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2026年7月9日木曜日

エキセントリックなイギリス

イギリスで私が大好きなことのひとつは「エキセントリックさ」
きっと他のどの国でも今から紹介するような事例はないんじゃないかな。

おととい、7月7日のお昼過ぎ、国会議員のひとりであるナイジェル・ファラージ氏が記者会見を開いて辞任を発表しました。

彼はリフォーム(改革)党の党首で、この党も彼自身もよく議論の的になります。
つい最近、議会倫理委員会がファラージ氏が国会議員になる前に改革党の献金者であるクリストファー・ハーボーン氏から500万ポンド(約10億円)の贈与を受けていた件について調査を開始したとの報道がありました。
他にもナイジェル・ファラージ氏は友人ジョージ・コットレル氏が、彼が選出される前年に警備費用のために非公開の資金を提供していたことに対して調査を求める声があります。

記者会見の中で、彼はメディアや「既成勢力」が自分を標的にしていると非難しました。
特に彼の政治に全く関係がない娘の住所がメディアによって明らかにされたことに憤りを覚えると感情的に訴えていました。

いつも思うけれど、ナイジェル・ファラージ氏は演説がうまい。
話の内容はどの政党を支持しているかで大きく評価が分かれると思うけれど、話のまとめ方や熱の入れどころなど、人前で話をするガイドの立場から見れば参考になることがたくさんあります。
結局彼の記者会見は「有権者に自分の進路を決めてほしい」と議員を辞職して補欠選挙に新たに立候補するという内容で終わりました。

昨日の国会ではこの彼の辞任についていろんな意見が交わされていました。
ここまでならいろんな国でも起こりえると思うのですが、今日のおはなしはここから。

実はイギリスでは慣習法といって昔からの意味のない習わしがそのまま使われている事例が数多く残っているのです
国会議員が亡くなったり辞任したりすれば、イギリスでは補欠選挙という運びになります。

ま、亡くなったら仕方ないのですが、辞任って辞表を出して終わりってわけじゃない。
17世紀からの習慣で、次のような慣例があります。
  1. 議員が辞職したい意思を示す
  2. 財務大臣に「チルターン・ハンドレッズ管理官」または「ノースステッド荘園管理官」任命を申請する
  3. 財務大臣が慣例的に承認する
  4. 「チルターン・ハンドレッズ管理官」または「ノースステッド荘園管理官」に任命される
  5. 下院議員資格を失う
  6. 議席が空席となり補欠選挙へ
という形です。

「チルターン・ハンドレッズ管理官」または「ノースステッド荘園管理官」というのは名前だけで現在では実質的な仕事も給料もなく、下院議員資格を失わせるためだけに維持されている「法的フィクション」

理論上は財務大臣が任命を拒否することもできるのですが、現代では辞職申請は慣例として受理されています。
昨日は彼女が辞任を受理しないのではという憶測も流れていました。

そしてさらにエキセントリックな話題が実際の補欠選挙に誰が立候補するのか、ということ。

この補欠選挙に有名人が立候補したのです。
その名は「ビンフェイス伯爵」

「えっ、貴族?」って思いました?
違います(笑)
この人は総選挙ではおなじみの人物。
頭にゴミ箱を冠っています。

イギリスらしいのはこの人に投票する人がいること。
そして、賭け屋さんがちゃんとオッズを出すことで、賭ける人もいるんですよ!
ブックメーカー各社は、主要政党が今回の補欠選挙への立候補を拒否したことを受けて、ビンフェイス伯爵のオッズを大幅に引き下げました。
というのも改革党に反対する人たちがナイジェル・ファラージ候補を落とすためだけにビンフェイス伯爵に投票して、もしかしたら番狂わせの勝利を収める可能性が高まっているからです。
ということで賭け屋ウィリアム・ヒル社はビンフェイス伯爵を9対2のオッズで2番人気としているそうです。

ティムちゃんも面白そうだから賭けようかななんて言ってるし、ちょっとみんなもっとまじめになって!

因みにビンフェイス伯爵の過去の公約は以下の通り。
  • テレビのテキストサービスであるCeefaxを復活させる。
  • 20,001人の警察官を街頭に戻すというのは、保守党が20,000人の警察官を増員するという公約をもじっている。
  • 鉄道模型の国有化。
  • 英国の欧州連合加盟に関する2回目の国民投票の実施に関する国民投票を実施する。
  • アイルランド国境にいるチェコ人をそのままにしておくこと。
  • アデルの国有化。
  • 貴族院の廃止。
  • すべての人に無料のブロードバンドを提供する。
  • 抑圧的な政権への武器販売を停止する。
  • ピアーズ・モーガンを2030年までに排出量ゼロにする。 
  • ロンドン橋を「フィービー・ウォーラー・ブリッジ(イギリスの俳優・脚本家)」に改名する。
  • 投票年齢を最低16歳、最高80歳とする。 
  • 毎週1兆ポンドをNHSに送る。
  • ジェイコブ・リース=モッグの議員休止。
  • ケイティ・ホプキンスをファントムゾーンに追放する。
  • アクスブリッジのクラウン・アンド・トリーティ・パブの男性用トイレにあるハンドドライヤーを「より適切な位置」に移動すること。 
いったい何票集まるのか、ちょっと興味がありますか?
何と過去のロンドン市長選では25000票弱を集めた経歴があります(驚)


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2026年6月16日火曜日

バイユー・タペストリーを観てきたよ!


実は観たいものがあったので行ったのです。
それは何かというと…

バイユー・タペストリー!

バイユーというのは北フランスの町の名前。
バイユーの綴りは「Bayeux」です。
ここには大聖堂があって、ここの司教であったオードさんがノルマンの征服に関して自分の功績を後世に残すために刺繍で歴史を刻んだものがバイユータペストリーというわけ。
因みに、このオード司教はウイリアム征服王の(片親違いの)兄弟です。

バイユータペストリーは、普段は北フランスのバイユー博物館(リンクします)に展示されていますが、2025年の9月から博物館は改装のため閉鎖されています。

「ノルマンの征服」というのはイギリスの歴史上もっとも重要な出来事のひとつ。
それまでアングロサクソンの王家だったこの国とノルマンディーからやってきた一族との「ヘイスティングの戦い」の後、この国がノルマンディー公爵ウイリアム征服王によって治められたことをさします。

バイユータペストリーは、バイユーで製作されたわけではなく、おそらく征服後のイングランドの、刺繍の技術に定評があったカンタベリーで作られたのではないかといわれています。

実は今年(2026年)9月から翌7月までバイユータペストリーが約1000年ぶりにイギリスに返ってきます。
ずっとじゃなくて、バイユー博物館が改装のごく一時期のことですが、イギリスではかなり話題になっています。
展示場所は大英博物館。

大英博物館の特別展示は普段ならメンバーは予約なしで何度でも訪れることができるのに、このバイユータペストリーはメンバーも予約必須、しかも無料閲覧の回数制限(3回目からは有料)まで設けられているという人気(の予想)ぶり。

