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2026年7月25日土曜日

イギリスにキョンはいるのか?

何だかサー・デイヴィッド・アテンバラーのドキュメンタリー番組のタイトルみたいな今日の記事(爆)
ま、リッチモンド発信なのでふさわしいかな?(サー・デイヴィッドはリッチモンド在住!)

何でこんな記事になったかというと、この間お客様と行ったレストランのメニューにキョンがあったから(驚)


場所はシェイクスピアの生家があるストラットフォード・アポン・エイボンのとあるレストラン。
この写真はレストランじゃなくて、シェイクスピアの生家。

そして、こちらが件のメニューの一部。

最近、ロンドンを含めイギリスでは前菜の前に「スナック」というセクションを見ることが多くなりました。

おつまみってことです。
ちょっとメニューを訳してみます。
コッツウォルズの鹿肉で作ったスコッチエッグ・自家製ブラウンソース添え
カリフラワーのコロッケ・パルメザンソース添え
キョンの肉団子・オックスフォードソース添え
単品だとそれぞれが8ポンド、全部注文すると22ポンド。

ということでおつまみセットで注文してみたのがこちら。
おぉ~(笑)
4人分のおつまみ誕生!

ランチのお酒のあてにぴったりですね!

キョンの味はそんなに不思議な味ではなかったです。
というか、言われなければ特別なお肉だってわからないかも。
もっと野性っぽい味かと想像していましたが、中華料理屋さんで出てくる普通の肉団子の味と変わらなかった。

オックスフォードソースというのは辛口のお好み焼きソースってかんじで、日本の人にも合うと思います。
ボトルに入って売っていますが、ネットでは見るものの、ロンドンのスーパーマーケットではあまり見ないかも。


話をキョンに戻すと、昔、鑑賞用に育てていたものが逃げ出して、イギリスには天敵がいないための大繁殖してたくさん生息しているそうです。
犬と同じようなサイズでシカの一種。

ロンドンの公園で確実に見られる鹿の種類では、アカシカ (Red Deer) & ダマジカ (Fallow Deer)をリッチモンド・パーク やそのお隣にあるブッシー・パーク でみることができます。
それ以外の鹿はロンドン中心部から少し離れた郊外の緑地や、民家の庭、線路脇などに野生の状態で生息しているそうです。

ロンドン野生生物トラスト (London Wildlife Trust) の調査によると、
キョン (英語ではMuntjac)はロンドン郊外の森だけでなく、フィンズベリー・パークなど中心部に近いエリアの住宅街の庭や線路沿いにも、単独でひっそり出没するのが目撃されています。
実は私も見たことがあって、1回目見た時は何だったのかわかりませんでしたが、2回目以降は外見からキョンだと思いました。
因みに見かけたのは郊外にある敷地が大きな学校の駐車場。
胴体が丸くて首が短めの鹿みたいな形。

ノロジカ は非常に警戒心が強く夜行性ですが、ロンドン東部のエステートやゴルフ場、郊外の農地周辺の茂みに生息しているそうです。
ダマジカ は公園の外の野生個体としては、ロンドンのエッピンフォレスト やハロウ・ヒル周辺の街灯の下などで、群れで草を食む姿が定期的に目撃されています。
シカ / ニホンジカもいるんですって。
ロンドン周辺のプライベート公園から脱走した個体が、一部の郊外エリアで稀に野生状態で記録されているということです。

AIにイギリスに何頭くらいいるのか聞いてみたら「イギリス全体で約15万頭から25万頭以上のキョンが生息していると推定」と返ってきました。
理由は1年中いつでも妊娠できる特異な生態を持つため 対策をしなければ毎年個体数が何割も増え続けるそうです。
ということで、どんどん捕って食べるのがいいのかも(笑)




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2026年5月5日火曜日

バンクシーの最新作を見てきたよ!

