2016年11月30日水曜日

ハンプトン宮殿シリーズ  上を向いて歩こう

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)


来週はいよいよハンプトン宮殿のガイド資格試験。

準備はきちんとしたつもりなので、落ち着いてブログでも書こうとラップトップを開けました。

今更焦っても始まらないし、これ以上知識を仕入れても混乱するだけなので、実地試験のスピーチの練習くらいしか、もうすることはありません。

どのタイミングで、内容をどうつなぐかといった構成も、まぁ満足しています。

試験は二日にわたって行われる予定で、
1日目は筆記。
何を聞かれるかはお楽しみ。
多分100から200問くらいの内容になると思います。
エッセイはないと思う。

2日目は実地試験。
試験官と一緒に宮殿内を歩いて、名前を呼ばれたら5分程度の案内をするというもの。
これは何回名前を呼ばれるか、どこが当たるかはその時にしかわかりません。
宮殿内で15か所ほど候補地がある。
でも、そこに立って何を話すのかはガイドの自由。

候補生は16人。
だけど試験は5人前後で回ります。

授業中に各自のプレゼンテーションがあるので、聞いていると面白い。
個性色々。
私たちのクラスで一番上手だと思うのはジョーという女の子。
事実とユーモアのバランスがすごくいい。

屋外も多いので、お天気がいいとうれしいなぁ。

こんな青空だったら、気分もいいだろうし。
これ、宮殿のクロックコートから見上げたグレートホールです。
小さくて見えないけれど、てっぺんにたくさんの動物が彫られています。
キングスビースト。

こちらはチムニー。
煙突です。
宮殿内に241本建っている。
全て模様が違うっていうけど、本当かなぁ?


ゲートをくぐるときは忘れずに見上げるとたくさんの模様。
とても美しくて、つい写真を撮ってしまいます。

 こういった模様にはひとつひとつ意味があります。
左から時計回りに、
イニシャル、A と H が恋結びになっている、
フレ・デ・リー(フランス)、
王冠を身に付けたハヤブサ、
そして落とし格子。

ヘンリー8世は、2番目のお妃、アン・ブリンをロンドン塔で処刑しますが、まだ仲が良かった時に宮殿のあちこちに彼女のイニシャルやシンボルを彫らせました。
A と H はアンとヘンリーです。
そしてハヤブサは彼女のシンボル。

フランスの紋であるフレ・デ・リーはフランスの王位継承権を求めた百年戦争の時代から、英国の紋の一部として定着しました。

落とし格子はヘンリー8世の父方の祖母であるマーガレット・ボーフォートの家紋。
チューダー朝の王位継承権が彼女の血筋から受け継がれたからからです。


こっちはカラフルでしょう?

中心やや右手が赤い帽子なのが分かりますか?
ちょっとアップできるかな?
これでどう?

この帽子は枢機卿の帽子です。
ウルジー枢機卿を意味します。
ハンプトン宮殿は彼のために建てられたものを、のちにヘンリー8世が取り上げたのです。

理由はヘンリー8世の一人目のお妃、キャサリン・オブ・アラゴンの離婚調停に失敗したから。

かわいそ~う。

チューダー時代の人の浮き沈みって、本当すごい。


こちらは屋内。
グレート・ウォッチング・チェンバーの天井。
金張りで豪華でしょう?


 こちらのバッジは左ふたつが3人目のお妃ジェイン・シーモアのもの。
右のは色が黒いでしょう?
チューダー時代のオリジナル。
だから約500年前。

材料はレザーマシェ。

レンガの粉と使い物にならない皮の端切れをノリと混ぜて固めるだけ。
ごみのリサイクルみたいなものです。
色を塗って仕上げればずいぶん立派に見えますね。

これ以外に天井画なんかも素敵です。

それらはまた別の機会に紹介します。



  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月26日土曜日

郵便局で並ぶ時間がもったいない時によく利用する Doddle

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)

