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2025年8月7日木曜日

もうすぐ始まるミレー展

ロンドンのナショナルギャラリー所蔵の絵画はイタリアのものが多いです。
特に古いものはイタリアの比重が高い。

イギリスの絵画ももちろんあるけれど、イギリスのものを観たいならテイトブリテンの方がおすすめです。

テイトブリテンでミレーの絵をご案内すると、「え、これがミレー?」って意外な顔をされます。
日本ではフランス人のミレーの方が有名みたいです。
ふたりは全く別人です。

イギリスのミレー(Sir John Everett Millais)の代表作はテイトにあるオフィーリア。
彼はラファエル前派というグループに属していて1829年生まれ。


フランス人のミレー(Jean-François Millet)はバルビゾン派に属していて、代表作はたくさんあるけれど、種をまく人もそのひとつ。
イギリス人のミレーよりも15年生まれは早い。


そんなフランス人の方のミレーの展覧会が8月7 日から10月19日までナショナルギャラリーで行われます。

月曜日にはその展覧会に先立ってメンバー用のズーム紹介がありました。
ゴッホの模写が登場したり、いろいろ面白そう。

ということで訪れるのが楽しみな展覧会です。

チケットは特別展なのに無料。


ところでこれまでナショナルギャラリーは友の会(メンバー)に入ってもメンバーの部屋とかがなかったのですが、創立200年の改装に伴ってSupporters' Houseというエリアを作りました。
朝ごはんが食べられるとか、メンバールーム以外にもいろいろな特典があるみたいだけど、これまでのメンバーの倍額の会費。
入ろうかどうしようか悩んでいます。
私のメンバーシップは12月が年会費の切り替えなので、それまでには決めようと思っています。




イギリスの観光ガイドはライセンス制です。ご予約の際は英国政府公認ブルーバッジガイドを雇用しましょう。(リンクします)





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2025年4月9日水曜日

ナショナルギャラリーのワークショップに行ってみよう!



イギリスの主だった美術館や博物館が無料で楽しめることは広く知られていると思います。

物価が高いと非難されることが多いロンドンでも、そういった場所や公園ではお金をかけなくても良い時間を過ごせる。

でも美術館や博物館や公園の本来の目的は国民の教育や余暇の充実。
1824年にできたナショナルギャラリーでも、そのポリシーは受け継がれています。


さて、今日紹介するのはそんなナショナルギャラリーの北側にある別館のお話。
ローデンセンター(The Roden Centre)という名前で今年2月末にオープンしました。
私はナショナルギャラリーのメンバーになっているので、メンバーイベントなどによく顔を出すのですが、この時も建築や内装を担当した人のトークがあるというので出かけてきました。
記事にしようと写真もいっぱい撮ってきた(一応ブロガーだしね)
その割に記事が4月って遅くない?
いや、別に旬の話題ってわけでもないし(笑)

これ、入り口すぐのところの壁なんですが、面白いので紹介させて。
実はナショナルギャラリーの名画のいくつかからとられたモチーフがちりばめられている。
どのコーナーが何の絵からインスパイアされているのかクイズみたいに楽しめます。
(でも正解は載っていないから自分で考えないといけないけれど(笑)


その壁に向かって右側奥にはカラフルなドアが並んでいます。
ドアに白い文字で何か書かれているのがわかりますか?
その色の歴史など、説明が入っているんです。
そしてこのドア、ふつうは閉まっています。
中にはトロリーが入っていて、学校で来たときに子供たちのバッグやコートなどをまとめて預かる場所として利用されています。

階段やエレベーターで3階まで上がると広いスペース。
この建物は以前からあったものを改築したものです。
以前は窓がほとんどない建物だったのですが、北側の壁のあちこちに大きな窓をたくさん作ってかなり広く明るくなりました。
トークではそんな工事中の苦労話や改装されてよくなった部分、特に工夫した部分も含めいろんなお話が興味深かったです。