先月(2026年4月29日)の未明に、バンクシーのアート「盲目の愛国者」が設置されました。

描かれたと書かずに設置されたと書いた理由は、彼のたくさんの作品が壁の落書きスタイルなのに対して、今回は 3D の像だからです。

ちょうどお仕事の開始場所が近くだったので、少し早めに行って写真を撮ってきました。

場所はピカデリ・サーカスからリージェント通りを南に降りてパルマル通りと交差するところ。

ナイチンゲール像を含む、クリミア戦争の記念碑の南側です。

「どの角度から見るのがいいかなぁ」って、ぐるりと回りながら写真をいろいろ撮ってきました。

像は南を向いています。
その像を南東から見上げたらこんな感じ。
旗が顔を覆っているところ→つまりこの人には何も見えない。
踏み出した左足の下には台座がない→つまり台から落ちてしまう。
それが一番わかりやすい角度だと思います。

後ろの覆いがかかっている建物はこのエリアに多い紳士クラブのひとつでアセニウムクラブ。
そして像の背後にはクリミア戦争の記念像。
つまり、ザ・大英帝国って感じの場所です。

街路樹を背景に撮ってみた。
像の真横から西を向いて撮ってみた。
踏み出した足がよくわかりますね!

やっぱりかっこいいのは正面からかなぁ。
今度は南西側から撮ってみた。
どの角度も良いですねぇ(笑)←誰も褒めてくれないから自分で褒める(爆)

台座の北側にはサインも入っています。
誰が置いたのが枯れてしまったバラが添えられていました。

これまでのバンクシーの作品は消されてしまったり、逆にアクリルなどで保護されたり、作品によってその将来はいろいろだったのですが、この像があるウエストミンスター市の広報によれば「バンクシーの最新の彫刻作品がウェストミンスターに設置されたことを歓迎します。これは、活気に満ちた市の公共アートシーンに印象的な彩りを添えるものです」とのことです。
裁判所の脇に描かれた司法の不公平さを揶揄した落書きがすぐ消されてしまったのとはえらく対応が違いますね。
ということで、少なくともしばらくの間はそこに行けば見ることができるようです。

この像の解釈はタイトル通り「盲目の愛国者」
設置された場所も併せて色々考えさせられる像です。


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2026年4月9日木曜日

イギリスは万引き天国?

ここ数日、イギリスで話題になっていることのひとつが「万引き」

日本もイギリスも法治国家ですが、私は窃盗に関する考え方にはかなりの開きがあると思っています。

もちろん個人差がある問題なので「イギリス人は」とか「日本人は」といった風にまとめる気はありません。
でもこの間、何かの折に「日本で有名人がサンドウィッチを万引きしてニュースになった」という記事を読んで「今のイギリスだったらきっと問題にはならないだろうな」とは思いました。

食べ物を盗んで社会的な制裁を受けるというフレーズで私が真っ先に思い浮かべるのは小学生の時に読んだ「ああ無情」という物語。
この作品は日本で育った普通の子供にはかなり理解しがたい物語だと思います。
泥棒はいけないことだと教えられてきたのに、主人公は泥棒です。
そしてその彼を追いかける警察の方が悪者のような扱い。
しかも、ひたすら暗くて救いがない。
実際、私は高校生になるまでこの作品がよく理解できませんでしたし、嫌いな作品のひとつでした。
本を読むことが大好きで何度も読み返すことが多かった子供時代「嫌いな本」がほぼなかった私にとって、珍しいので良く憶えています。
アルセーヌ・ルパンのようにヒーロー級の泥棒の物語は好きだったので、モラルの問題ではないと思います(笑)

日本には「謝って済んだら警察は要らない」と主張する人もいますが、対してキリスト教の国々では「懺悔すれは赦される」という考え方があります。

私は英会話を勉強し始めたころ、英語の理解の助けになるように聖書を読むこととイギリスのコメディーを見ることに時間を使いました。
変な高校生だったと自分でも思います(笑)
でもおかげで高校の授業で見る英語の世界とは全く違う世界が存在することはわかりました。