スコットランドのエディンバラに住んでいる桃太郎君とは、週に何回かは電話でお話したり、夕ご飯の写真を交換したりしています。

おうちにいた時には何にもできなかったのに、大学での寮生活や社会人となってからの独立のおかげで、お料理が得意になりつつあるようです。

夜の7時ごろにかかってくる電話は殆どがティムちゃん宛。
レシピの確認とかね。

そんな際に近況をいろいろ話したりします。

とりあえず、エディンバラ、寒いらしい(笑)

ロンドンと比べたらずいぶん北だし、寒いのは当たり前。
いつも朝のお天気でエディンバラの気温もチェック。
会社までは歩いて通っているので、かわいそうに、寒いだろうなぁなんて思ったりしています。

この間、桃太郎君のお部屋を片づけた時に手袋を発見。
とりあえず必要なものは持っていってはいるけれど、お引越しが夏だったので、忘れちゃったのかな?

そう思って聞いてみたら、いくつか持っている手袋の一つらしい。

スキー用の暖かいタイプだから、きっとエディンバラで役立つだろうと送ってあげることにしました。


もう5年以上になるかな?

イギリスでは小さめの郵便局がどんどん閉鎖になりました。
おうちの前にあった小さなものも閉めてしまったので、郵便業務はリッチモンドのハイストリートまで行かないといけません。

歩いて10分ちょっとだし、どうせ毎日行く場所なのですが、耐えられないのはその行列。

大概10人から20人くらい並んでいます。

そこで、最近よく利用するのが Doddle 。

いろんなところで見かけます。

宅配を預かってくれるサービスとして認識していましたが、モノを送るときにも利用できます。

英国内での小さな小包は4ポンド弱で送ってくれます。
郵便局の方がちょっと安いかな?

でもここのいいところは、まず並ばなくていいところ。
あと、営業時間が長いこと。

平日なら朝8時から夜8時まで。
お仕事の帰りでも問題なし。

お仕事で宅配を受け取れない人のために始まったサービスなので、その辺ちゃんと考えてる。

急がないものと急ぐもののお値段は違うので、自分に合ったサービスを受けることができます。

これから郵便局の忙しい時期だし、手段として知っておくのもいいと思います。




  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月24日木曜日

バイオメトリックの登録ってどんなカンジ?

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)

外国人としてイギリスで生活するなら、色々必要なものがあります。

まずはヴィザ。

観光でちょっとお邪魔しますといった程度なら、事前に用意するものは無し。
日本のパスポートを持っているなら、空港や港、駅などで観光ですと言えばいい。

よっぽど過去に何かしでかしたのでなければ、6か月の滞在が認められるのが普通です。

この観光ヴィザでは就労は不可。

就労のためには、それなりのヴィザが必要です。

なので、最近はやりの「トラベロコ」とか「タビタツ」とか、
海外に住んでいる日本人にガイドモドキをさせて、いわゆるガイド料の20%をピンハネしている企業がありますが、かなりグレー度の高いコンセプト。

彼らが直接雇用しているわけではないので、責任はかからないし、ただ個人のやり取りのプラットフォームを提供といった形態は、民泊のエアB&B とか、白タクのウーバーと同じです。
ただ、日系のものは、利用者が日本人、サービス提供者もこの国では外国人で表に問題が浮上しにくいので、その点は政府の目が届きにくいエリアでしょうね。

最低でも、登録者が労働許可証を持っているかどうかのチェックはすべきだと思います。
また第三者保険に入っているかどうかとか、突けばぼろが出そうなことばかり。


イギリスでは、最近になって、個人営業の人と一般人を繋げるだけといった建前の、こういった企業の色々な責任を問うケースが出始めています。

まだ今のところは個人営業といった建前の、運転手などの権利に関することが主ですが、万が一事故が起こったりすると、安全面の管理などにも話が進みそうなのは想像できます。


イギリスは人権にうるさい国の一つで、
これはいつも驚かれることなんですが、
何と住民票がありません。
パスポートと運転免許証以外に公的な身分証明書がないわけで、外国にもいかないし、運転もしない人は銀行の明細とか、電気代の請求書なんかを住所や名前の証明として使っています。

昨日のニュースでは、ただで治療を受ける外国人をどうやって防ぐかといったことを扱っていました。

この間、小学校の視察のところでも書きましたが、ロンドンをはじめ、大きな町には外国人がたくさん住んでいます。
どの人がレジデントでどの人が観光できているのかは、ぱっと見ではわかりません。

身分証明書を発行しようという案が出るたびに、人権保護関係のグループから反対意見が出るわけです。

恐らくバイオメトリック滞在許可証はこの国の身分証明書の試用のようなものじゃないかな?