そして今日はその予約開始日。
今日12時半にまずメンバーの予約がリリースされて、一般の予約は7月1日からだそう。
私はこの予約サイトがリリースされるころにはお仕事中なので、合間を見て予約にトライするつもり。



さて、このバイユータペストリーが何でレディングに関係あるのってお話しなんですが、実はヴィクトリア時代にこのバイユータペストリーの精密なレプリカが作られて、それが展示されているのがレディング博物館というわけ。

もちろん歴史は約1000年という本物には及びませんが、1885年製作といえば十分にアンティークです。
そしてかなり精巧なレプリカなのでこれをじっくり勉強してから本物に臨もうというのはなかなかいいアイディアではないかと思ったのです。

ノルマンディーには何回も家族のホリデーで行っていますが、これを観たいというのは私だけだったこともあり、まだ私は本物を観たことがありませんでした。

レディングはリッチモンドからそれほど離れていませんが、それでも片道1時間ほどかかります。
なので「いつか観たいな」レベルだったのが、大英博物館の展示が始まるのに合わせて「ぜひ観ておきたい」に変化したわけです。


このレプリカはスタフォード州リークの刺繍家エリザベス・ウォードルさんが提唱してリーク刺繍協会で製作されました。
オリジナルのタペストリーの刺繍部分下にマチの部分を加えて、そこに製作者の名前が刺繍されています。

物語はエドワード証聖王がイギリスの宮殿にいるところから始まります。
このシーンの下にはエリザベスウォードルの名前があります。



各シーンの名前の中には彼女と同じ苗字も含まれるので、おそらく彼女の娘たちではないかと思います。
エディス・ウォードル

エレノア・ウォードル

他にもリディア・ウォードルやマーガレット・ウォードルも見かけました。


スタフォード州のリーク刺繍教会では絹の刺繍が一般的だったのですが、オリジナルのバイユータペストリーがウール糸での刺繍だったために、あえてウール糸を使用しました。
また、染も科学的なものではなく草木染が使われていて、オリジナル作品に対する敬意が見てとれます。

エドワード証聖王が亡くなってみんなが悲しんでいるシーンやその後ウエストミンスター寺院に棺が運ばれていく様子などは普段からお客様にご案内していることなので、こういった風に視覚化されているのを観るのは感慨深いです。

タペストリーでは時間が逆転していて、棺が運ばれるシーンが先になっています。

泣いているのはエドワード証聖王の王妃エディス(わかりやすいように矢印を入れました)そして彼女の兄ハロルドがエドワードの後を継いで英国王になります。

こちらがハロルドの戴冠式。
空を見上げるとハレー彗星!
ハレー彗星はこの戴冠式に悪い予兆として影を落とします。
実際ハレー彗星が1066年にイギリスで観測されたそうですが、戴冠式は1月、彗星が現れたのは4月末ということで数か月の差があります。

こういった史実も興味深いのですが、私は宴会のシーンが特に面白いと思いました。

お鍋でどんなお料理を作っているのかなぁ。
楽しそうですよね。
あ、焼き鳥かな?

本物のタペストリーを大英博物館で見る時には閲覧の方法がどうアレンジされるかはまだわかりません。
博物館からの案内によれば、壁にかけるスタイルではなく、台の上にフラットに設置されるようなことが書いてありました。
真偽はともかく動く歩道みたいになっているという噂も聞きました。
多分その方がたくさんの人が一度に見られるからということじゃないかと想像します。
どれくらいゆっくり見学できるのかもわからないし、予習してから行くのは大事だと思います。


さて、レディングのタペストリーはほぼ完全なレプリカではあるのですが、部分的に変えられているシーンが無いわけではありません。

ここから先は少しだけアダルトな内容が含まれますので嫌な人は飛ばしてください。

バイユータペストリーにはペニスがたくさん出てきます。(←いきなり、何の話!)
オックスフォードのジョージ・ガーネット教授が2018年に数を確認したところ、約70mのタペストリーの中に93あったそうです。
教授クラスの人がまじめに数えている場面、想像すると可笑しい!!
ただし、そのうちの88は動物(主に馬)のもの。
人間のもの(つまり裸の男の人がペニス込みで描かれているのは)残りの5体。
その一部をBBCが紹介している動画がわかりやすいです。

このビデオの冒頭に出てくるシーンはこの場面。
バイユータペストリーにはたくさんの登場人物が出てきますがほとんどが男性。
メインの刺繍に出てくる女性はたったの3人で、子供はひとりだけ。

その貴重な女性のひとりが青い衣をまとった男性から顔を触られているシーン。
それでは左下に注目してください。
こちらの上下の写真は本物のバイユータペストリー、大英博物館のサイト(リンクします)から


この男性はおそらく僧侶なので、女性に触るということはスキャンダル。
そのシーンの下に出てくる裸の男性がこの僧侶と同じポーズで呼応していることからスキャンダルさを増幅しているんです。

ところがレディングのタペストリーはこちら。

拡大するとこんな風にパンツをはかされてしまっています(笑)

顔に触れているシーンはそのままなんですけどね。



写真を撮ったので、3人目の女性も載せておきますね。
おうちが放火されてその中で逃げ惑う女性と手を引かれている子供の姿が場面右手に見えます。
場面左手ではウイリアムが使者からハロルドの動向に関するニュースを聞いています。

為政者とそれが起こす戦争の下、被害を受けるのは市井のものというわけです。
1000年前も今もちっとも変りませんね。










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2026年5月9日土曜日

地方自治体の選挙


一昨日、木曜日にはイギリスの各地で選挙がありました。
といっても国会議員の選挙ではなくて、地方自治体の選挙です。

イギリスの地方自治体はその場所によって選挙の方法も色々で統一されていません。

例えば私たちが住んでいるリッチモンド・アポン・テムズ区では、4年に一度区議会の議員を選ぶ選挙があって、議席はなんと54。
選ぶのも大変そうでしょ?