そんな私の高校生時代、忘れられない思い出のひとつに「英会話の先生の万引き事件」があります。
私が高校生の時に通っていた英会話教室にはたくさんのネイティブの先生たちがいました。
その中のひとり、イギリス人のある先生と何人かの生徒たちでコンビニに行った時、その先生がヘアジェルを万引きしたんです。
後で私が見ていたことに気づいたその先生は「みきちゃん、僕はかっこよく見せるためのこのヘアジェルが必要。かっこよければみんな僕の話を真面目に聞いて英語がうまくなる。そうするとこの国が良くなる。だからこのヘアジェルは日本の幸せのために手に入れた」とにっこり笑いながら片言の日本語でいいました。
あらゆる理由で突っ込みどころ満載ですが、その当時まだ16歳くらいの私は大人でしかも先生という立場の人に何て返していいのかわかりませんでした。
これ、作り話じゃないですよ。
学歴を詐称していた先生も多かった(←お教室を辞めてから知った)し、とんでもない英会話教室でしたが個性的でおもしろい先生が多くて、ここに通った2年間で私の英会話は格段に上達しました。


さて、イギリスの現在の万引き事情に話を戻すと、つい先日ロンドンのクラッパムで若者が集団で万引きを含めた反社会的行動をするという事件がありました。

映像を見たい方はトーク・ニュース(保守派のオンライン・ニュース番組)の映像をどうぞ。

これはかなり特殊な例ですが、問題視されているのは万引きがあまりにも普通になっていること。

イギリスでは現在200ポンド以下の窃盗に関しては罰則がないと思っている人も多いです(もちろん罪ではないという事ではありませんが、検挙されない場合が多いのは事実)
というのも2014年反社会的行為・犯罪・警察法のために、盗まれた商品の総額が200相当以下の場合、通常の窃盗犯罪とは別の「簡易罪」として扱われてきたからです。
加えて、スーパーマーケットで働いている店員や警備員も、万引きは見て見ぬふりをするというポリシーのお店が存在します。(これは窃盗犯と対峙して従業員がケガなどを負うリスクを減らすため)
実際、数日前にウェイトローズの店員が万引きをとがめたことがお店のポリシーに反するといって解雇される事件が起こり、あちこちから非難の声が上がりました。
ウェイトローズ以外にもコープも同じようなポリシーだといわれています。
興味深いのは、広告戦略に評判があるアイスランド・スーパーマーケットのCEOがその人を雇用する用意があると発表したと話題になったことです。

国家統計局の公式統計によると、2024年12月までの1年間でイングランドとウェールズで警察が記録した万引き事件は516,971件で、前年の429,873件から20%の増加になりました。
この数字は、2003年3月に現在の警察の記録方法が始まって以来の最高水準です。

英国小売協会の犯罪調査によると、小売業者は2023/24年に窃盗だけで22億ポンドという前例のない損失で、前年の18億ポンドから22%増加したそうです。

これを受けての「セーファー・ストリート(安全な街)」ミッションとして、2025年2月に法案が提示され、3月より審議が進んでいます。
審議の主な内容は;
*リスペクト命令(Respect Orders)の導入:
  • 反社会的行動を繰り返す人に対し、特定の場所(商店街や公園など)への立ち入りを禁止する強力な命令。
  • 年齢制限の引き下げ: 従来の成人(18歳)以上から、16歳以上の若年層にも適用拡大。
  • 罰則強化: 違反に対する罰則が強化され、最長5年の拘禁刑が科される可能性。
  • 警察権限の拡大と即時対応:
*反社会的行動に関与した車両を警察がその場で差し押さえる権限の強化。
  • 200ポンド以内の万引きを警察が軽視しないように2014年法のセクション176を廃止。
*住宅関連の対策:
  • リスペクト命令を受けた犯罪者が公営住宅の入居待機リストの最下位に回されるなどの住宅関連のペナルティを検討。
どんな結果になるかはわかりませんが、イギリスの社会問題は地域差や階級の問題など深いところに根があるので簡単に解決できそうにもありません。

実際、万引きの実態にもそういった問題が浮かび上がっています。
ちょっと長くなったので、そんなお話はまた今度紹介したいと思います。


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2026年2月6日金曜日

青い電話ボックス見たことある?