チップの入ったクレジットカード状のものに個人情報が入っています。
現在のところその情報は;
指紋(片手5本分)
顔写真
滞在のステイタス
入国管理の登録番号
名前と生年月日。

情報の採取はいくつかの郵便局で行えます。
残念ながらリッチモンドの郵便局にはその施設がなくて、アクトンまで行かなくてはいけませんでした。
窓口のならびにこんな部分。

緑色の部分に指を置いて指紋採取です。
読み取りだけなので、インクとか全く使いません。
ペンみたいなものが右上にあるのは、サインのためです。
緑の読み取り機の右手にサインしたら、それがそのままカードに反映されます。

上手にサインするの、けっこう難しい。

それが終わったら写真撮影です。
上の丸いのがカメラ。

すごく変な顔なんですけど~(笑)
ま、仕方ないか。

今日は無事にパスポートも届きました。
これで急な出張が入っても大丈夫(笑)





  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月22日火曜日

BRPレジデントパーミットが届いた!

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)



たまにお客さまから、ガイドさん日本人ですかって聞かれます。
どう見たって日本人だろうと思うのですが、多分長く住んでいるから帰化してるのって意味でしょうね。

私のパスポートは日本のもの。
英国のパスポートは取ろうかなとは思うものの、
いまだに何のアクションも起こしていません。

レジデントヴィザがあるので、選挙権がない以外には不便を感じません。


オリジナルのレジデントヴィザは緑色のシール。
古いパスポートに貼ってあります。





イギリスに来たことのない読者は、
イギリスの入国管理が厳しいことを聞いたことがあるかもしれません。

来たことのある人は身をもって知っているはず(笑)
尋問されたとかじゃなくても、入国管理の長い行列、体験したことのある人は多いんじゃないかな?



レジデントヴィザを持っていると、入国管理のスタンプに併せて、以前のパスポートにヴィザがあると略語で書かれます。

ところが何年か前から、その証明のために古いパスポートも持ってこいという風に規則が変わりました。

今年、初夏にスペインに行った時、うっかり古いパスポートを自宅に忘れてしまい、お友達に頼んでホテルに送ってもらいました。

オリジナルのパスポートの苗字と現在の苗字が違うので、結婚証明書もパスポートにクリップで留めておいたはずなのですが、なぜか見当たらず。

ポーツマスの入国管理のおじさんから
「僕は君のことを信用するから(イギリスに)入れてあげるけどね、管理官もいろいろだから不備があると面倒だよ。
たくさん持ち歩くの大変だろうし、
ヴィザを新しいパスポートに移した方が楽だよ」
って言われました。

そりゃそうだろうと思って、早速調べました。
書類も揃えて、さぁ送ろうと思ったら、方法が二つ。

ひとつは全て郵送で費用は£308。

けっこう高いなぁと思ったら、もう一つはもっと高い。

それは即日サービス。
アポイントメントを取って、予約した日に面接をして発行してもらう方法。
そちらは£808。

新しいパスポートに、すでに許可しているヴィザのシールを貼るだけなのに、そりゃないでしょって高さです(笑)

アポイントメント取ったりするのにも時間がかかりそうだし、
その日一日つぶれるし、いいことないわ。
そう思ってすべて郵送手配にしました。

数日後にクレジットカードの引き落としがあって、その次の週にレターがきました。

ナカナカ素早いサービス!

そう思ったら大間違いでした。

そのレターは書類を受け取ったことと、その受付番号。
バイオメトリック証明のために特定の郵便局に行けということ、
それから最長で半年かかるから覚悟しろと書いてありました。

もし途中でパスポートを返してほしくなったら、
パスポートは返すけどヴィザの発行は初めからやり直し、
そして手数料も返さないことが記されていました。
だから旅行の手配は気を付けるようにって。


まぁそんなことは書いてあっても、
ちゃんと書類もそろえたし、
ま、問題ないだろうと郵便局でバイオメトリックの採取手続きをしてきました。
この費用は別途かかります。
約£20.