そこで約20万の人口がある区全体を18のワード(地域)に分けて、それぞれのワードで3人の議員を選出する方法を取っています。

選挙の投票用紙には、10人以上の候補者がずらっとその政党の名前やロゴと共に記載されていて、その中から3人を選んでx印をつけて投票します。
各ワードの中で最多の投票数をとった上位3位が当選という仕組み。

ロンドンの中では区議会の議員ではなくメイヤー(区長)を選ぶシステムのところもあります。
クロイドン、ハックニー、ルイシャム、ニューハム、タワーハムレット、ワットフォードの6区。
こういったシステムの違いは、その区が区民の意思で選ぶことができます。


スコットランド議会では追加議員制度という興味深いシステムが使われています。
有権者は選挙区選出議員用と地域別議員用の2枚の投票用紙を使います。

選挙区選出議員は、73ある各選挙区で最多数を獲得した1名ずつが選ばれます。
それは単純でわかりやすいシステム。
でも、例えばこの方法だと2位の人たちはスコットランド全体での投票数が多くても議員にはなれませんよね。
そこでもう一枚の投票用紙が活きてくるのです。
こちらは地域別議員用で議員数は8つの地域に分けた各地域で7人ずつの議員です。

2枚目の投票用紙では自分が支持する政党を選びます。
この合計と各割合を計算して、73人の選挙区議員と照らし合わせた結果、地域特別議員で調節がされるというわけ。
例えば、2021年の選挙では、緑の党は選挙区選出の議員を一人も獲得できませんでしたが2枚目の得票率が高かったので、8人の追加議員を出すことができました。

ということでスコットランド議会全体で、地域選出議員が56名(8地域ごとに7名)+73名の選挙区選出議員の合計129名の地方議員が選ばれます。

人口は550万人でこれは外国人も含みます。
投票できるのは16歳以上(イングランドは18歳)の住民。
因みに今回の選挙結果はスコットランド国民党が58人(前回から‐6)で圧勝。
次いで労働党17(‐7)
リフォームUK17(+17)
スコットランド緑の党15(+6)
保守党12(-19)
自由民主党10(+6)
という結果でした。

イングランドやウェールズでもリフォームUKが多くの議席を持つことになりました。
対して現政権の労働党や保守党が惨敗といったありさまで、これまでの労働党v保守党といった2大政党による世界観が大きく崩れました。

イングランドの選挙結果発表はこの記事を書いている今(5月9日朝)の段階ではまだ完了していませんから途中ですが、リフォームUKが前回比+1442人で1444人の地方議員を選出しています。
対して労働党は前回比‐1406で997人、保守党は‐557で773人。
緑の党と自由民主党はともに議員数が増えました。

因みに緑の党はその選挙演説が地域によって外国語が使われて、特定の宗教の人たちをターゲットにしたことなどネガティブなイメージもありました。
それが直接の原因になったのかはわかりませんがリッチモンド区では5人いた緑の党議員とひとりの保守党議員が議席を失って100%自由民主党議員という結果になりました。
リッチモンドの投票率は区の発表によれば50%ちょっとだったようです。

住んでいる地域で選挙のシステムが違うとか、選挙の年齢や国籍といった投票権も違うなんてさすがイギリスですね!


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2026年4月9日木曜日

イギリスは万引き天国?

ここ数日、イギリスで話題になっていることのひとつが「万引き」

日本もイギリスも法治国家ですが、私は窃盗に関する考え方にはかなりの開きがあると思っています。

もちろん個人差がある問題なので「イギリス人は」とか「日本人は」といった風にまとめる気はありません。
でもこの間、何かの折に「日本で有名人がサンドウィッチを万引きしてニュースになった」という記事を読んで「今のイギリスだったらきっと問題にはならないだろうな」とは思いました。

食べ物を盗んで社会的な制裁を受けるというフレーズで私が真っ先に思い浮かべるのは小学生の時に読んだ「ああ無情」という物語。
この作品は日本で育った普通の子供にはかなり理解しがたい物語だと思います。
泥棒はいけないことだと教えられてきたのに、主人公は泥棒です。
そしてその彼を追いかける警察の方が悪者のような扱い。
しかも、ひたすら暗くて救いがない。
実際、私は高校生になるまでこの作品がよく理解できませんでしたし、嫌いな作品のひとつでした。
本を読むことが大好きで何度も読み返すことが多かった子供時代「嫌いな本」がほぼなかった私にとって、珍しいので良く憶えています。
アルセーヌ・ルパンのようにヒーロー級の泥棒の物語は好きだったので、モラルの問題ではないと思います(笑)

日本には「謝って済んだら警察は要らない」と主張する人もいますが、対してキリスト教の国々では「懺悔すれは赦される」という考え方があります。

私は英会話を勉強し始めたころ、英語の理解の助けになるように聖書を読むこととイギリスのコメディーを見ることに時間を使いました。
変な高校生だったと自分でも思います(笑)
でもおかげで高校の授業で見る英語の世界とは全く違う世界が存在することはわかりました。

そんな私の高校生時代、忘れられない思い出のひとつに「英会話の先生の万引き事件」があります。
私が高校生の時に通っていた英会話教室にはたくさんのネイティブの先生たちがいました。
その中のひとり、イギリス人のある先生と何人かの生徒たちでコンビニに行った時、その先生がヘアジェルを万引きしたんです。
後で私が見ていたことに気づいたその先生は「みきちゃん、僕はかっこよく見せるためのこのヘアジェルが必要。かっこよければみんな僕の話を真面目に聞いて英語がうまくなる。そうするとこの国が良くなる。だからこのヘアジェルは日本の幸せのために手に入れた」とにっこり笑いながら片言の日本語でいいました。
あらゆる理由で突っ込みどころ満載ですが、その当時まだ16歳くらいの私は大人でしかも先生という立場の人に何て返していいのかわかりませんでした。
これ、作り話じゃないですよ。
学歴を詐称していた先生も多かった(←お教室を辞めてから知った)し、とんでもない英会話教室でしたが個性的でおもしろい先生が多くて、ここに通った2年間で私の英会話は格段に上達しました。


さて、イギリスの現在の万引き事情に話を戻すと、つい先日ロンドンのクラッパムで若者が集団で万引きを含めた反社会的行動をするという事件がありました。

映像を見たい方はトーク・ニュース(保守派のオンライン・ニュース番組)の映像をどうぞ。

これはかなり特殊な例ですが、問題視されているのは万引きがあまりにも普通になっていること。

イギリスでは現在200ポンド以下の窃盗に関しては罰則がないと思っている人も多いです(もちろん罪ではないという事ではありませんが、検挙されない場合が多いのは事実)
というのも2014年反社会的行為・犯罪・警察法のために、盗まれた商品の総額が200相当以下の場合、通常の窃盗犯罪とは別の「簡易罪」として扱われてきたからです。
加えて、スーパーマーケットで働いている店員や警備員も、万引きは見て見ぬふりをするというポリシーのお店が存在します。(これは窃盗犯と対峙して従業員がケガなどを負うリスクを減らすため)
実際、数日前にウェイトローズの店員が万引きをとがめたことがお店のポリシーに反するといって解雇される事件が起こり、あちこちから非難の声が上がりました。
ウェイトローズ以外にもコープも同じようなポリシーだといわれています。
興味深いのは、広告戦略に評判があるアイスランド・スーパーマーケットのCEOがその人を雇用する用意があると発表したと話題になったことです。

国家統計局の公式統計によると、2024年12月までの1年間でイングランドとウェールズで警察が記録した万引き事件は516,971件で、前年の429,873件から20%の増加になりました。
この数字は、2003年3月に現在の警察の記録方法が始まって以来の最高水準です。