イギリスの BBC 長寿番組のひとつに「Dr WHO」というものがあります。
本来は子供番組だと思うのですが、大人にもファンは多い。
タイムマシーンとか、怪獣が出てくるんだけど、私はちゃんと観たことがないので詳しくは知りません。

そんな私でも知っているのはタイムマシーンが青い箱状であること。
ちょっと紹介するとこんな感じ。
この写真はグーグルマップからの借用です。
アールズコートというロンドン地下鉄駅の前。

これ、実は交番だったんです。
コンクリート製で、中には小さな机と警察署につながる電話があって、おまわりさんが中でお仕事できるようになっていました。

はい、過去形です。
今はもう使われていません。

交番が使われだしたのは19世紀後半。
スコットランドのグラスゴーが最初らしいです。
このデザインになったのは1929年のことで、全部で1000個設置されたそうです。
そしてこれよりもすっとスリムな鋳鉄製の電話ボックスタイプ(中に人は入れない)は1958年に製作されて、こちらも現在では使われていません。

ただ、いくつかは街中に残されているので、探せば外観を見ることはできます。
ロンドンの旧市街地、ギルドホールのそばにもあります。
ほらね。
ギルドホールの前の広場を挟んだところにセント・ローレンスという教会があって、その東側です。
白いパネルの部分には取っ手があって、それを開けると警察署につながる電話が入っていました。

天辺には青いライトがあって、それが点滅していると巡回中のおまわりさんが警察署に連絡の必要があるという意味だったそうです。
また、下の部分には救急用品が入っていたそうです。

現在わずかですが、ロンドンで見ることができます。
旧市街地のシティー警察のものはこの写真のような水色。

そしてそれ以外のメトロポリタン警察の管轄区では最初の写真にある交番のような濃い青色をしています。
ピカデリーサーカスにもあるので、一般の観光の人はそちらの方が探しやすいかな?
ピカデリー通りの北側、地下鉄駅に降りる階段の脇です。


いずれも無線の発達や公衆電話の設置などで1969年から順次撤去されていきました。
昔を偲んでいくつかは再び設置されましたが、機能は失われています。


そして今では携帯電話の発達で公衆電話を見かけることもずいぶん少なくなってしまいました。
そのうち公衆電話もこんな警察直通電話みたいに完全に過去のものになるかもしれませんね。



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2025年12月18日木曜日

住宅の共有所有権って何?

この間紹介した「とんかつ屋さんカツロー(リンクします)」へはクラッパム・ジャンクションの鉄道駅から徒歩でアプローチしました。

駅を出て1分ほどで工事中のマンションの横を通り過ぎました。
このエリアは最近若い人たちに人気があるらしい。

そういえば桃太郎君のお友達もひとりこのエリアにフラットを買ったと言っていました。

工事現場には広告が出ていて、コンシェルジュが24時間ついているフラットで1,2,3ベッドルームの物件があるらしいです。
そして、それらはシェアオーナーシップ。

シェアオーナーシップ(共有所有権)制度というのは;
収入が少ない(というよりも特にロンドンは不動産が高すぎ)ために住宅ローンが組めない(=家が買えない)
→賃貸住宅に住む
→いつまでたっても頭金が貯まらない
→住宅ローンが組めない
というループを断ち切るためのイギリス政府の住宅購入支援プロジェクトのひとつです。

一定の条件をクリアした人たちがその物件の一部(25%~)を購入してそれ以外の部分の家賃を支払うという制度です。
購入金額が小さいので用意しなくてはいけない頭金も少なくて済みます。
また、家賃は割引が適応されてそのエリアの一般賃貸よりもかなり安くなっています。
自分が持つ部分は25%から自分の経済に見合ったペースで増やしていき、最終的には100%自分のものにすることができるというプランです。
もちろん100%購入する以前に購入シェア部分の売買も可能です。

