに詳しく説明された冊子が置かれているので、ヘンデルの音楽を聴きながらゆっくり座って読むこともできます。

他にもアートのお部屋がいくつもあります。

設立当時の孤児院の建物を描いたもの。

他のよく知られたチャリティーの建物と並べることで孤児院の箔を付けようとしたことがわかります。

こちらはセントトーマス病院。

こちらはグリニッチの旧海軍士官学校。
元は病気やけが、または老齢で引退した海軍兵のための施設でした。

コスプレのコーナーもあります。
こんな子供たちの格好ができるんですが、全部子供用のサイズでした。

ということで帽子だけ被ってみましたが、サイズが小さくて全然ダメでした(笑)
何だか出来損ないのコックさんみたい!!

ぜひ訪れてみてください。
Foundling Hospital 博物館(リンクします)





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