例えば以前は小部屋に分かれていたために狭く暗かったので、子供たちの創作意欲には良くなかったとか、特別支援の子供たちを受け入れるために(音が響くので)他の教室を全く使えなかったとか。
特別支援学校には音に敏感な子供たちもいますからね。
今は建物に防音材をたくさん使っているのでそういった問題はなくなり、隣の教室の音をまったく気にしなくてよくなったそうです。
天井に防音効果のあるものが利用されています。

お弁当を食べるスペースもある。
いろんな場所にリサイクルされた材料が使われています。
この洗面台の周りはヨーグルトのパッケージを再利用した素材でできています。
よく見るとパッケージの一部がちゃんと入っている。

このフロアの一つ下はレクチャールームでトークがあったのもここでした。
天井が高いのと、窓の大きさがわかると思います。
立っている二人はローデンセンターの建築家とデザイナー。


さて、今日紹介したいのは終わってしまったイベントの話や、予約がないと入れない学校単位のクラスの話ではなくて、このブログを読んでいる人たちが参加できるプログラムのこと。

え、今までのはイントロ?
ちょっと長すぎない?
はい、反省しています(笑)

学期中は月曜日から金曜日の 10am–6pmまで、予約された学校や個人の貸し切りクラスがあります。 
もう秋ごろまで予約でいっぱいだそう。

でもそんな貸し切りが終わった時間、6pm–9pm(現在、金曜日のみ)
そして週末や学校のお休みシーズンは 10am–6pm の間一般に開放されて、予約の必要なく入場できます。
ワークショップなどもあって楽しそうだし勉強にもなる。
ワークショップは主にこのセンター。
でも、無料のギャラリーツアーなどもあって、観るのは本館だけど、ローデンセンターで受付。
予約制のものもあれば、当日早い者勝ちなんていうものも。
是非行ってみてください。
入り口はオレンジストリートでトラファルガー広場ではありませんから要注意。
こちらがローデンセンターの建物とその入り口です。


近々行く予定はないという人でも、アプリをダウンロードして遊ぶプログラムがあります。







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2025年3月15日土曜日

同じテーマの絵を比べてみよう!


イギリスのいいところは美術館や博物館がたくさんあること!
特にその首都ロンドンには数えきれないほどのギャラリーがあって、無料で訪れることができる場所も多いです。

私は隠居するような年になったら絶対にロンドンから離れたくないと思っています。
何故かって、お金をかけなくても文化的な生活ができる都市だから。

年金を貰って、無料の交通パスを貰って、無料の美術館でのんびり絵を見たりする生活。
美術館や博物館の有料メンバーになれば、有料の特別展示だって見放題だし、レクチャーに参加したりするのもいいなぁ。

今日はそんな美術館でよく見るアーティスト、ルーベンスとヴァン・ダイクが描いた同じテーマの作品を紹介したいと思います。

このふたり、アントワープの出身なんですが、イギリスでも大活躍した画家なので、イギリスのお屋敷や美術館に行くと彼らの作品を目にすることが多いです。

ルーペンスの方が20年ほど年長。
そしてヴァン・ダイクは彼の工房で働いていたことがありました。
ふたりともイギリスの宮廷で活躍した功績から騎士の称号を受けて Sir Peter Paul Rubens 、Sir Anthony van Dyck とよばれました。

ルーベンスが30歳過ぎたころ、アントワープの市長から注文を受けて描いた絵に「サムソンとデリラ」という作品があって、ナショナルギャラリーのルーベンスのお部屋に飾られています。
迫力のある絵で、物語も面白いし、私はこの絵のご案内をするのが好きです。


そしてこちらはヴァン・ダイクのサムソンとデリラ。
この絵はダリッチギャラリー(有料)に置かれています。

この作品、ヴァン・ダイクが20歳くらいの時に、まだルーベンスの工房にいた1620年ころ描いたものです。
なのでおそらくルーベンスの作品のことは知っていたはず。
場面の構成が左右全く正反対なのが面白い。

