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2026年4月21日火曜日

イギリスの万引きはどこで多いの?そして何が盗まれるの?



記事の中で国家統計局の公式統計なんかも少し紹介しましたが、今日はもう少し詳しい話をしようと思います。
なんか、いつもの「パブの肴」とぜんぜん違う!と思いました?
たまには真面目なところも見せておかないとと思っただけです!
だって、二日酔いだった~(リンクします)なんて記事ばっかり書いていると思われたくないですからね(笑)


これから紹介するのは 2024年にイギリス(イングランドとウェールズ)で警察に登録された万引きの統計調査結果の概要です。
パーセンテージは前年からの変化。
全ての犯罪がそうであるように、報告されないものもあるわけで、実際の数はもっと多いと想像します。
保険で処理するには届け出が必要だけど、少額の場合は保険の対象ではなかったり、補償を受けたために次回更新するときの保険料の増加を考えると必ずしも補償を受けることが得策ではなかったりします。

万引き事件の総件数 516,971 +20%
この数字は、2003年3月に現在の警察の記録方法が始まって以来の最高水準です。

1日当たりの万引き事件 1,417 +203
ということで、1時間あたり59件の事件😰

経済的損失 22億ポンド +22%
これまでの記録更新!

商店のスタッフに対する暴力 1日2,000人以上 +50%
そのうち1日に70件以上が武器を使う事件。

スタッフの安全に関する不安 47% +15%
離職の理由にもなっている。

どんな方法で万引きが行われるかというと、具体的には集団で大きなバッグを持って店にやってきて、高価な商品のセクション全体を組織的に奪っている状態。
日本で沢山の人達が想像する、お店の人の目を盗んで商品をバッグやポケットに隠して気付かれないようにお店を出る、というものとはスケールが全く違います。
こんなイメージは従来の万引き。
でもこの程度だったら今のイギリスでは先ず報告もされないんじゃないかな?(だからといってやっていいわけじゃないけど😅)

こういった犯罪白書では窃盗による直接的な損失だけを見てしまいがちですが、他にも大きな経済的影響があります。
例えば警備費用の増加、保険料の上昇、商品価格の上昇から販売数の低下、従業員の離職率の上昇、そしてそれらの結果として店舗閉鎖やその投資減少にも繋がります。

こういったトータルのコストを計算すると、経済的影響は前例のないレベルで、小売業が店舗を持つという従来のスタイルに疑問を持たないといけないところまで来ています。
そして、英国小売協会の調査では回答者の61%が事件後の警察の対応を「悪い」または「非常に悪い」と評価しています。
警察を含め、法執行機関の対応が足りていないという考えが犯罪組織を調子に乗せて、状況が深刻になっているという意見も。

地域社会への影響も無視できません。
犯罪多発地域では店舗閉鎖や投資減少が起こります。
そして、雇用や地方税収の減少から経済的な停滞地帯を生み出して、それが長期にわたる可能性もあります。
小売犯罪スタイルの変化は、現在のイギリスでおそらく最も重大なリスクのひとつ。
現代の万引き犯は、転売を頭においています。
なので価値が高くて持ち運びしやすくて、闇市場の流通経路を持つ商品を優先的に狙っています。
昔のように、ふとした瞬間のスリルや欲望によって万引きするスタイルではないのです。

万引き犯のターゲットリストも紹介しておきます。
何が盗まれるのか、そしてその理由も併せて書きますね。

商店が挙げた万引きされやすい商品カテゴリーと万引きの理由
1 食肉製品 85%  高価格で転売可能、レストラン市場向け
2 アルコール 78%  確立された闇市場の存在
3 菓子 72%  小型で隠しやすい
4 ベビーミルク     68%  高コストながら必要不可欠なので需要が高い
5 チーズ 65%  長期保存可能、レストラン市場向け
6 美容製品 62%  高額、オンライン転売
7 タバコ 58% 中毒性があり需要が高い
8 コーヒー 55%  高級ブランド、カフェ市場
9 洗面用具 52%  必需品、マーケットなどの屋台で販売
10 エレクトロニクス 48%  オンライン転売

レストランやカフェで盗品を買うなんて、信じられませんが、おそらくメニューが柔軟でないチェーン店ではなく、個人店だと思います。
本日のスペシャルメニューとかが盗品で作られた可能性があるってこと?(←私の単なる想像です!)

