2010年11月22日月曜日

大英博物館

1753年に始まった大英博物館は、サー・ハンス・スローンというお医者様のコレクションが元になっています。
彼はお医者だけあって90歳以上まで長生きしたんだけど、亡くなる間際に娘たちの持参金にする現金がないことに気が付きます。
そこで、生涯かけて集めたコレクションを、国に譲ることと引き換えに2万ポンドの現金を要求しました。
国はコレクションを手に入れるために宝くじを売り出して、利益の9万ポンドの内、2万を娘たちに、残りで大英博物館基金を設立しました。
大英博物館のある通りを東に進むと、サザンプトンロウという通りの少し手前北側の建物に、彼のブループラークがあります。西暦2000年を記念して大掛かりな内装工事が行われたときも、ナショナルロッタリーという、英国の宝くじ基金が役に立っています。それだけでは足りないので一般からも寄付を募りました。
100ポンドくれたら天井のガラスに、1000ポンドで図書閲覧室のベンチに、もっと出してくれたら壁に名前を彫ってあげましょう、というわけです。
私も100ポンド出して、ナンバー101というガラスに名前を残しました。
(これはコンピューターに記録されるだけで実際にはベンチや壁のようには彫ってもらえません。)
中心の図書閲覧室の外側には宝くじ基金の名前に混じって「Asahi Shinbun」という名前も。
これが現在のグレイトホールこれが完成してからは、どの館もここからアクセスできるので、随分便利になりました。
コレクションは「ロゼッタストーン」や「パルテノン神殿の遺跡」など世界的に有名なもの。
でも古いものばかりではありません。
私のお気に入りは生と死のギャラリーにある「ゆりかごから墓場まで」中に幅60センチほどの帯が2本あってひとつは女性、もうひとつは男性です。
この中に一生の間に飲む薬が並んでいます。
英国の平均ということなので、日本の人と比べるとどうかな?
所々に年齢に応じた写真やものが置いてあります。
特定の人というわけではないのですが、展示を見ながら自分の人生を考えてしまいます。
赤ちゃんのときに受けるヴィタミンKの注射や避妊用のピル、抗がん剤なんかもあります。
薬屋さんをご案内したことがありますが「これはわが社の薬です」と喜んでいらっしゃいました。

6 件のコメント:

Kisa さんのコメント...

みきさん、こんにちは。
大英博物館、とっても綺麗になったんですね!最近、かなりロンドンに行きたい熱が高まっています(笑)。
ちなみに、日本人の飲む薬の量は、ヨーロッパ人と比べたらかなり多いんじゃないかと思います。ちょっとした風邪でも、数種類出たりするし。今住んでいる国には日本人の診療所があるのですが、去年ちょっと原因不明な咳が数週間続いた時にかかったら、一度に8種類くらい(普通の風邪薬からステロイド入りの吸入剤まで!)出されてさすがにびっくりしちゃいました。

miki bartley さんのコメント...

Kisaさん、こんにちは。
初めの写真の部分が、西暦2000年の改装部分です。
だから、それよりも前にきたことのある人はすごくびっくりするみたい。
ロンドンにはぜひぜひ来てください。
でも暖かくなってからの方がいいと思います(笑)

U さんのコメント...

はじめまして、みきさん。
イギリス滞在中のUと申します。
いつも楽しく拝読させていただいております。ロンドンに行く時などはみきさんのブログを読んで、行きたいレストランや場所を選んでいます。貴重な情報に感謝申し上げます。
大英博物館は知識がないなりに私も好きな場所の一つでして、先日、日本のブースに漫画が置かれているという話を聞いて見に行ったのですが、話に聞いていた漫画とは違う漫画が展示されていました。具体的に言うと、ブッダとイエス・キリストのコメディ漫画が置かれているという話を伺っていたのですが、私が見たのは原発に関する漫画だったのです。インフォメーションの方から展示品は入れ替えするから、と説明されて、ふと、最近の原発の議論を受けて展示を変えたのかな、と思いました。そこで質問なのですが、大英博物館の展示は時勢を反映したりするのでしょうか。
初めてのコメントで、ぶしつけに質問して恐縮ですが、ご回答くださると幸いです。よろしくお願いいたします。

miki bartley さんのコメント...

Uさん、こんにちは。
へぇー、日本館に漫画ですか?
今度行ってみます(笑)
時勢を反映した展示というのは魅力的な響きですね。
常時展示は、やはり「ここに来たら観てほしいもの」「観に来られた方が期待しているもの」だと思うのですが、大英博物館には特別展示のお部屋も幾つかあります。
例えば正面から入ってすぐ右手の売店の奥。
グレートコートの中2階もそうです。
日本館も、部屋こそ同じ場所にありますが、定期的に展示が変わります。

大英博物館に限らず、博物館や美術館の特別展示は、準備期間が私たち一般人が思っているよりずっと長いのです。
ある程度、構想がまとまった段階からでも、多分普通で2年くらい?
アイディアの段階を含めると、4-5年以上なんてザラじゃないでしょうか?
そこで、時勢を反映するのは、どの規模のトレンドか、またどの程度のサイクルかによって、答えは変わってくると思います。
特に、他の博物館からの借り物が展示に含まれるならなおさらです。
日本館の場合は、借り物以外にも、大英博物館所蔵のものと、内容はその時々によって違います。
私が今まで観てきて、巷の話題を反映していると感じたことはありません。
それよりは、トレンドセッターとしての役割、つまり展示が巷の話題になって、それ以降、その分野に興味を持つ人が増えるといった、逆の図式の方が多いと思います。
ご興味がおありなら、博物館にメールで問い合わせると、何らかの答えが返ってくると思います。
私のこのコメントは、キチンとした根拠のあるものではありませんから、個人的な意見として考えてください。

U さんのコメント...

ご回答ありがとうございます。勉強になりました。今回の件は偶然タイムリーな入れ替えだったのかもしれないのですね。(いつ入れ替えられたのかは分かりかねますが。)大英博物館の存在がますます興味深くなりました。

miki bartley さんのコメント...

Uさん、
どういたしまして。
今度行ったら聞いてみます。