共有所有権 の物件購入にはいろんな制約が付くようです。
以下は一般的な例ですが、物件によって多少の違いがあるようです。
18歳以上であること。
世帯収入が9万ポンド(約1800万円)未満。
他の住宅を所有していない。
ローンチ後、初めの数か月は既にそのエリアに住んでいたり働いていたりする人たちに優先権があったりと、条件の詳細はその開発によって違いがあります。


クラッパムの物件はまだ出来上がっていないので詳しい情報はあまり発表されていません。
一番安いタイプのもの(おそらく1ベッド)が44万ポンド(約8800万円)になる予定で、つまりその25%ということは11万ポンドで、その頭金は1.1万ポンド(約220万円)用意するだけでいいということになります。
それくらいなら若くてお仕事を始めたばかりでもなんとかなりそうですよね。
ここは来年の1月末にローンチされる予定だそうです。


既に出来上がった物件だともっと詳しい間取りや販売価格を調べることができます。

リッチモンドの近くにブレントフォードという町があります。
ここにある共有所有権の住宅はこの11月のローンチされて、案内書をダウンロードすることができます(リンクします)

それによると1ベッドの物件のお値段は £427,500(約8500万円)
なので25%のシェアは £106,875 (約2100万円)
シェア購入のための頭金は£10,688(約210万円)で、毎月の支払い(住宅ローンと家賃)は£1,475(約30万円)
普通にローンを組んで住宅を購入するとローン返済額は2000ポンド以上になるので、それよりもずっと容易に住宅の購入が可能になります。

このエリアにある、一般のマーケットに出ている住宅が今どれくらいで取引されているのかは Zoopla(リンクします)を貼っておきます。


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2025年9月4日木曜日

王立海水浴病院???

「王立」「海水浴」「病院」
その一つ一つの意味は解るんだけど、全部くっつけると「???」になっちゃう。

でもそんな場所がイギリスにはあるんです。
いや、あったんですといった方がいいかな。


場所はマーゲイト、ロンドンからは南東、ケント州の海辺の町です。
駅を出たらこれは西側に5分くらい歩いたところ、マーゲートは海水浴場としても有名で、そちらは駅を出たら北東に歩くとすぐ。
先日、きれいに晴れた日にこの写真を撮りました。

王立海水浴病院は1791年に創立された肺外結核患者のための屋外療養施設がある、もし世界初でなければ少なくとも国内初の施設でした。

私は結核というのは肺の病気だけだと思っていたのですが、結核菌はいろんな場所に病気を起こすらしい。
首にできるリンパ節炎以外にも他の臓器(腎臓、骨、脳など)に炎症が及ぶこともあるそうです。

この病院の提唱者はジョン・コークリー・レティソンという医師で、カリブ海生まれのクェーカー教徒。
病気を治すために日光と新鮮な空気、そして海水浴が効果的だと提唱しました。

海水浴が身体にいいことは、イギリスでは16世紀ごろから言われていましたが、本格的に勧められるようになったのは18世紀に入ってから。
初めに人気になった場所はブライトンです。
特に当時皇太子だったのちのジョージ4世が滞在するようになってから、上流階級のたまり場にもなりました。
その当時の海水浴は今と全く違います。
海水浴にはベイジング・マシーンという馬にひかせた小屋のようなものを利用していました。
海岸でこの小屋に入り、中で着換えをしてある程度の深みへ進むまで小屋内で待機、そして海水に浸かります。
その後小屋に戻って小屋ごと海岸に戻ってくるというシステム。
えらく面倒ですね!
これもそうなんですが、古くから海水浴で有名な場所の郷土資料館などに行くと、昔の絵葉書が収集されていたりして当時のシステムがよくわかります。