それ以外にもサムソンとデリラの関係。
ルーベンスのバージョンでは自分が裏切った恋人サムソンにまだ心惹かれるようなデリアの態度がサムソンを見つめる目や彼の方に置いた手で表されています。
それがヴァン・ダイクのバージョンではサムソンから距離を取るような態度や散髪屋が仕事をしやすいようにサムソンにかかる布をずらして手引きをする様子が冷酷です。
お金を貰って恋人を裏切るなんて酷いっていう声が聞こえてきそう。
若いなぁ(笑)
ルーベンスは「事情があって裏切っちゃったけど、ホントは好き〜❤️」みたいな裏の事情を考えさせられますが、ヴァンダイクの絵ではそういった深い感情よりも興味津々で覗き込む老婆の方が共感できる。
「ゴクッ」と唾を飲む音が聞こえてきそう!!

ところで、前回の記事でハサミの話をしましたよね。
ヴァン・ダイクのハサミの部分を見てください。
「何これ?」と思いました?


こっちがルーベンスのハサミです。
私たちにも見慣れたハサミですよね?

じゃあヴァン・ダイクの絵に出てくるモノは何か?
これもハサミの一種です。

ハサミって何千年も前に古代エジプトで生まれたんですが、それ以降ヨーロッパでは16世紀までは「握りばさみ」が主流だったんです。
私たちが普通に思うX型のハサミは古代ローマ時代から存在こそしていましたが16世紀以前は一般的ではなく、17世紀から一般化していきます。
つまりルーベンスは彼の時代のハサミを描いて「見て〜最近こんなの流行ってるでしょ」って言いたかったのか。

昔の握り鋏は銅でできていたらしい。
このハサミはエジプトっぽい装飾のローマのハサミ。
1800年ちょっと前のもの。
NYのメトロポリタン美術館所蔵(リンクします)

日本の糸切り鋏みたいですよね。

因みにギリシャ神話ではこういった糸切り狭は「命の糸を切る」ということで死を表すモチーフとして使われます。

ヴァン・ダイクが描きこんだハサミはギリシャで羊飼いが使っていたタイプ(鉄製の頑丈なシアーズといわれる握りばさみ)
わざわざギリシャっぽいものを入れたということは、つまりサムソンの死を表すってことなのかなぁ?
すごいね、ヴァンダイク。

え、ちょっと待って。
いくらヴァン・ダイクが裕福な絹商人の息子でもギリシャのことそんなに詳しく知ってる?
17世紀ってギリシャは異教のオスマントルコだし簡単に行くことができなかったのでは?

行かなくてもわかるんです。
ダリッチギャラリーに行かなくてもこの絵を見ている皆さんがいるように、行ったことのない国の絵や話を伝える方法が昔からあるんです。
「本」って呼ばれています(笑)
これは1510年ごろに教会で使用される書物のために描かれたものでフラマン地方で製作されたもの。
羊飼いのハサミを見てください。
大きさも質感もヴァン・ダイクのハサミとおんなじ!!


絵がちょっとうまいだけの若造だと思っていたのに、ルーベンス先生、ちょっとドキッとしたかも?
いまさら市長さんのお宅にお邪魔して「すいません、鋏をちょっと描換えたいんです」とは言えない。

そして、そんなヴァン・ダイクの画家としての腕前もいたるところに表れています。
デリラの肩の部分の装飾。

ドレスの豪華な生地部分。
ヴァン・ダイクは絹商人の息子だっただけあって、いい素材を小さな頃から見ていたせいなのか、素材の選択や描写がとても素晴らしい画家です。
肖像画家として上流階級の人々に贔屓にされたのがよく理解できます。

人間のドラマを描くならルーベンス、高級素材ならヴァン・ダイク(笑)