英国小売協会の犯罪調査によると、小売業者は2023/24年に窃盗だけで22億ポンドという前例のない損失で、前年の18億ポンドから22%増加したそうです。

これを受けての「セーファー・ストリート(安全な街)」ミッションとして、2025年2月に法案が提示され、3月より審議が進んでいます。
審議の主な内容は;
*リスペクト命令(Respect Orders)の導入:
  • 反社会的行動を繰り返す人に対し、特定の場所(商店街や公園など)への立ち入りを禁止する強力な命令。
  • 年齢制限の引き下げ: 従来の成人(18歳)以上から、16歳以上の若年層にも適用拡大。
  • 罰則強化: 違反に対する罰則が強化され、最長5年の拘禁刑が科される可能性。
  • 警察権限の拡大と即時対応:
*反社会的行動に関与した車両を警察がその場で差し押さえる権限の強化。
  • 200ポンド以内の万引きを警察が軽視しないように2014年法のセクション176を廃止。
*住宅関連の対策:
  • リスペクト命令を受けた犯罪者が公営住宅の入居待機リストの最下位に回されるなどの住宅関連のペナルティを検討。
どんな結果になるかはわかりませんが、イギリスの社会問題は地域差や階級の問題など深いところに根があるので簡単に解決できそうにもありません。

実際、万引きの実態にもそういった問題が浮かび上がっています。
ちょっと長くなったので、そんなお話はまた今度紹介したいと思います。


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2026年4月1日水曜日

生ごみの分別が始まったイギリス


私が集合住宅に住んでいることは折に触れてお話してきました。
一般の住宅と集合住宅の違いというのは色々あって、そんなひとつはごみの処理。
一言で簡単に言えば集合住宅の方が「弛め」

私が住むリッチモンド区では収集日の朝、自宅前にゴミを出すシステム。
こんな感じです(写真はリッチモンド区の公式サイトから)

住んでいる人のモラルが丸見えなので、変な出し方はできません。

でも集合住宅の場合はごみ置き場があって、自分の都合のいい時にゴミを持っていけばいい。
どの住人がどんな出し方をしているのかはわからないし、住人以外が捨てに来ることさえある。
ゴミ置き場のドア(鍵なし)を開けると中には何種類かのゴミ箱があって、それぞれに分けて入れればいいだけです。

私たちのフラットのごみ置き場には、紙のリサイクル専用、プラスティックとガラスと金属の混合リサイクル、一般ごみ、そしてそれに加えて1年ほど前から食品ごみ専用のごみ箱が加わりました。
それに先立って、家庭のキッチンに置くためのの小さな生ごみ専用の蓋つきバケツ(容量 5ℓ) が区から届いて、利用の仕方が細かく規定されています。

この、食品専用ごみ、イングランドでは今年の3月31日からエネルギー源としてリサイクルするために自治体での収集が義務付けられました。
リッチモンド区では義務に先立って導入されていた模様。
その準備のために各自治区には補助金なども出されていたのに、いくつかの区はまだ実施できていないとニュースになっていました。


このニュースによれば、約1/4の自治体(数え方によれば1/3にも!)で食品ゴミの回収ができていないそうです。
ニュースの記事中にはどの自治体が補助金をいくらもらって、ゴミ収集ができているかどうか、できていなければいつ頃になるかのリストまでついています。
ご丁寧にアルファベット順なので探しやすいし、30ページも繰りたくない人用に検索もできるという優れもの(笑)

ゴミの分別はイギリスよりも日本の方がずっとモラルが高そう。
町内会とか、マンションの管理事務所とか、いろんなところでチェックがありそうなイメージです。

私がイギリスに来た30年ほど前はこういった分別などもなければ、リサイクルもそれほど一般的ではありませんでした。
ほとんどのごみはランドフィルとよばれるゴミ捨て場にまとめられていただけ。
未だに一般ごみのほとんどがそういった原始的な処理がされているところも少なくありません。
食料品を含む生ごみがそういった場所で熱を持ったりするトラブルもあったので、今回の分別規定でごみの削減だけではない効果が期待されています。


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2026年2月16日月曜日

イギリスのビザに必要な英語の試験は難しい?

この間、長くイギリスに住む知り合いの人と話していて、最近のイギリスへの移住はハードルが高いという話題になりました。
(ここでいう移住というのはきちんと法律を守って来る方法のことで、最近よくイギリスで話題に上がる違法移民ではありません)

年々厳しくなる移住条件、今イギリスに移住するのは昔と違って大変な準備が必要なようです。

例えば健康保険。
私が来た時には住み始めたその時点から無料でNHS(国民保健サービス)が利用できました。
GP(家庭医)に登録する際ナショナルインシュランス番号が必要なはずだけど、申請中ですと言えばチェックなし(驚)
日本のような1割とか3割とかの自己負担はありませんからお医者様にかかるのも手術するのも無料。
(ただし病院外で受け取るお薬は今と同じような定額の負担がありました)
働いていて収入があれば、その額に応じた保険料を納めるシステムです。


ところが今移住する人たちは「IHS付加料」というものが必要で、これはNHS(国民保健サービス)を利用するために事前に支払い義務がある健康保険料です。
金額は、一般的なビザ(18歳以上)は1年あたり£1,035で、学生ビザなどは割引料金(例: 年間£776)が適用されるようです(2026年2月現在)
そして支払いはビザ申請時に滞在期間分を一括払い。
ということはワーキングホリデーなどで2年の予定で渡英するのにはNHS(国民保健サービス)の前払い費用だけで30万円以上必要ということになります。

各種ビザの申請費用といった金銭的な負担も色々なようですが、加えて試験もあります。
英語の試験やイギリスの一般常識のテスト。

現在各種ビザ取得のために必要になる主な英語の試験は以下の通り。
難しい順に並べました。

B2 (中上級)内容: 自分の専門分野の議論ができ、ネイティブと自然にやり取りできるレベル。
対象: Skilled Worker(熟練労働者)、Health and Care Worker(ヘルスケア労働者)、大学(学位レベル)の学生ビザ。

B1 (中級)内容: 仕事や学校、レジャーなど身近な話題について標準的な話し言葉を理解し、自分の意見を述べられるレベル。
対象: 永住権 (Settlement/ILR)、市民権、一部の学生ビザ。

A2 (初級・延長用)内容: 自分自身や家族、仕事など、ごく身近な事柄に関する表現を理解し、簡単な情報交換ができるレベル。
対象: 家族ビザ・配偶者ビザの延長申請。