簡単です。
次のブログで紹介します。

これ全部7月の話ですよ!!

そして今日はいつ?
11月22日です!

本当に何の予定もなくてよかった。
もし本当にこんなにかかるって知っていたら、多分500ポンド余計に払ったかも。

今日届いたのはバイオメトリックのレジデントパミットカード。
クレジットカードサイズです。

一緒に来た書類にもうパスポートも発送済みと書いてありました。
多分数日中に届くと思います。







  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月19日土曜日

ロンドンの公立小学校を視察してきました

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)


昨日はロンドンのハマースミスにある公立の小学校を訪れました。

お客さまからご依頼を受けてアレンジした、視察の通訳としてのお仕事です。

この手のアレンジは、年々難しくなってきています。
理由は学校側にこういった対応のできる人手が少ないためです。

学校の予算上、関係のない訪問者の相手をする暇があれば、人手は子供たちの教育に回す方がいいわけで。

しかも、学校ならどこでもいいわけじゃないし。

今回は地元との関係がうまくいっている、ロンドンの公立小学校で、学校運営などの話も聞かせてくれるところ、なおかつ授業風景が参観できるところといった条件がありました。

イギリスの学校は 、OFSTED という監査が入って、そのレポートは公表されます。

なので、それをもとにこういったアポイントメントの候補を絞ります。

この学校は、ソーシャルメディアなんかもうまく取り入れて、学校の行事などもアップデイトされています。

今回の写真はさっそくアップされていた、既に一般に公開されているものをお借りしました。

お客さまには私のブログに載せる許可をいただくのを忘れてしまったので、お顔の部分をモザイク処理しています。

これは校長先生のお部屋で質疑応答の途中。
校長先生が、学校のFBに載せるから、と撮ってくれました(笑)


子供たちから話を聞く機会などもあって、充実した訪問でした。
この子は6年生。
ヘッドボーイをしているだけあって、すごく責任感のある話し方。
また、意見の出し方がポジティブで感心しました。

生徒たちはみんな明るくて、学校生活を楽しんでいる様子がよくわかりました。


こちらが今回お世話になったメルコム小学校の校長先生、ウェインさん。

南アフリカ出身です。

先生だけではなく、生徒も外国出身者がほとんど。

この表はこの学校の生徒たちの母国語を表しています。
何と40か国語。

数年前のものだそうですが、何と英語がありません!
現在は英語が母国語の生徒も何人かいるそうで、実際、参観中に一人紹介されました。

こういった環境での教育はすごく大変だろうと思います。
もちろん授業は英語で行われます。
授業風景からは、英語が拙い子は殆ど見かけませんでした。

何人かはタブレットの翻訳機能を利用しながら授業に参加している様子もあって、いろいろな工夫がされているのを見るのは興味深かったです。

イギリスの学校は日本よりも学校の個性がはっきりしています。
各学校の学校理事会が運営にかかわります。
そのメンバーには保護者や地域の住民なども含まれるので、本当に学校ごと、地域ごとで大きく異なるわけです。
雇用や学校方針なども校長先生によるところが大きいと思います。

いろいろ勉強になりました。







  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月17日木曜日

ハンプトン宮殿シリーズ 英国国教会ってどうしてできたの?

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)

もしクイズ番組で、この国で王座に就いた人を挙げなさい、そんな風に尋ねたら、誰がトップに来るかな?


多分エリザベス女王とヴィクトリア女王、そしてヘンリー8世あたりが濃厚。

もしかしたらウイリアム征服王が入るかも。

皆さんは何人名前を挙げることができますか?


私の知っているイギリス人は、けっこう歴史に詳しい人が多いんだけど、それでもウイリアム征服王から現在のエリザベス2世に至るまで、ちゃんと順番通りに言える人を今まで見たことがありません。
もちろんガイドのお友達は別にして!!