というか、一説ではヴァン・ダイクの才能を恐れたルーベンスが、自分の得意な歴史画や宗教画のマーケットを取られないように「君には肖像画が向いている」と勧めたとか。

真偽はさておき、二人の作品を比べるとなんだかありそうな話という気がします。






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2025年3月13日木曜日

ナショナルギャラリーのサムソンとデリラ



今日はルーベンスが描いた「サムソンとデリラ」を紹介したいと思います。

ナショナルギャラリーにあるこの絵。

大きくちゃんと見たいなら、ナショナルギャラリーの公式サイトのリンクをどうぞ。

イギリスではサムソンはサムソンだけど、デリラはデライラと発音します。

そして、デライラという名前には悪女という印象が付きまとう。
それは聖書の中の物語からのイメージ。

まず、この絵のテーマになっているサムソンとデリアなんですが、ふたりは恋人同士です。
このサムソン、彼はお母さんのおなかにいる時から神様が気にかけてくれていたラッキーな人。
天使が下りてきて妊娠中に気を付けた方がいいことなんかのアドバイスももらってた。
生まれた後も願い事は何でも神様が叶えてくれます。
力も並外れて強くてユダヤ人のヒーロー。

ところが~!!
それで終わりなら面白くない!

実はサムソンって女運が悪いんです。
というか、見る目がないといった方がいいのか…。

最初に好きになった女の子が宿敵部族ペリシテ人の娘。
でも好きで好きでたまらない。
そこで神様に守られてもいることだし、家族の反対を押し切って無理やり結婚しちゃいます。
ところが奥さんの実家のみんなから嫌がらせをされて面白くない。
ある日、我慢も限界ということでカッとなったサムソンは奥さんの親戚一同を皆殺しにする…といっても武器はどうしたのか?
「ねぇ神様、なんかいい武器ないですか?」って聞けばいい。
そうしたら、ロバの白骨死体が道端にでてくる。
その下あごの骨を手に親戚を皆殺しにします。
その辺は血の海ですよね。
映画にしたらちょっとグロすぎるかもしれませんが、聖書で読むとそんな風に聞こえないのが不思議。
疲れたサムソンはへなへなっと座り込んで「のどが渇いたよ、神様…」ってつぶやく。
そうしたらサムソンの座った脇から泉が湧き出てのどを潤すことができたそうです。
旧約聖書って面白いお話がいっぱいあるけれど、サムソンのお話はその中でも読み応えがあるもののひとつです。

さて、仲間を何人も(聖書によれば1000人)殺されたペリシテ人は当然復讐を考えます。

しばらくして、サムソンに新しい恋人ができるのを待って、その彼女デリアを買収することにしたのです。
「サムソンからその力の秘密を聞き出せ」というわけ。
デリアはことあるごとにサムソンに問いかけます。
「ダーリン、どうしてあなたはそんなに強いの?」そんな問いかけじゃないですよ。

もっと具体的。
「どうやったらあなたを縛って痛めつけることができるの?」
それを聞いて疑わないほどサムソンは純情だったか?

サムソンはデリラに嘘を教えます。
「かわいたことのない七本の新しい弓弦をもってわたしを縛るなら…」
で、デリラはそうしたんですが、全然効き目がない。
他にも使ったことのない新しい綱で縛れとか、髪の毛を織り込んだ布を使えとか、もうこうなると縛られるのが好きなのかと誤解しちゃうほど(爆)

デリラがうるさいので結局秘密をばらしてしまうサムソン。
具体的には毎日「何度も嘘ばっかり言って、どうして私を愛していると言えるのですか」としつこく迫ったそうなので、サムソンの魂は死ぬほど苦しんだらしいです。
私がサムソンだったら、自分を痛めつける方法を聞かれた1回目でその人とは別れますけどね(笑)
サムソンは忍耐の男!