A1 (初等・初回用)内容: 日常生活での基本的な挨拶や、簡単な自己紹介、具体的な要望を伝えられる最も基本的なレベル。
対象: 家族ビザ・配偶者ビザの初回申請。

ビザの種類によって色々な試験方法があって、以下はそれらの例です。
*私はビザのアドバイザーではないので、ここに載せた情報は鵜呑みにせず専門家に確認が必要です*

PTE Home: コンピューターベースの試験で、ヘッドセットを使用して回答します。時間は約30分程度と短く、AIによって採点されます。

IELTS Life Skills: 試験官1名に対し受験者2名で行われる対面形式のセッションです。

Language Cert International ESOL SELT (S&L): 試験官との短い対話形式です。

IELTS for UKVI: 一般的なIELTSと同じ構成ですが、ビザ申請用にセキュリティが強化された環境で実施されます。

PTE Academic UKVI: 全てコンピューターで完結する試験で、約2時間で4技能を測定します。結果が通常48時間以内と非常に早く出るのが特徴です。

Language Cert International ESOL SELT (4 Skills): コンピューターベースで約2時間40分の試験です。

私は既に永住権を持っています。
でも、もし今申請するなら必要なのが PTE Home の B1 レベル。
ブログに載せたら面白いかな~とも思って(笑)受けてきました
この季節はお仕事がヒマでお勉強の時期にあてているのでちょうどいい。
予約はPTE English Test (リンクします)にアクセスしてまず試験のレベルと会場を選びます。

実際に試験会場に行ってみると意外にセキュリティーが厳しくてびっくりでした。
ま、私のように冗談で受験する人は少ないだろうから、ビザのために代役とかが受験できないようになっているんでしょうね。
受付で登録した身分証明書を見せて写真を撮られます。
そして実際に試験が行われるお部屋の入り口でも再チェック。
費用はテストによって違うみたいですが、私が試してみたのは160ポンドでした。

試験は設置されているデスクトップのコンピューターとマイク付きのヘッドセットで行われて、翌々日くらいにメールでお知らせが来たらログインして結果を調べるというもの。
合格しなかったら、試験がなかった時代に永住権を取ったことを感謝しなくちゃね(笑)

会場で登録した時の写真が証明書に載ります。
写真以外にもいろんな個人情報が書かれていて、右上に合格か不合格かという結果が画面に出てきます。

無事に合格だけど、結果のみなので、何点くらいだったのかは不明。

採点はAIで行われるようです。
試験の内容は以下。

1. Repeat Sentence 短い文が聞こえるので、それをそのまま繰り返すだけ。

2. Describe Image 画像を見てそれを言語化。

3. Retell Story 物語を聞いて自分なりに再構築して話す。

4. Story: Listen and Answer 物語を聞いて質問に答える。

試験中にメモできるようなボードとペンが用意されていました。
どれも簡単なようですが、私が一番簡単だと思ったのは2番目。
普段ガイドしているのと同じですからね。
見えるものをわかりやすく描写するってことです。

私にとって一番難しかったのは1番の「文の単純な繰り返し」
試験会場ってデスクが10個くらい並んでいて、お隣の人の声が丸聞こえです。
なので、集中できない。
「文の繰り返し」って文の理解とは全然違う。
言われた言葉をそのまま頭の中で考えることを一切せずに記憶して出力するだけなんです。
やってみるとわかりますが、向き不向きがあるし、第一に集中力が必要です。
3と4は普通、難しくはありません。
やってみたい人のためにお試しリンクを貼っておきます。

いかがでした?




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2026年1月9日金曜日

何もかもがデジタル!今度は税金も”Making Tax Digital”

一気にというわけではなく、収入が高い順に3年くらいに分けて導入が始まる仕組み。

私は来年2027年の4月から完全にデジタル移行の予定です。


ただ、急に何もかも変えてしまうことに不安があったので、実は去年の9月からいろいろなシステムを試し始めています。
税務署と繋げるのは政府公認の会計ソフトウェアである必要があります。
英政府公認の会計ソフトウェアにもたくさんの種類があるし、利用金額も色々。
経費の支払いも、これまではプライベートで利用するクレジットカードを使っていましたが、新たにビジネス専用のクレジットカード口座を開けたりして準備中。

一昨日にはAPTGプロフェッショナル観光ガイド協会(リンクします)の CPD でも税金のデジタル化についてのレクチャーがあったので参加しました。

今まで認識していたことが裏付けされてちょっと自信が付いたかも。
やっぱり基本は自分に合ったソフトウェアを利用して、お金の出入りを透明化するってことみたいです。
でも現在認定されているソフトウェアはかなりの数(60以上)に上ります。

その中で自分に合うものを探すなら、やっぱり早く始めて色々試してみるのが一番の方法。
会計士を使っているのなら、その会社との相互性も視野に入れる必要があります。

最近はイギリスにYMSのシステムを使って滞在している日本からの渡航者も多いです。
もし働いているなら、雇用システムが自営業でないことを再確認しておいた方がいいです。
毎月振り込みがあるからって、雇用主がいると思い込んでいても、実際は保険システムの節約などの理由で個人事業主になっていたりするケースも時々耳にします。

オフィス勤務でも委託という形になっていたりするケースもあるので給与明細はきっちり調べておくべき。
特に2025 年 4 月 6 日から雇用主の ナショナルインシュアランス率は15%に増加して、その適応も年間 5,000 ポンド以上となっています。
雇用でなく個人事業主への委託ということになればそういった費用も払う必要がなくなります。
給与明細などを確認しておくとその辺りの詳細が出ていると思うので、必ず確認した方がいいです。

以前、オフィス勤務の知り合いが個人事業主の制度を利用されて、本来ならあるべき有給休暇などの権利が適応されていなかったことなどが明るみに出たことがあります。

お互いが納得しているのなら犯罪とは言えないかも知れませんが、会計知識がない人たちを安く雇用するグレーゾーンといった体だったと記憶しています。

話を個人事業主会計のデジタル化に戻すと、9月から4か月間試してみた結果、経費の漏れがほぼなくなりました。
これまでは、例えばちょっとした支出は、それが経費であってもすっかり忘れて計上しないことがよくありました。
例えば鉄道の運賃。
ロンドン交通局の会計は既に個人用とお仕事用のオイスターカードに分けているのでそのままお仕事用のものを計上するだけなんですが、ロンドン交通局以外のトラベル経費は領収書の管理が雑で年度末に計上し忘れということがほとんど。
それがクレジットカードをお仕事用にして、会計ソフトウェアにカードを紐づけしたことで100%計上できるようになりました。

また、これまではエクセルでインボイスを作って、それをPDFにしてお客様や旅行エージェントに送っていたのですが、インボイスの発行もソフトウェアから直接するようになったので、そういった手間がかなり省かれました。
それらが携帯で完結するのも嬉しいところ。
これまではエクセルを使用するのにどうしてもラップトップが必要だったのですが、9月からほぼ不要になっています。

そういった手続きで、これは慣れると問題なくなると思うのですが、経費の種類がやたらあるので税金のコードを少し勉強しないといけないなって思っています。






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2025年12月18日木曜日

住宅の共有所有権って何?