イギリス人は歴史に弱いとよく言われます。
が、日本でも征夷大将軍の名前をはじめから終わりまで言えるかといえば、きっとそんなことができる人はそれ程多くないんじゃないかと想像します。




順番で覚えるよりは、やっぱり特徴のある人が覚えやすいですよね。

この窓はハンプトン宮殿のグレートホールにあるもの。

中央に立っているのはイギリスで一番有名な王様のひとり、ヘンリー8世です。

イギリスの小学校で、必ず勉強する王様。

英国国教会を作った王様。
そして、6人のお妃さまがいた王様。

一度に、じゃないですよ。
次から次に、です(笑)

ヘンリーの両脇には左に3つ、右にも3つ、王冠の付いた紋章。
これらは彼のお妃たちの紋章です。

左から、結婚した順に並んでいます。

一番初めはスペインのお姫様、キャサリン・オブ・アラゴン。
20年以上も一緒にいました。
家柄もばっちり。
当時ヨーロッパで一番の権力を誇っていた、ハプスブルグ家のカール5世の親せきです。

でもこの二人の間で、ちゃんと育った子供は女の子ひとり。
のちのメアリ1世です。
なので、男の子が欲しいヘンリーは悩みます。

結婚した時は、6歳年上で面倒見のいい姉さん女房。
それがどんどん色あせて見え始め、浮気もいろいろしてみます。
死産があったり流産が続いたりしたうちは、まだ僅かな望みもあったものの、
そのうち諦めをつけないといけない年齢になりました。


キャサリンと別れた方がいいのかなぁ…。


気に入った王妃の侍女アンからは
「結婚してくれないなら、お付き合いできません」と言い切らたこともそう思い始めた原因の一つ。



実はヘンリーは皇太子ではなかったのです。

お兄さんにアーサーという人がいました。
アーサーが王様になって、ヘンリーは教会の世界に入るというのが、お父さんヘンリー7世のプラン。
キャサリンはそのアーサーのために選ばれた花嫁だったのです。

ところがまだ二人が若い時に、結婚後半年もたたずにアーサーが亡くなってしまいました。
実家に帰してしまうのがもったいなくて、そのまま次男であるヘンリーと結婚したわけ。



とうとうヘンリーはローマ法王にキャサリンとの結婚の無効を申し出ます。

理由は兄嫁だったから。
聖書の中に、兄弟の嫁と結婚するなと書かれているらしい。

この当時のローマ法王はメディチ家のクレメンス7世。
彼は度重なるヘタな政治でカール5世を怒らせてしまい、
カール5世の捕虜のような生活をしていました。

なので、カール5世の親せきに不利な決定などできるわけがなかったんですよね。
そうじゃなければ、お金のために何でもやったルネッサンスの法王のひとりだから、何とかなったと思います。

埒が明かないと思ったヘンリーはカソリックからの離脱を決意。
英国国教会を設立します。

そして、国王至上法(ローマ法王よりも自分が偉いという法律)を元に、キャサリンとの結婚を無効にしてしまいます。

キャサリンは英国の元王妃という肩書は受け取れず、
英国の元皇太子妃(皇太子アーサーの未亡人)という肩書で満足しなくてはいけませんでした。


ハンプトン宮殿のチャペルロイヤルへの入り口近くには、とても面白い絵がかかっています。
鮮やかな色がないので、目立ちません。

こういった白黒の絵は彫刻を思い起こさせるように描かれました。
ところどころに金が使われています。
4人の男性が、いい身なりのお爺さんに石を投げつけています。

4人は聖書を書いた福音書記者。
左からヨハネ、マタイ、ルカ、そしてマルコです。
それぞれが持っている石に名前が書かれていて簡単!(笑)

身なりのいいお爺さんは、その帽子からローマ法王だと分かります。
彼の両隣には女性がいて、それぞれに強欲と偽善と書かれています。


絵の左上にはエルサレムの町に新しい明りが灯されて、それはキリスト教の新しい時代の到来を表しているのです。

描いたのはジロラモ・ダ・トレビーゾ。
ヘンリ8世につかえていた画家のひとり。
英国国教会設立後の、国王至上法を広めるために描かれたのでしょう。
ヘンリーはこんな絵を毎日眺めて自己満足に浸っていたのかもしれません。




  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月15日火曜日

イギリスらしい食べ物といえば…

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)