で、ここで注意してもらいたいのはその秘密が何かということなんですが、サムソンの上に覆いかぶさるようになった青い服の男性がハサミを持っていますよね?
ルーベンス先生、これじゃダメなんです!!
旧約聖書の士師記 13-5 に「見よ、あなたはみごもって男の子を産むであろう。その頭に剃刀を当ててはならない。」って出てくるんですよね。
はさみで切っても何ともない。
実際にサムソンがデリアに言った噓のひとつは、髪の毛を7房、織り込んだ布を使えというものでしたが実行後(つまり髪を切られた)サムソンの怪力は元のまま。
ま、かみそりだと濡らして剃るから起きちゃうってことかもしれません(笑)

それにしてもデリアはこのあと銀をたくさんもらったんですが、この絵を見る限りでは結構後悔していますよね。
でも秘密を聞き出すまでに何回も失敗したり、毎晩のようにしつこく聞いたっていう事実からも後悔しそうなタイプではないと思うのは私だけ?

悪女デリア。
今は美しくてもいつか時がたてばその美貌は失われて自分が犯した数々の罪にさいなまれる日が来るのでしょうか?
ということでルーベンスはデリアの顔の上に老婆を描きこんでいます。
そしてそのさらに上部には美と愛の女神アフロディーテ。
肉体の愛を表すキューピッドが愛の女神を見上げているという構図も意味が深いです。
そして陰影とのコントラストがデリアの白い身体を輝かせてとても美しい作品です。

この絵はアントワープ市長宅のマントルピースの上に飾るために描かれました。
なので、床で寝ているように見えてしまうのはちょっともったいないです。

もう少し高いところに飾られていたわけで、私たちが今美術館で見るよりももっと下から見上げるようにするとベッドの上にいるというのがわかります。

是非、ナショナルギャラリーで本物を見てくださいね。








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2024年10月25日金曜日

ナショナルギャラリーのゴッホ展に行ってきた!

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アムステルダムのゴッホギャラリーに行ったのはロンドンに住んで間もないころ。
まだ観光ガイドの学校にも行っていなかった。
ティムちゃんと結婚する前。
親友の女の子とふたりでロンドンでもヨーロッパでも遊び歩いていた時。
その時は折角だから行っておこう程度で、特にゴッホに思い入れもありませんでした。
でも今では彼のバックグラウンドがよくわかって、行ってよかったと思っています。

ゴッホに限らず、美術館で絵を観るのはもちろん楽しいのですが、その絵が出来上がるまでの道のりというのを最近、以前よりももっと考えるようになってきました。
有名な絵をただ見るだけじゃない、もっと深い観賞の仕方。
美術館もいろいろな特別展示でキュレーションに工夫をしています。


私は以前、ゴッホがそれほど好きではありませんでした。
でも、35歳を過ぎたあたりからかなぁ、年々少しずつ彼の絵が好きになってきました。

今回のロンドン・ナショナルギャラリーでのゴッホ展は「詩人と恋人たち」という副題がついて、主に1888年から1890年、彼がアルルとサンレミに住んでいた時代の作品を中心に展示されています。
つまり彼が亡くなるすぐ前。

現在12月8日までの一般チケットはほぼ売り切れで、その先のチケットは11月に売り出されるそうです。
いま売りに出ているものは土曜日と日曜日に僅かですがチケットがあるみたいです。

メンバーになるとまだまだ空きはあるので、どうしても見たければメンバーになるのもいいアイディア。
またメンバーの特典として、有料展示は無料だし、しかも何回も行くことができます。
それにもまして、行列に並ばなくてもいい!!
ナショナルギャラリーの前、右側にも左側にも人が並んでいるでしょう?
ここ最近は毎日こんな感じ。
特に午前中の行列が長いです。

そして1週間ほど前から、セキュリティーが強化されて、処方箋があるお薬と赤ちゃんのミルク以外の液体は持ち込み禁止になりました。
バッグ類のサーチも念入りなので、予定は大目に見ておいた方がいいです。