この王立海水浴病院でもベイジング・マシーンが利用されていました。
建物にはバルコニーもあって、そこで日光浴もできるようになっていたようです。

初めは約30人の入院患者を収容できたそうですが、のちに規模が大きくなってたくさんの増設が行われました。
19世紀半ばにはポンプで海水を屋内に取り入れることができるようになったので、夏期のみの病院から通年で利用できるようになりました。
そんな海水プールも増設された部分です。
ギルバートスコット(イギリスの有名な建築家)が担当したチャペルもあります。

この病院は結局他の総合病院に吸収されてしまい、20世紀の終わりには建物をどうするかでひと悶着あったようです。
結局、建物は売却されて2016年には分譲マンションとしてリースの販売が始まりました。

1LDKから3LDKくらいの規模が主で、ロンドンから比べるとずいぶん安い。
海が見える2LDKの物件(93平米)で7500万円程度。
見取り図はこんな感じ。

この物件の室内写真です。

上のに比べると海が見えなくて少し狭い(53平米)けれど、もっと安い物件もあります。
こんな感じの物件で同じく2LDK で3000万円程度。

定年を迎えた後に海の近くで過ごしたいならお手頃ですね。

2025年8月27日水曜日

探偵みきちゃん

私が好きなお仕事というのは;

1、新しい発見があるお仕事
2、美味しいご飯が食べられるお仕事
3、少人数で好奇心があるお客様
4、リピーターのお客様って感じかな。
下調べとか探偵業務(笑)も大好き。


そんな都合のいいお仕事なんてあるの?
そう思われるかもしれませんが、ご心配なく。
結構あるんですよね~。

ブログをご覧になられてコンタクトされる場合もありますから、ことあるごとに自分がどんなガイドかここにも書いておくと誤解が少なくていいと思っています(笑)


この間探偵っぽいことをしたのはカールマルクスに興味があるという方をご案内した時。

私もマルクスや彼がイギリスに住んだ時代(ヴィクトリア時代)にはとても興味があるのでうってつけ。
いつもご案内する場所だけではなく、一歩、踏み込んだ場所をご希望ということで楽しみ。

事前に興味のある場所を旅行社を通して知らせてもらっていました。
ほとんどの場所は記念のプレートが建物についていたりするのですが、いくつかは住所のみで何の印もないところがあります。

イギリスでは住所さえわかれば初めての場所でも比較的簡単に訪れることができます。
番地が順に並んでいるので、通りの名前とその番地が必要。
今はグーグルマップとかもありますしね。

事前にルートなども考えておいたから、うまく動けたので時間に余裕ができました。
なので、予定外にどこか行きたいところがあるのかを聞いてみた。
そうしたら、実はもう一か所行きたい場所があるらしい。
「カンバーウェルという町にあるデンマークロード」
本当はデンマークストリートかもしれないけれど、見つからないからロードとストリートが間違って記載されたのかも、ということらしい。
カンバーウェルはロンドンの南側、郊外ですがグレーターロンドンの内側です。

通りを見ることができれば満足ということで、とりあえずはそこ(デンマークロード)にご案内しました。
新しい建物ばかりでヴィクトリア時代の面影はゼロ。
その時はこの通り、デンマークロードの写真を撮ってそれで終わり。
でも気になったのでおうちに帰ってからいろいろと調べてみました。
1855年、ソーホーの自宅で息子を亡くしたマルクスが、とてもそこにはいられないと友人宅に一時期身を寄せたそうです。
名前を聞いたらカタカナでイマントという人。
カタカナで書かれたものはスペル(正確な名前)を探すのに苦労します。
その人が有名なら記念のプレートがあったり、どこかに記録があるかもしれない。
少し調べたら Peter Imandt だとわかりましたがロンドンに住んだ記録はすぐにはわかりませんでした。

ということで次はその住所をどこから探すか。
マルクスが書いた手紙がまとめられてネットでも見ることができるので、まずはそこ。
書簡集から息子が亡くなった年の手紙を調べてみました。
そうしたら見つかったのがこちら。