そしてイングランドとウェールズ全域における地域別の万引き発生率を分析するとかなり地域差があることがわかります。

地域 人口1,000人当たりの万引き数と全国平均(7.4件)との差
北東部     11.5件 +35% 非常に高いリスクレベル
ヨークシャー・アンド・ハンバー 9.7件 +24% リスクレベル高
イースト・ミッドランズ     8.9件 +14% リスクレベル高
ウェスト・ミッドランズ     8.2件 +5%  リスクレベル中
イングランド東部       7.9件 +1%  リスクレベル中
ウェールズ      7.4件 0%  リスクレベル平均
南東        7.2件 -8%  リスクレベル中
南西        6.8件 -13% リスクレベル低
ロンドン      6.5件 -17% リスクレベル低

意外とロンドンの数字が低いですね。
でも、例えばヨークシャーとひとくちに言ってもハロゲイトとリーズではかなりの差がありそうだし、エリアが広いとちょっとあてにならないような気もします。
こういった数字はロンドン内の33の地域ごとでも公表されています。
なので、ある地域がどんなところなのかを知りたいのならもう少し小さな区域で調べてみる方が確実です。

では最後に面白い統計をひとつ。
よく日本がいい国だといわれる際にお財布を落としても戻ってくるという例を出したりします。
イギリス人は拾ったお財布をどうするのでしょうか?



  • お金が入っているかどうかに関わらず、お財布を最寄りの警備員または警察官に引き渡す。 76%
  • お金が入っているかどうかに関わらず、お財布を見つけた場所にそのまま置いておく。 6%
  • 中に100ポンド以上入っている場合のみ、届け出る。 6%
  • お金は手元に残して、お財布は警備員に渡す。 5%
  • お財布からいくらかのお金を報酬として取り出したあと、最寄りの警備員に渡す。 2%
  • その他 4%

ということで、アンケートが正直に書かれたものならお財布を落としても3/4以上の確率で返って来るようです。

私は何故かお財布やバッグをよく拾います。
お店の中や前などの場合はそのお店に預けます。
私自身も落としてお店に届いていたことがありました。
大体、落とした時に行った場所を探すので、わかりやすい方法だと思います。
周りにお店がなくて警察に届けたことも数回ありましたが、届け出の手続きには30分くらい時間がかかるので面倒です。
しかも最近リッチモンドには警察署がなくなりました!
他にも名刺入りのお財布を拾った時には電話をかけてその人のおうちまで届けたことがあります。
でもコロナ以降、落ちていても拾わない。
もしかしたら変な菌とか薬品とかついていたら怖いし、届け出も面倒だから。


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2026年4月9日木曜日

イギリスは万引き天国?

ここ数日、イギリスで話題になっていることのひとつが「万引き」

日本もイギリスも法治国家ですが、私は窃盗に関する考え方にはかなりの開きがあると思っています。

もちろん個人差がある問題なので「イギリス人は」とか「日本人は」といった風にまとめる気はありません。
でもこの間、何かの折に「日本で有名人がサンドウィッチを万引きしてニュースになった」という記事を読んで「今のイギリスだったらきっと問題にはならないだろうな」とは思いました。

食べ物を盗んで社会的な制裁を受けるというフレーズで私が真っ先に思い浮かべるのは小学生の時に読んだ「ああ無情」という物語。
この作品は日本で育った普通の子供にはかなり理解しがたい物語だと思います。
泥棒はいけないことだと教えられてきたのに、主人公は泥棒です。
そしてその彼を追いかける警察の方が悪者のような扱い。
しかも、ひたすら暗くて救いがない。
実際、私は高校生になるまでこの作品がよく理解できませんでしたし、嫌いな作品のひとつでした。
本を読むことが大好きで何度も読み返すことが多かった子供時代「嫌いな本」がほぼなかった私にとって、珍しいので良く憶えています。
アルセーヌ・ルパンのようにヒーロー級の泥棒の物語は好きだったので、モラルの問題ではないと思います(笑)

日本には「謝って済んだら警察は要らない」と主張する人もいますが、対してキリスト教の国々では「懺悔すれは赦される」という考え方があります。

私は英会話を勉強し始めたころ、英語の理解の助けになるように聖書を読むこととイギリスのコメディーを見ることに時間を使いました。
変な高校生だったと自分でも思います(笑)
でもおかげで高校の授業で見る英語の世界とは全く違う世界が存在することはわかりました。