さて、今回の展示で、特によかったと思う作品をいくつか紹介しますね。

この絵は展示の最後の方にあった作品です。
木の幹の周りの草花の生命力というか、可憐な花がたくさん咲いていて、わ~って気になりました。
木の幹の描写もすごい。

やっぱり作品を間近でいろんな角度から観賞できるのが美術館の醍醐味ですね。
絵の具の立体的なところとか、本当によくわかる。



今回の特別展ではいくつかのお部屋に分けて全部で61点もの作品が並んでいます。
一つのお部屋ではスケッチがズラリ。
普段目にすることがないので、とても見応えがありました。

あるお部屋にはひまわりが2点。
左がナショナルギャラリー所蔵のもの。
右はフィラデルフィア美術館のもの。
実は今年はロンドンのナショナルギャラリーができて200年。
そして、このひまわりが購入されてちょうど100年なんです。
右手のひまわり、バックグラウンドが水色なのはミュンヘンのひまわりと似ています。
実はこの作品、ゴッホが真ん中の絵も含め、この並びで黄色い家の内装を考えていたというものなんです。

テオに宛てた手紙の中に描かれていたスケッチ。
真ん中の絵は子守唄というタイトルで、ロープを持っている(それを時折引っ張って繋がれたゆりかごを揺らすため)女性が描かれています。
彼女自身もロッキングチェアに座っているので「揺れ」がテーマ。
海に出て船で揺られている漁師さんたちが心地よさを感じることができるだろうという表現が、これまたテオに宛てた手紙の中にあります。

特別展の中はこんな感じです。
ゆっくりと自分のペースで鑑賞できる。
立ち止まって5分、10分のんびり見ていても大丈夫。
座ってゆっくり見ることもできます。
実はこの写真はお部屋の中央に置かれたベンチに座って撮ったもの。
ちょっと遠いですけどね。



こちらはゴッホの自画像。

こちらはゴッホ美術館から借りてきた黄色い家の外観。

私、ゴッホの濃い青が好きです。
水色ではなくて、深い青。
この自画像のバックや、上の絵の空の色。


自画像の隣には黄色い家の内装。
ベッドの上にかけられた絵のうちのひとつが隣に飾られている自画像だそうです。


今回の展示で私が一番惹かれた絵がこちら。
ローヌ川の星空。

吸い込まれるような青い夜空に大熊座が輝いています。
ドン・マクリーンという人が歌ったヴィンセントを聞きながら観てほしい。
You Tube をリンクします。
この曲は1970年ごろのもので、ドン・マクリーンがゴッホについての本を読んだ後に作ったもの。
ただ、彼はニューヨーク生まれで育ったのもそこだから、彼のいうゴッホの星空というのはもう一枚のアメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)美術館所蔵の方だと思う。
この作品は今回の展示には含まれていません。
こっちの方が有名だけど、私はローヌ川の星空の方が好きだなぁ。

今回の展示ではいくつかの絵の上にゴッホ自身の言葉が紹介されています。
星空の絵の上にかかれているのがこちら。
テオに宛てた手紙の一部。


61点の作品が並んだ中で、いくつかをピックアップして紹介しているわけですが、私が選ぶ基準というのは私の心に刺さった作品ということで、それは訪れた人たちそれぞれが別の感情を持つものです。

例えばこれ、サン・レミの病院。
私が南仏を初めて訪れたのはティムちゃんとの初ホリデー。
カンヌから少し上がったところにあるムージャン(Mougins)という町でした。
3週間ばかり町のホテルに泊まってプールサイドでのんびりしたりテニスをしたり。

リッチモンドからは車で。
まだユーロトンネルが開通前だったし、フランスではフレンチフランが通貨だった。

フランスはパリしか知らなかった私には南仏はとても印象的でした。
プロヴァンスの岩肌の赤い色と生い茂った濃い緑、そして濃い青空。
ロンドンでは見られない強烈な太陽の下、それらの色が道路のカーブを曲がるたびに目に焼き付いたのを今でもよく覚えています。
この作品は、場所こそ違いますが、そんな南仏での思い出を色で蘇らせてくれました。