観光中に、今日のランチは何が食べたいですか? 
そう尋ねると、
…イギリスらしいもの
って返事が返ってきます。

イギリスらしいもの、たくさんあります.
が、なかでもランチにおすすめなのはパイ。


パイはシチューをパイ生地の中に包み込んだものです。
ただ、お料理によっては、パイ生地がシチューの上に乗っているだけの時もあります。

また、生地の代わりにポテトの場合もあります。


先月からハンプトン宮殿のコースを取っているので、最近ここでランチを食べ続けています。
レストランのメインはとりあえず一通り食べたので、今日はチャペル横のカフェに行ってきました。

チャペル横のカフェは軽食のみ。

今日のスープとかパイが並んでいます。

寒い時には温かいものがうれしい。
こんなカンジです。
 
これはチキンとハムのパイ。

中身はクリームソースにハムとチキンがたっぷり。
付け合わせはサラダかグリーンピースが選べます。

お値段もリーズナブルだし、こんな風に包み込んであるタイプは持ち運びもできるのでお弁当にも便利。
具のいっぱい入った、おにぎりのイギリス版ってところ(笑)
コーニッシュパスティーなんかもパイの仲間です。

もちろんハンプトンコート以外でも手に入ります。

主要駅にはパイのお店があったりもするので、是非一度試してみてください。





  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月13日日曜日

お気に入りレストラン、A WONG のおすすめ料理

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)



「プレゼンうまくいかなくって~」なんて泣き言をいったから
ティムちゃんが晩ごはんに連れ出してくれました。

私が大好きなレストラン、A Wong です。

いつもは私が食べたいものを注文するのですが、
今日はティムちゃんが私が普段注文しないものを頼んでくれました。

好きなレストランって、同じものを注文しがちですよね?
私もそう。

今回思ったけど、やっぱりいろいろ試してみるべきだなぁ、と。


これ、僕いつも頼むんだ~、とティムちゃん。

ラムバーガーだそうです。
中央のクリームみたいなのは胡麻みそ。
薬味やなんかと一緒に柔らかいラム肉。


これをこの小さなパンに好みで挟んでいただきます。
二つだからちょうどいい。
一口サイズです。
こんな風に乗っけてみました。
すごくおいしい!
Xian city  ‘lamb burger’ with sesame, coriander and chilli 
and Xinjiang pomegranate salad 
これ、今度来たらまた頼もう!


こちらはおつまみのチーズ。
ここの自家製です。
これは食べたことある。
Yunnan style fried cheese with Sichuan pepper salt
一口でなくなっちゃうので、やっぱりお通し感覚で。

ワインは Viognier Viura” Imacula”, Tandem Winery
ふくよかでしっかりした味。
美味しかった。
白を選んだのはお魚を食べるから。

こちら、舌平目です。
中華のお店では見ないわけじゃないけど、一般的ではないかも。
メニューには舌平目二通りの調理法と書かれています。
Grilled five spiced whole Dover sole (served in 2 courses)

何が二通りかといえば、
ウエイター君がテーブルで骨を外してくれて、
その骨をキッチンで上げて出してくれるから。

骨を外してくれるから、とっても食べやすい。

蓮根のスライスの下に骨があるのわかる?

ちょっと見えないなぁ。
じゃあお皿に出してみよう!
ポリポリ全部食べちゃった。

この舌平目は1日に3尾しか仕入れないそうです。
理由は鮮度が落ちる翌日に料理したくないから。
だから売れ残ったらスタッフのごはんになるんですって!
いいなぁ(笑)

この後はご飯とおかずってカンジで。
こちらはフレンチビーンズと豚ミンチ。
Dry fried French beans with minced pork

おナスの炒め物。
Sichuanese aubergines
これ、皮が固い。
以前は皮なしだったんだけど、柔らかくなりすぎるから皮つきにしてるんだって。
皮は残して中だけ食べました。


こちらは和牛らしい。
コリアンダーとかと合わせていてさっぱりおいしかった。


ティムちゃんとの晩ごはんでワイン1本で足りるわけないんだよね~。
いつの間にか赤ワインが出ていました。
2014 Domaine Lavigne, Saumur Champigny Vieilles Vignes 


オーナーのアンドリューや奥さんのナタリーとおしゃべりして、ずいぶんゆっくりのディナーでした。

おいしいのはもちろんだけど、アットホームで気楽。
みんなが私たちのことを知ってるので、くつろげるお気に入り。

ティムちゃんありがとう!