友人のエンゲルスにあてた手紙です。
カンバーウェルのデンマークストリート、ヨークプレース3番地。
デンマークヒルじゃないよ、だとすればそれはカンバーウェルそのものになっちゃうからねと書かれています。

そこまで書くならデンマークロードとデンマークストリートを書き間違えたわけはない。
だからデンマークストリートは1855年には存在していたはず。
そこで1800年代半ばの地図を探してみました。
そうしたら、ちゃんと地図に記載がありました。
赤丸で囲んだところがデンマークストリート。
デンマークロードと並行して一本西側の通りです。
ということは通りの名前が変更になっている、そんな記録がどこかにあるはず。
なので担当区の住所変更記録を調べるとヨークプレースも出てきました。
どうやらデンマークストリートの一部分がヨークプレースとよばれていたようです。

これでヨークプレースも断定されました。
通りのどの辺かもちゃんとわかります。
その後この通りはキンブリーストリートと改名されて、その当時のおうちはすべて建て替えられたようです。

赤い矢印は昔パブがあったところ。
PH と古い地図に出てくるのは Public House の略です。
ということで、古い番地からその向かい青い矢印の場所がヨークプレースに該当する場所だとわかりました。

残念ながら当時の建物はない。
今建っているのはマルクスが滞在した時よりも少し後に建てられたもの。
現在は窓が3つ並んだ幅の5軒の立派なおうちが並んでいますがマルクスが滞在した時には15軒くらいのおうちが同じ場所にひしめいていました。
なので一軒一軒はもっと小さなおうち(多分窓はひとつだけ)だったはず。
イギリスの良いところはこんな風に探偵ごっこができるところかな。
調べればいろんなことがわかります。
そして、調べることが難しくないというのもポイント。
とりあえず調べて分かったことを資料にまとめて差し上げたので、それをもとに自分たちでもう一度写真を撮りに行ったそうです。

もうパブもないし、通りの名前も変わってしまったけれど、ここに建っていたという場所がわかるのは感慨深い。


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2025年7月8日火曜日

覆いがかかって見られなくなってしまったバンクシーのヤギ




崖っぷちにいるヤギさん。 
この赤い矢印の壁に描かれている作品です。
このビルが現在工事中。

この間キューガーデンに行く時に覆いがかかっていたのを見かけました。

その時は車の中から見ただけだったので、ちょっと写真を撮りに行ってきました。
ね?
完全に覆われているのでしばらくは見られないようです。

改装か何かだと思うんだけど、壁はそのまま残してほしいですね。
もしかしたら剥がして屋内に移動させたりするのかな?

また様子が変わったらアップデートしますね。






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2025年5月9日金曜日

ユースクラブってどんなところ?




イギリスでは昔からティーンエイジャーが余暇を使う場所としてユースクラブが存在しました。
私は正確な数字を持っていませんが、UK Youth Network((リンクします)によれば公私合わせて約8000の団体があるそうです。
そのうち地方自治体の運営によるクラブは2011-12年のの917団体から、2022-23年の427団体へと急激に減少しました。
原因は地方自治体の予算縮小です。

最近ではこういったユースクラブの減少が原因かもしれない、若い人たちの学校での成績低下や犯罪率の増加が問題視されています。



日本に住んでいると[マンチェスターという名前は聞いたことがあっても、そのお隣ソルフォードはそれほど知られていないかもしれません。

最近ではBBCの何部門かがロンドンを引き払ってソルフォードに拠点を移しました。
マンチェスター中心からは西側。
先日、そんなソルフォードにあるユースクラブ、Salford Lads and Girls Club(リンクします)を訪ねてきました。

ここはマンチェスターベースのミュージシャンに所縁があるということで、ユースクラブに興味がない人も訪れる場所です。
なので、通常のユースクラブとは少し趣が違いますが、基本は子供たちを含め若者が放課後の余暇を過ごすことができる施設。
スポーツ設備やクラス、イベントなどをオーガナイズしています。
実際にはそんな単純ではありませんが、することがなく時間を持て余して不良にならないようにってことかな。