私がゴッホを考えるときにいつも思うのはオランダで生まれ育った彼にとって、南仏の色の印象がどれほどのものだったかということ。
きっと私が感じた何倍も強烈だったんじゃないかな。


ナショナルギャラリーのヴァン・ゴッホ展は1月19日まで。
とってもお薦め。
是非お出かけください。
ナショナルギャラリーの特別展示、ヴァンゴッホ、詩人と恋人たち(リンクします)







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2023年4月1日土曜日

後期印象派、モダンアートの始まり

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ナショナルギャラリーで始まった「After Impressionism: Inventing Modern Art」を観てきました。

これは印象派の後、どのようなモダンアートがどんなアーティストたちによって起こっていったかという、アートの枝分かれの部分に焦点を当てた展示です。

具体的には印象派の最後の展示会があった1886年から第一次世界大戦の始まる1914年まで、それまでアートの中心であったパリに加えて、ブリュッセル、バルセロナ、ウィーン、ベルリンなどがアートで重要な位置に立つようになった時代です。
すごく充実した内容で楽しめました。
幅の広い展示になるのは想像できたので、事前に行われたキュレーターによる展示の解説のズームレクチャーも視聴した後、実際に足を運びました。

今回の有料展示にも、ふだんナショナルギャラリーの常時展示に出ていて無料で観ることができる作品がいくつも含まれます。
でもやっぱりどの絵を何の隣に置くか、また、どの順番で見せるのかといったことが理解の深さにもかかわってくるので、必要悪かなぁ。

もちろん、他から借りてきた作品もたくさんあって、十分な見ごたえが期待できます。

今日は、いくつか心に残った作品を紹介します。
でもぜひ機会を見つけて実際に展示を見に行ってください。


特に私がいいなと思ったのがゴーギャンのコレクション。
普段からナショナルギャラリーで見るものもあれば、見たことのないものも多かったです。
こちらはナショナルギャラリーじゃないけれど、ロンドンで観ることのできる絵です。
Nevermore というタイトルはエドガー・アラン・ポーの大ガラスの中に出てくる一節でもあって、正面の裸体の中央やや左の背景に大ガラスが見えます。

何点か、彫刻や焼き物があったのは意外でした。
中でもこちらが素敵だと思いました。
クロードやターナーの松を彷彿とさせる図柄です。
私が一番惹かれたのはこちら。
1888年初頭に描かれたブリターニュの景色です。
タイトルは波。

ビーチの赤と波のうねりが印象的です。
誇張された色や形が前衛的なこの作品、いったん展示の出口まで順路通りに観た後で、戻ってきて見直した作品です。
視点が高台で、まるでドローンから撮影したみたい。

他にもピカソの作品が何点かあったのですが、こちらは「アブサンを飲む女」
この「ロッジの女」と表裏になったひとつの作品です。
こんな感じで裏と表、両方が見られる展示になっています。
もうひとつ、ピカソの「髪を梳く女」


これはモンドリアン。
全て木のモチーフ。
抽象化していく様子がよくわかって面白い。

他にもルソーのこちらが印象的。
ここには載せていませんが、点描のスーラとか、本当に幅が広い展示なので一回では見切れないかもしれません。

私はまだ1回しか行っていませんが、機会を見て何回かに分けてもっと深く見学しようと思っています。

ナショナルギャラリーの入場は、ふつう無料なのですが、こういった特別展示は有料です。
この展示は平日が24ポンド、週末は26ポンドでチケットを手に入れることができます。
もしくは年間メンバーになれば何回でも入場が可能です。
メンバーになると、一般の展示にも優先入場ができる特典があったり、メンバーのみ参加できるイベントがあったりします。










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