A Wong は人気店なので、なかなか予約が難しい。
この日も前日ティムちゃんが電話してくれて、6時半ならってことで席が取れました。
急な予約なら、早めだと何とかなるかも。



  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月12日土曜日

イギリスでの勉強方法

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)



最近、お勉強疲れでストレスが溜まっています。

イギリスのお勉強って底が見えない。

これ全部暗記しなさい、とかだと楽なんだけどなぁ。


イギリスのお勉強は、基本自習です。

自分で大事だと思うことを掘り下げていって、自分の言葉でまとめる作業が続きます。
幾つかプレゼンした内容をこのブログにも書きましたが、あの程度の文章をまとめるのに、膨大な資料に目を通したり、事実の裏付けを取ったりします。
ネットや一般のガイドブックに書いてあることが、必ず正しいとは限りませんからね。
宮殿出版のものは信用できますけど、内容が短すぎて、それだけだと足りない。
もっとたくさんの事実が必要。

他の人たちのプレゼンを聞いて「あ、それいただき」なんて時もあるし、逆に「そっちに持っていくと、話がややこしくなるな」なんて場合もあります。

それぞれの個性もあるので、聞いていると面白い。
16人の候補生が半分に分かれて一緒に行動するので8人。

宮殿のスタッフが2人、ろうあ者が一人、ロシア語ブルーバッジガイドが一人、中国語ブルーバッジガイドが一人、イタリア語ブルーバッジガイドが一人、ろうあ者の通訳とは別に、候補生として手話通訳者が一人、そして私の8人。
もう一つのチームと、対抗でディスカッションなどもあるので、バランスを考えて分けたみたいです。


興味深い事実を毎回含んでくれるので、宮殿スタッフのプレゼンは楽しみです。
だけど、事実を詰めすぎで、いつも規定時間オーバー、しかも内容が凝りすぎていて、私たちや専門家だと面白い場合が多い。
一般の人には難しすぎる場合がほとんど。

ロシア語とイタリア語のブルーバッジガイドは、さすがガイドが本業なので内容は簡潔。
だけど、事実の選択にお国柄が出ています。
特にイタリア人はアートやアーティストに走りすぎで、日本人の私には名前やアートのタームが多すぎます。

中国人の候補生は、ジョークを程よく入れていて、話題のつなぎが上手です。
今年合格したばっかりの、ほやほやガイドらしい。
なので、ガイディングのテクニック、立ち居振る舞いとかは、まだ現場で擦れていないので新鮮です(笑)

私はガイディングの中に細かな年代を持ち込むのは好きじゃありません。
西暦何年何月何日に、こんなことがありましたって案内。
だって、聞いている人がそんな細かな事実に興味があるとは思えませんから。