そんな私の高校生時代、忘れられない思い出のひとつに「英会話の先生の万引き事件」があります。
私が高校生の時に通っていた英会話教室にはたくさんのネイティブの先生たちがいました。
その中のひとり、イギリス人のある先生と何人かの生徒たちでコンビニに行った時、その先生がヘアジェルを万引きしたんです。
後で私が見ていたことに気づいたその先生は「みきちゃん、僕はかっこよく見せるためのこのヘアジェルが必要。かっこよければみんな僕の話を真面目に聞いて英語がうまくなる。そうするとこの国が良くなる。だからこのヘアジェルは日本の幸せのために手に入れた」とにっこり笑いながら片言の日本語でいいました。
あらゆる理由で突っ込みどころ満載ですが、その当時まだ16歳くらいの私は大人でしかも先生という立場の人に何て返していいのかわかりませんでした。
これ、作り話じゃないですよ。
学歴を詐称していた先生も多かった(←お教室を辞めてから知った)し、とんでもない英会話教室でしたが個性的でおもしろい先生が多くて、ここに通った2年間で私の英会話は格段に上達しました。


さて、イギリスの現在の万引き事情に話を戻すと、つい先日ロンドンのクラッパムで若者が集団で万引きを含めた反社会的行動をするという事件がありました。

映像を見たい方はトーク・ニュース(保守派のオンライン・ニュース番組)の映像をどうぞ。

これはかなり特殊な例ですが、問題視されているのは万引きがあまりにも普通になっていること。

イギリスでは現在200ポンド以下の窃盗に関しては罰則がないと思っている人も多いです(もちろん罪ではないという事ではありませんが、検挙されない場合が多いのは事実)
というのも2014年反社会的行為・犯罪・警察法のために、盗まれた商品の総額が200相当以下の場合、通常の窃盗犯罪とは別の「簡易罪」として扱われてきたからです。
加えて、スーパーマーケットで働いている店員や警備員も、万引きは見て見ぬふりをするというポリシーのお店が存在します。(これは窃盗犯と対峙して従業員がケガなどを負うリスクを減らすため)
実際、数日前にウェイトローズの店員が万引きをとがめたことがお店のポリシーに反するといって解雇される事件が起こり、あちこちから非難の声が上がりました。
ウェイトローズ以外にもコープも同じようなポリシーだといわれています。
興味深いのは、広告戦略に評判があるアイスランド・スーパーマーケットのCEOがその人を雇用する用意があると発表したと話題になったことです。

国家統計局の公式統計によると、2024年12月までの1年間でイングランドとウェールズで警察が記録した万引き事件は516,971件で、前年の429,873件から20%の増加になりました。
この数字は、2003年3月に現在の警察の記録方法が始まって以来の最高水準です。

英国小売協会の犯罪調査によると、小売業者は2023/24年に窃盗だけで22億ポンドという前例のない損失で、前年の18億ポンドから22%増加したそうです。

これを受けての「セーファー・ストリート(安全な街)」ミッションとして、2025年2月に法案が提示され、3月より審議が進んでいます。
審議の主な内容は;
*リスペクト命令(Respect Orders)の導入:
  • 反社会的行動を繰り返す人に対し、特定の場所(商店街や公園など)への立ち入りを禁止する強力な命令。
  • 年齢制限の引き下げ: 従来の成人(18歳)以上から、16歳以上の若年層にも適用拡大。
  • 罰則強化: 違反に対する罰則が強化され、最長5年の拘禁刑が科される可能性。
  • 警察権限の拡大と即時対応:
*反社会的行動に関与した車両を警察がその場で差し押さえる権限の強化。
  • 200ポンド以内の万引きを警察が軽視しないように2014年法のセクション176を廃止。
*住宅関連の対策:
  • リスペクト命令を受けた犯罪者が公営住宅の入居待機リストの最下位に回されるなどの住宅関連のペナルティを検討。
どんな結果になるかはわかりませんが、イギリスの社会問題は地域差や階級の問題など深いところに根があるので簡単に解決できそうにもありません。

実際、万引きの実態にもそういった問題が浮かび上がっています。
ちょっと長くなったので、そんなお話はまた今度紹介したいと思います。


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