「王立」「海水浴」「病院」
その一つ一つの意味は解るんだけど、全部くっつけると「???」になっちゃう。
でもそんな場所がイギリスにはあるんです。
いや、あったんですといった方がいいかな。
場所はマーゲイト、ロンドンからは南東、ケント州の海辺の町です。
駅を出たらこれは西側に5分くらい歩いたところ、マーゲートは海水浴場としても有名で、そちらは駅を出たら北東に歩くとすぐ。
先日、きれいに晴れた日にこの写真を撮りました。
王立海水浴病院は1791年に創立された肺外結核患者のための屋外療養施設がある、もし世界初でなければ少なくとも国内初の施設でした。
私は結核というのは肺の病気だけだと思っていたのですが、結核菌はいろんな場所に病気を起こすらしい。
首にできるリンパ節炎以外にも他の臓器(腎臓、骨、脳など)に炎症が及ぶこともあるそうです。
この病院の提唱者はジョン・コークリー・レティソンという医師で、カリブ海生まれのクェーカー教徒。
病気を治すために日光と新鮮な空気、そして海水浴が効果的だと提唱しました。
海水浴が身体にいいことは、イギリスでは16世紀ごろから言われていましたが、本格的に勧められるようになったのは18世紀に入ってから。
初めに人気になった場所はブライトンです。
特に当時皇太子だったのちのジョージ4世が滞在するようになってから、上流階級のたまり場にもなりました。
その当時の海水浴は今と全く違います。
海水浴にはバシング・マシーンという馬にひかせた小屋のようなものを利用していました。
海岸でこの小屋に入り、中で着換えをしてある程度の深みへ進むまで小屋内で待機、そして海水に浸かります。その後小屋に戻って小屋ごと海岸に戻ってくるというシステム。
えらく面倒ですね!
これもそうなんですが、古くから海水浴で有名な場所の郷土資料館などに行くと、昔の絵葉書が収集されていたりして当時のシステムがよくわかります。
この王立海水浴病院でもバシング・マシーンが利用されていました。
建物にはバルコニーもあって、そこで日光浴もできるようになっていたようです。
初めは約30人の入院患者を収容できたそうですが、のちに規模が大きくなってたくさんの増設が行われました。
19世紀半ばにはポンプで海水を屋内に取り入れることができるようになったので、夏期のみの病院から通年で利用できるようになりました。
そんな海水プールも増設された部分です。
ギルバートスコット(イギリスの有名な建築家)が担当したチャペルもあります。
この病院は結局他の総合病院に吸収されてしまい、20世紀の終わりには建物をどうするかでひと悶着あったようです。
結局、建物は売却されて2016年には分譲マンションとしてリースの販売が始まりました。
1LDKから3LDKくらいの規模が主で、ロンドンから比べるとずいぶん安い。
海が見える2LDKの物件(93平米)で7500万円程度。
見取り図はこんな感じ。
上のに比べると海が見えなくて少し狭い(53平米)けれど、もっと安い物件もあります。
こんな感じの物件で同じく2LDK で3000万円程度。
定年を迎えた後に海の近くで過ごしたいならお手頃ですね。
他にも見てみたい人のために不動産屋のリンクを貼っておきます(リンクします)
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