この間紹介した「とんかつ屋さんカツロー(リンクします)」へはクラッパム・ジャンクションの鉄道駅から徒歩でアプローチしました。

駅を出て1分ほどで工事中のマンションの横を通り過ぎました。
このエリアは最近若い人たちに人気があるらしい。

そういえば桃太郎君のお友達もひとりこのエリアにフラットを買ったと言っていました。

工事現場には広告が出ていて、コンシェルジュが24時間ついているフラットで1,2,3ベッドルームの物件があるらしいです。
そして、それらはシェアオーナーシップ。

シェアオーナーシップ(共有所有権)制度というのは;
収入が少ない(というよりも特にロンドンは不動産が高すぎ)ために住宅ローンが組めない(=家が買えない)
→賃貸住宅に住む
→いつまでたっても頭金が貯まらない
→住宅ローンが組めない
というループを断ち切るためのイギリス政府の住宅購入支援プロジェクトのひとつです。

一定の条件をクリアした人たちがその物件の一部(25%~)を購入してそれ以外の部分の家賃を支払うという制度です。
購入金額が小さいので用意しなくてはいけない頭金も少なくて済みます。
また、家賃は割引が適応されてそのエリアの一般賃貸よりもかなり安くなっています。
自分が持つ部分は25%から自分の経済に見合ったペースで増やしていき、最終的には100%自分のものにすることができるというプランです。
もちろん100%購入する以前に購入シェア部分の売買も可能です。

共有所有権 の物件購入にはいろんな制約が付くようです。
以下は一般的な例ですが、物件によって多少の違いがあるようです。
18歳以上であること。
世帯収入が9万ポンド(約1800万円)未満。
他の住宅を所有していない。
ローンチ後、初めの数か月は既にそのエリアに住んでいたり働いていたりする人たちに優先権があったりと、条件の詳細はその開発によって違いがあります。


クラッパムの物件はまだ出来上がっていないので詳しい情報はあまり発表されていません。
一番安いタイプのもの(おそらく1ベッド)が44万ポンド(約8800万円)になる予定で、つまりその25%ということは11万ポンドで、その頭金は1.1万ポンド(約220万円)用意するだけでいいということになります。
それくらいなら若くてお仕事を始めたばかりでもなんとかなりそうですよね。
ここは来年の1月末にローンチされる予定だそうです。


既に出来上がった物件だともっと詳しい間取りや販売価格を調べることができます。

リッチモンドの近くにブレントフォードという町があります。
ここにある共有所有権の住宅はこの11月のローンチされて、案内書をダウンロードすることができます(リンクします)

それによると1ベッドの物件のお値段は £427,500(約8500万円)
なので25%のシェアは £106,875 (約2100万円)
シェア購入のための頭金は£10,688(約210万円)で、毎月の支払い(住宅ローンと家賃)は£1,475(約30万円)
普通にローンを組んで住宅を購入するとローン返済額は2000ポンド以上になるので、それよりもずっと容易に住宅の購入が可能になります。

このエリアにある、一般のマーケットに出ている住宅が今どれくらいで取引されているのかは Zoopla(リンクします)を貼っておきます。


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2025年12月2日火曜日

お魚屋さんからの訃報


トゥイッケナムにあるお魚屋さんからメールで訃報が届きました。
オーナーのスチュワートさんが急にお亡くなりになったそうで、しばらくはお店を閉めるというお知らせでした。
多分オーダー履歴がある顧客や、メール登録している人宛に送っているんじゃないでしょうか。
まだ50代。
もうきっと15年以上前、先代が亡くなった後お店を継いで、寡黙だけどいつもお店に立っていました。

グーグルで見たら、きちんと急な閉店中と情報がアップデートされています。
遠くから来る人達をがっかりさせないように、中の誰かがアップデートしたのかな?
以前からお魚一匹でも無料で地元の人たちに配達をしてくれていて、特にコロナの時にお世話になった人たちも多かったと思います。
私たちも毎週のように配達をお願いていました。
ここ数年はウェブサイトも充実してきて、取扱商品も広げてオンライン注文も軌道に乗っていた感がありましたが、実際はどうだろう。
前回記事にした今回の最低賃金の上昇など(リンクします)で一番影響があるのはこういった個人商店じゃないかと思います。

チェーン店ばかりのリッチモンドと違って、お隣のトゥイッケナムには個人商店がいくつもあります。
もちろんチェーン店も多いけれど、いまだに昔ながらのお肉屋さんやお魚屋さん、八百屋さんが健在。

イギリスには住居に対する固定資産税はありませんが、ビジネスレートとよばれる税金があります。

ある不動産が住居以外の目的で使われている場合に地方自治体に支払う税金で、各物件にはビジネスレートを計算するための価値である「business rates valuation」というものが設定されています。
これは住所さえわかれば政府のウェブサイトから簡単に割り出すことができます。

この物件価値に掛け算する形でレートは決まります。

例えばレート用物件価値が £500,000 以上の場合、
それに 50.8 penceを掛けた金額がビジネスレートです。

でもレート用物件価値が £51,000 以上 £499,999 以下の場合は、
48 pence を掛けたもの、
更に £51,000 以下の場合は43.2 pence を掛けたものが税金です。

そしてこれが商店などであれば低めの数字が設定されています。
レート用物件価値が £51,000 以上 £499,999 以下の場合は 43 pence、
£51,000 以下の場合は 38.2 pence という具合。

ただしこういった金額は地方自治体によって違います。

例えばリッチモンド自治体(トゥイッケナムもこの中)ではビジネスレートは一律 55.5ペンスですが、レート用物件価値が £15000以下の物件ではスモールビジネス割引、また商店などはそれ以上の価値でも認められれば 40%の割引を受けることができるようです。

お魚屋さんのサンディーのレート用物件価値は £26500 なので、割引が適応されるとすれば年間のビジネスレートは £8824.50、適応無しであれば £14707.50 となります。

これはもちろん収入に対する税金ではありませんから個人の所得税に相当する法人税も支払いの必要があって、そちらは国の税務署に納めます。
現在のイギリスの法人税は一律25%で、こちらもビジネスやその収入のサイズによって割引などの制度があります。

この後サンディーがどうなるのかはわかりませんが、もしこのまま閉めてしまったら、トゥイッケナムのハイストリートは淋しくなるだろうなぁ。
クリスマスイブやニューイヤーズイブのサンディーの行列は有名ですからね。

スチュワートさんのご冥福をお祈りします。



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2025年11月26日水曜日

アカウント課のレイチェル

今日はお昼に秋の予算演説がある予定です。

いつもよりずいぶんと時期が遅いです。
普通は10月中に秋の予算演説があるので、例年と比べると1か月ほど遅い発表となります。

現在のイギリスの大蔵大臣はレイチェル・リーブスという女性です。
イングランド銀行やイギリスの大手銀行グループといった経済界で活躍してきた背景を前面に押し出した履歴書の中身がかなり誇張されているといった一部の批判から、最近では「Rachel from accounts(アカウント課のレイチェル)」というあだ名で呼ばれることがあります。
他には「Rachel Thieves(泥棒のレイチェル)」とかもある。
両方とも労働党に反対する人たちの間でのあだ名ですから、イギリス人がみんなそう呼んでいるわけではありません。

泥棒のレイチェルに比べたらアカウント課のレイチェルの方がマシだと思いますか?