それよりも、ほぼ同じ時代にどんなことがあったかとか、聞いてくれる人の想像力を刺激するのが好きです。

同じように、高さや大きさの数字を並べるより、同じようなサイズの身近なものを持ち出したりして、想像してもらう方法が好き。



ガイド内容ではあまり触れないことだけど、バックグラウンドで知っておくべきことなんかはスペシャリストのレクチャーが役立ちます。

ハンプトン宮殿のコースでは、スペシャリストの授業が午前と午後の2回、約2時間弱含まれます。

一昨日は午前中に宮殿の庭師頭とガーデンを回りました。
午後はロイヤルコレクション(王室の宝物庫)の管理人のレクチャー。

以前、ハンプトン宮殿に出てくる幽霊のレクチャーもありました。
2時間たっぷり、どこにどんな幽霊が出るか。

また、宮殿の経営に関するレクチャーも面白かった。

毎回、その道の専門家に質問ができるので、とてもためになります。

イギリスの授業ではどれだけ質問するかも大事な要素。
もちろんレクチャーの流れもあるし、時間的な要素も無視できないけど、聞いてるだけじゃなくて参加が求められます。

チューターは授業中のそういった反応をきちんと見ていて、フィードバック時にコメントされたりします。

これはガイドコースに限ったことではなくて、学校の勉強でもそうです。
講義の内容をただノートに取るだけではなくて、その後が大事。

私は授業中のノートはほとんど取りません。
だって書いている間に他のことを聞き逃すかもしれないから。

なので、面白そうだなと思ったキーワードをいくつか書き留める程度。
授業によって違うけど、2時間のレクチャーだとキーワードは5個程度。

おうちに戻ったら、そのキーワードを自分なりに掘り下げていきます。
で、気が付いたら、全く宮殿に関係ないことばっかり調べて、数時間経過とかになっちゃう(笑)

ご飯の時間以外はラップトップ見てるので、最近ティムちゃんのご機嫌が悪いです(笑)
ハンプトン宮殿のお庭で見た虹。
かなり癒されました!





  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

2016年11月10日木曜日

ハンプトン宮殿シリーズ グレートホール 

今日のイギリス情報ブログのランキング(リンクします)


最近のブログがハンプトン宮殿コースの復習の場になっています(笑)

ま、でもこのブログを読んで「行ってみようかな~」という奇特な人もいるかもしれないので(笑)無駄ではないと思っています。

これは、クロックコートから見上げたグレートホール。
ヘンリー8世が改築した部分です。
1530年代に数年かけて造られました。


こちらが内部。
まず足を踏み入れたら、見事な天井を堪能してください。
天井までは18m。
ダブルデッカーバス4台積み重ねて、やっと届くかなぁといった高さ。

あちこちに施された飾りはきっと時間がかかったことでしょう。
もどかしがったヘンリーの命で、何と作業は昼夜を問わず続けられました。

現在残っている、中世最後のホールといわれています。

内部の大きさですが、奥行きが30m、幅は12mに及びます。

ということはテニスコートがすっぽり入る大きさ。
もちろんヘンリーはここでテニスなんてしませんよ。
 ガラスの値段はすごかったですからね!

ヘンリーはちゃんと敷地の中に別のテニスコートを持っていました。
現在みられるステンドグラスはずっと後。
全部ビクトリア時代のもの。
たった150年ほど前です。
ヘンリーの女遍歴(!!)や家柄がテーマになっていて、読み解いていくと面白いですよ。

現在のお金持ちはフットボールクラブのオーナーになりたがりますが、ヘンリーの時代はタペストリーのオーナーになりたがりました。

この部屋にかかっているタペストリーは、約500年前にヘンリーが注文したものです。
今ではすっかり色あせているので、当時の面影を偲ぶのは難しいかも。 

ブラッセルで織られたこれらのタペストリーは、カラフルなシルクやウール、そして金糸や銀糸で作られていました。

テーマは聖書のアブラハムの物語。

アブラハムは神様から約束された通り、年老いてから息子アイザックを授かります。
そしてそのアイザックを通して神との契約を結び、その子孫は世界に広がることになるのです。
ヘンリーが息子エドワードを授かったのは英国国教会を樹立した後。
つまり、神様はエドワードの誕生を通してヘンリーの行動に同意したわけです。
ヘンリーは第二のアブラハムになり、
新しい世界の父となって世界にその子孫を広げるのです。


すごいデマゴーグでしょう?

誰もがこの部屋を通らなければヘンリーに面会できなかったわけですから、都合のいい所に掛けてあるわけです(笑)

しかも制作当時は金銀あでやかな織物でサイズもすごい。
誰もが圧倒されたことは想像できます。

10枚でセットになっている、このタペストリーは、ヘンリーの持ち物の中で一番高価だったそうです。
このセットと軍艦2隻が同じ値段だったとか。

同じ時代に宮廷画家だったホルバインのお給料が年間30ポンド。
これはその100倍以上だったと想像されています。

何年か前に裏地の部分から当時の色合いを再現する試みがありました。
一時だけの展示だったので、今はありません。

でもそんなに昔のものがまだ残っているっていうだけですごい。
しかもケースにも入れずに展示されています。









  にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ
にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。