「ソルフォオードラッズクラブ」のラッズというのは男の子って意味です。
現在ではラッズ&ガールズですが、創立当時は男の子だけだったんでしょうね。
ボクシングやプールテーブルなどがあって、メンバーが利用できるようになっている部分はそれほど他と変わらない。
映画 Billy Elliot(邦題リトルダンサー)を観たことがあれば、若いビリーがボクシングクラブに通わされて、同じ建物内で行われていたバレエのクラスに目が行ったというのを思い出してください。
それで雰囲気が想像できると思います。
こういったユースクラブの設立背景は様々で、チャリティー団体、ボランティアー、地方自治体などが出資します。

ソルフォードラッズクラブは地方自治体設立というわけではなく、貧しい若者たちのためにビール醸造所グルーブ&ウィットネルが作りました。
既にビール醸造所はなくなってしまいましたが、マンチェスターには今でもパブの建物に名前が刻まれているのを目にすることがあります。

この醸造所がまだビールを作っていた時代、1903年創立時からのクラブの記録もきちんと残っています。
このグレーの壁は過去にこのクラブのメンバーだった人たちの名前が刻まれている。
クラブの登録簿から集められた22500人の名前。

中には有名人もいます。
60年代のポップバンド、ホリーズのアラン・クラークとグラハム・ナッシュもメンバーでした。

そしてスミスのザ・クイーン・イズ・デッド(1986)のジャケットの写真はこのクラブの前で撮られています。
そんなことでスミスのファンから見れば聖地のひとつであるここにスミスの部屋が作られたのは2004年のこと。
世界中のファンがこのクラブの前で撮った写真はメッセージとともに壁いっぱいに飾られています。

マンチェスターの中心地からは少し離れますが、興味のある人は水曜日と土曜日に中を見ることができるようなので、念のため問い合わせてから行ってみるといいと思います。






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2025年5月1日木曜日

切手の専門店ギボンズ





このブログで何回か切手についての記事を書いたことがあります。
大英図書館でお勉強(リンクします)ではいくつかの切手のお値段なんかも紹介しました。


ではロンドンで切手を買いたければどこに行けばいいのか?

答えはストランド通りにあるギボンズです。
コレクターのための雑誌も出しています。



それにしても切手のお値段ってよくわかりません。
1840年に切手の利用が始まった時には黒い1ペニーと青い2ペンスの2種しかなかったわけで、その額面で取引がされていました。
新しいもの好きな人がシートで購入して壁紙に使った例もあったとか。

印刷の際は横に12枚x縦に20列というサイズのシート印刷でした。
ということで黒い切手が240ペンス、青だと倍の480ペンスですね。

今は十進法だから240ペンスは2ポンド40ペンスですが、1972年まではもっと複雑でした。
12ペンスで1シリング、そして20シリングが1ポンドです。
ということはペニーブラックのシート1枚が1ポンドってことですね。

1840年当時、1ポンドは熟練労働者の4-5日分のお給料だったそうです。

今では世界中の切手が取引されていて珍しいものだとすごい金額になったりします。


ウインドウにはお値段と一緒に切手が飾られていたりするので覗いてみると面白いです。
きれいなセットのものは500ポンドから2000ポンドくらい(9万円から38万円)。
これなんかは消印があるから使用済みのものですね。
ローデシア(現ジンバブエ)の切手で何と6000ポンド(100万円ちょっと?)

これらは香港の切手で比較的新しいものみたい。
お値段も1000円ちょっとからなのでお小遣いで買えますね!

びっくりしたのは遊戯王カードやポケモンカードが売られていたこと(驚)
桃太郎君、まだ持ってたら売ればいいのに(笑)なんて思いましたが店頭で60ポンドくらいで売ってるカードなら買取は持っていくための電車賃にも足りないんじゃないかな?


ギボンズのお店はストランド通りのちょうど真ん中あたり。
コベントガーデンの南側です。







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