これが結構ひどいあだ名なんです。
銀行アナリストとかの専門職ではなくて、会社の会計部門で簡単な仕事をしている職員といった響き。
特に大手銀行ではカスタマーサービスの部門にいたということで、経済のことはわかっていないという示唆も含まれているからです。

もちろん本当に彼女がこの重荷を背負うだけの度量があるかどうかは時が経ってみないとわかりません。
でも今回の予算演説はいろいろな増税を危惧している人たちが多いのは事実。
特にミドルクラスや年金生活者、高額所得者といった、普段から労働党が搾取のターゲット(笑)にしている層からは恐れられているのです。

実際にロンドンの住宅価格はこの1年で2%弱下がっています。
特に高額な住宅が多い旧市街地では15%、ケンジントンチェルシー区では11.3%も下がっているそうです。
税金がかけられる前に売りたい持ち主はいるのに、経済的な先行きがわからないから大きな買い物はしたくないという買い手不足がそのままマ-ケットに反映されています。

これ、日本の人に言うとびっくりされることのひとつなんですが、実はイギリスには固定資産税がありません。
家にかかる税金といえば、地方税の一種でカウンシルタックスという税金があって、これが物件の広さや場所によって金額が変わる仕組み。
このカウンシルタックスは地方自治体の収入になります。
以前、地方自治体がどんなことをしているか紹介したことがありましたよね?
今期の予算演説でその辺りの改正や高額な物件に対する税金なども盛り込まれると思われています。

無税で積み立てができる預金口座の上限(現在は1年あたり2万ポンド、約400万円まで)が下げられるという噂もあるし、節税に役立つ個人年金への振り込みの額(現在は1年あたり6万ポンド、約1200万円)も減らされるようだし、一生懸命努力してお給料が高くなってもいいことないみたいな風潮にならなければいいけど。
既に雇用者側が支払う社会保険費なども値上がりしているうえに、今回の予算では最低賃金も上がるようですから中小企業は雇用を控えざるを得ないということで失業率も上がりそう。
やっていけなくなる会社も出てくるんじゃないかと心配です。
そうなると福祉にお金が(更に)かかるようになるので逆効果だと思う人も多いようです。

ということで今日はお昼からテレビの前を離れない予定。
色々なテレビ局で予算演説のための特番が組まれていますから、普段政治に興味が薄い人たちも今日くらいは政治的になるかもしれませんね。




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2024年12月24日火曜日

今年のクリスマスのナンバーワンは?

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イギリスではクリスマスにトップチャートに輝くとかなり名誉なことのようです。
毎年世界中でたくさんの歌が生まれるわけですが、やっぱりこの時期にはプレゼントに歌を送る人も多いですからね。
もちろん最近は実際のレコードやCDなどを買うことはほぼなくなりましたが、ダウンロード数で人気というのは数値に出ます。
クリスマスナンバーワンは実物の売り上げ、ダウンロード数、ストリーミング数を合わせた数字だそうです。

イギリスの歴史を紐解くと、クリスマス直前の1週間の売り上げをチャートにしたのは1952年から。
ただ、特にクリスマスヒットとしてトップを争うようになったのは1973年だそう。
それ以降クリスマス用の(といえば語弊があるかもしれませんが)名作が数多くこの世に出てきました。


2024年のクリスマスナンバーワンは、何と Wham のラストクリスマスでした!
80年代の歌です。

実は直前まで現首相をからかった歌がかなりいい線を行っていたので、おそらく労働党による裏工作があったのではという懐疑派もいるくらい(笑)
実際のところはわかりませんが、労働党のメンバーがみんなでラストクリスマスをストリーミングしているところを想像すると可笑しいです。


首相、キア・スターマーをからかった歌は「Sir Starmer and the Granny Harmers」というバンド名、歌のタイトルは「Freezing This Christmas」

観てみたい人のためにYouTube の動画を貼っておきます。

冬の光熱費サポートを取りやめて年金生活者を苦しめているという政策をパロディーにしたものでメロディーは1974年に流行った「Lonely This Christmas」です。
こういったのがイギリスのユーモア。





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2024年11月6日水曜日

トランプがたぶん勝利の大統領選

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昨日は桃太郎君が晩ご飯を食べに来ました。

大体週に一回くらいのペースでご飯を食べに来てくれます。
ガールフレンドの Bちゃんは、いつでも歓迎だけど、義務じゃないから無理に連れてこなくても問題ないというスタンスです。
気を使ったりするのも窮屈だろうから。

昨日はラムのビリヤーニを作りました。


準備はちょっと手間なところもあるけれど、その後はオーブンに入れて待つだけなのでタイミングにあまり神経質にならないのがいい。

テーブルに並べて好きなものを好きなだけ。
油をたくさん使うので、胃にもたれるかな。

でも大丈夫。
この後は寝ないから(笑)

明け方までアメリカの大統領選を見る予定です。

ハリス候補対トランプ候補。

国によって選挙の仕組みはいろいろです。
欧米という風にひとくくりにできない。
同じ英語圏のアメリカとイギリスでも選挙の仕組みは全く違います。

イギリスの総選挙は選挙権を持っている人が自分の選挙区の国会議員を直接選ぶシステム。
そして、国内の大多数を勝ち取った政党の党首が自動的に首相になります。

でもアメリカでは51の州(うちひとつはコロンビア特別区)それぞれが政党(とその代表者)を投票する選挙人を選択します。
もちろんその選挙人は誰(どの政党)に投票するかは公表しています。
各州にはそれぞれ選挙人の数が決まっていて、大小さまざま。
小さなところでは3人、最大はカリフォルニアの54人。

興味深いのは、選ばれた選挙人のその数がそのまま反映されるのではなくて、州として取りまとめられるので、時差の関係で東の州から勝者が明かされて行っても、最後の方で大きな州の結果が元でどんでん返しがあり得るところ。

ひとつの州の結果でポイントが大きく跳ね上がるのがイギリスの選挙速報との大きな違いです。

昨日は(というか、今朝‼)3時半ごろまで起きてそんな中継を見ていました。
この記事を書いている今朝11時ごろの結果はトランプ候補の勝利です。

過半数である270を超えましたね。
ただ、これもイギリスとの違いなんですが、結果に不服となった場合の数え直しなんかがある場合が無きにしも非ず。

昨日、選挙速報を見出したくらいの時にテレビで聞きかじったので正確かどうかは確認していませんが、数え間違いの誤差が4%くらいになる時もあって、接戦の場合は数え直しで結果が変わることもあるとか…。

いずれにせよ世界が大きく変わる可能性がある重要な選挙です。
ハリス候補が優勢だと思っていましたが、予想とは大きく異なる結果になりそうです。
イギリスでは労働党が政権を握っているので、どちらかと言えばそりが合わない共和党の勝利で、アメリカとの距離が気になるところです。



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2024年10月29日火曜日

ロンドンの市庁舎を見学してきたよ!

