2013年9月4日水曜日

イギリスのがんケアー

昨日、お客様と一緒に、イギリスのがんケアーセンター「マギーズ」を訪れました。

マギーズは、病院ではできないがんのサポートを行っている、チャリティー機関です。
がん患者のサポートと書かなかったのは、患者だけではなく、介護人や家族などのサポートも行っているから。

私がマギーズを訪れたのは初めてではありません。
通常は医薬関係の方と訪れる場合が多いのですが、建築関係の方とご一緒したこともあります。

イギリス全国にあるマギーズ。
ロンドンのものはこんな建物。
チャリングクロス病院の敷地内にあります。
病院の入り口からアプローチした時、まず目に入るのは大きな窓の中の緑。

建物の中にも中庭があったり、屋上にも木が配置されています。

マギーズは、小さな子供2人を残してがんで亡くなった、イギリスの造園家のマギーさんの看護士だったローラさんが1996年に設立しました。

訪れる人たちが、病院やオフィスといった公的な場所ではなく、寛げる空間を感じることができるように、あちこちに配慮がされています。

例えば、中に入ったところに受付などはありません。
ドアを開けて、最初に目に入るのは、大きなキッチンテーブルと、食器棚のマグカップ。
そして、お茶を入れていたり、寛いで談笑している人たちです。
だから、まるでお友達のおうちに来たような風なんです。

この写真は2階の吹き抜けの部分から撮りました。
1階で撮ると、利用している人たちが写真に入ってしまうので、上からです。
この写真に写っているのはボランティアの女性。
今お茶を入れているところ。

また、中で働いている人もボランティアの人たちも名札とかは付けていません。
ここでは誰もが1個人として存在しているからです。
そこで、訪れる人たちのカルテのようなものもありません。

ここを訪れる人が何を求めてやってくるのかは千差万別。
ここで働いている人たちは、5感を駆使してその人をアセスメントします。
アセスメントというのは、理解とか判断ということ。

何を求めてマギーズに来るのかは、例を挙げればキリがありません。
それを「ハロー」と声をかけて、瞬時に判断するのです。

また、要望は時間と共に変化することもあります。
「ただ勧められて来ただけだけれど、お茶を飲んでいるうちに会話に参加したくなった」
「誰とも話はしたくないけれど、他の人の会話を聞いていると何となく落ち着く」

「仕事ができなくなったので、経済的なアドバイスが欲しい」なんて人も来ます。

マギーズでは、いろいろなクラスが用意されています。
また、個別の相談にも応じられるように、専門家を紹介するシステムもあります。
心理学の専門家や看護士、ファイナンスアドバイザーなども働いています。

セッションの例を挙げると、


Nutrition(栄養学)

Getting Started - a course for people at the beginning of their cancer treatment
がん治療を始めたばかりの人たちのためのコース)

Managing Stress(ストレス管理)
Talking Heads - a group for people experiencing hair loss(髪の悩みのためのグループ)

こういった、直接的なアプローチもあれば、創作アートや作文、ヨガのコースもあります。

また、Support with Your Finances(ファイナンス面でのサポート)
Friends and Family - a group for people supporting someone with cancer (がん患者の友達や家族を持つ人たちのためのサポート)
Bereavement Support(遺族のためのサポート)なども用意されています。


日本でも在宅ケアや地域ケアなど、がん以外でもケアの考え方が変わってきています。
ロンドンの所長さんはバーニーさんという明るくて話好きの人。

10月には日本に招待されて東京と京都でスピーチの予定が入っているそうです。
昨日「日本に行くのをとても楽しみにしているの」って話してくれました。



そんなバーニーさんのお勧めアートがマギーズにあります。




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