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イギリスにロンドン市はふたつあります。


ひとつは金融街とか旧市街地とよばれている、ローマ人が作った町。
2000年の歴史があります。
大きさは約3平方㎞で人口は8500人ほど。


もうひとつはグレーターロンドンとよばれる場所で、外国人も含め、一般の人たちが考えるロンドン市。
こちらは約1570平方㎞のサイズで約900万人の人口があります。

今日紹介するのは大きな方のロンドン市の市庁舎です。

以前はテムズ川にかかるタワーブリッジの脇にありましたが、現在は東に移転してしまいました。
この、片側が丸いシルエットの建物がそうです。

グレーターロンドンの政治は、地方政府という考えが生まれた時代からLCC(London County Council)という組織が担っていました。

その組織が1963年にGLC(グレーターロンドンカウンシル)となって範囲も権力も大きくなっていきます。
その当時の市庁舎がこちら。
現在ロンドンアイのお隣にそのまま建っていますが、中はホテルやアトラクション施設として使われています。
さて、ロンドンは元々労働党のサポーターが多いので、ロンドンの政治は労働党。
80年代には当時の政府であるサッチャー時代の保守党と争う場面も多かったそうです。
サッチャー政権では Small State(小さな政府)が公言に掲げられていたので、大きな組織であったGLCも縮小の対象になります。
そして1986年に GLC は解体されることになってしまいます。
で、その後ロンドンの政治がどうなったかというと、グレーターロンドンの中を33の地方自治体に分割して行うようになったのです。
33の地方自治体のうち、31はバラー(区)とよばれるもので、残りの2つはシティー(市)です。
シティーはウエストミンスターとロンドン。
ロンドン市(上で説明した小さい方)は歴史上の既得権力があるので、通常グレーターロンドンの中は32の区と1つの特別市があるといった表現がされます。

書きながら思っていますけれど、めちゃめちゃややこしいですね!!(笑)

私はロンドンのガイドになる時にこういった歴史も勉強しているので、無理なく頭に入ってきますけれど、ロンドンに住んでいる人たちでもこの辺のことがわかっていない人たちが多いです。

そしてこんなお話をパワーポイントを駆使して説明してくれているこの人はリチャードさん。
ロンドン市庁舎の、教育・広報担当の人です。


さて、それではこの市庁舎ではなくて、各地方自治体はどんなことに責任があるか。
1,ごみの収集と処理。
2,駐車(路上駐車や駐車場)。
3,学校。
4,地方税の取り立て。
5,レジャー。
6,社会保障と公衆衛生。
他にも建築許可とか図書館の管理などもあります。
参考までに私が住んでいるリッチモンド区のウェブサイト(リンクします)を載せておきます。
興味があれば、地方自治体にどんなサービスがあるのか、このサイトで調べることができると思います。

大きなロンドン市ではどんなことをやっているのか。
まずは予算の決定。
ロンドンをより良い市にするために、どの分野にどれだけの予算を割り振るのか。

そのための予算はどこから来るのか。
主な収入は政府からの補助金、地方税の一部、法人税、ロンドン交通局の運賃です。
今年度の予算は収入と資産合わせて約220億ポンドです。

使い道は多岐にわたりますが、公安、消防、ロンドン交通局といった生活に必要な部門に割かれる金額を考えると十分なのかそうでないのか微妙な数字。



ロンドン市庁舎には3つの部門があります。
ロンドン市長に助言するための機関ですべての会議は一般市民が傍聴(会議室の傍聴席もしくはウェブキャスト)することが可能です。
また、過去の会議の検索も可能。

市長と市長補佐のチーム。

3,市庁舎のスタッフ(約150人)。
今回案内を務めてくれたリチャードさんもスタッフの一人で、何とロンドンの初市長ケン・リヴィングストン市長の時からお勤めされているそうです。

こちらが現在の市庁舎の建物。
最寄り駅はDLRのロイヤルヴィクトリア駅。
もとは電気機器の会社シーメンズのショールームとしてロンドンオリンピックの時に建てられたものです。
その当時はクリスタルとよばれていました。
今でもグーグルの地図でクリスタルと検索すると市庁舎が出てきます。

タワーブリッジ脇の市庁舎のリースが2022年に切れた後、再リースの金額が以前の倍のお値段だったことから、もっと安いこちらに引っ越してきました。
ただ、場所が東過ぎること引っ越しの認知度が低いことで、いまだにタワーブリッジ脇にあると思っている人たちも多いそうです。

市庁舎はエアポートスタイルのセキュリティーシステムで荷物検査などもありますが、中は一般に公開されています。
セキュリティーを抜けたところにはロンドンオリンピックの聖火トーチやメダルが飾られている。
カフェも8時半から5時半まで開いています。
そして会議を傍聴するところがこちら。

間に透明な衝立はありますが、傍聴席と会議室はひとつの部屋です。
「天井から下がっている円形にならんだ明かりはロンドンの33の地方自治体を表している」とかかなぁと思って数えてみたんですが、全く無意味な数字でした(笑)
45くらいまで数えたんだけど、どこから始めたのかわからなくなって途中で諦めたから、いくつあるのかはわかりません。

アセンブリーのミーティング以外にも、このお部屋は市長のへの質問という公開イベントに利用されます。
こんな感じで、こちらも市民の参加や市長が可能です。



他にも意外な機能のひとつが市庁舎はロンドンの撮影(映画やコマーシャルなど)の許可機関があること。
ロンドンのイメージ向上のための広報の役割もしているそうです。
例えばあまり知られていないロンドンの逸話を紹介したり。
と言って教えてくれたトリビアがこちら。

シルクハットってロンドンで始まったんですって。
ジョン・へザリントンというお洋服屋さんが考案して1797年1月15日に被って変な恰好をしていると50ポンドの罰金刑になったそうです。

こんなのを集めてクイズを作ったら売れると思うんだけどなぁ(笑)

ロンドンのトラファルガー広場の管理もロンドン市庁舎の管轄。
トラファルガー広場の4隅にのうち、3つには銅像が建てられています。
3つとも伝統的で恒久展示。
北西の台は Fourth Plinth(4つ目の台)とよばれてコンテンポラリーなアートが短期で飾られます。
1999年から始まった制度で、今までいろんなアートが飾られてきました。
私が一番面白いと思ったものはアンソニー・ゴムリーが企画した「One &Other」というもの。2009年の夏に数カ月間、一般募集で集まった人たちが台の上で1時間何をしてもいいという企画。
着ぐるみの人とか,今のロンドンって感じで面白かったなぁ。

それでは機会があったら是非ロンドン市庁舎に行ってみてください。




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