2009年10月15日木曜日

旅行中のトラブル

ドイツに住んでいるPharyさんのブログを読んで、少し旅行会社のことを考えてしまいました。

私はもう15年以上旅行関係のお仕事をしています。
オフィスの中で、手配の仕事もしていましたし、添乗員の経験もあります。
アシスタントもやっていましたし、現在ではフリーランスの観光ガイドが本職です。
旅行会社に携わっていない人から見れば、誰がどんな役目なのかさっぱりわからないかもしれません。

イギリスにある旅行会社は「オペレーター」と呼ばれています。
この中が大きく幾つかのセクションに分かれますが、お客様に関係があるのは「インバウンド」のセクションです。
「インバウンド」ではこの国に来られるお客様のためにイロイロな手配をします。
例えばバスやガイド、ホテルの手配などです。
インバウンドのオペレーターは日本の旅行会社から仕事を請け負います。
同列の会社であっても、それはお仕事、ということで、
「ツアーA、ホテル何室、バスの拘束が何時間、ガイドの必要なのは何日」といった契約が結ばれます。
例えば日本のお客様が、xxという旅行会社で「旅行」を買ったとしても、xxという旅行会社が現地で手配をしているわけではありません。
同列会社のxxAという会社が実際の手配をしているかもしれませんし、同列会社が存在しないところでは、全く別のBというオペレーターを使っているかもしれません。
同列会社が存在しても、値段やその他の事情から、Cというオペレーターを使うところもあります。
ですからお客様からすれば、何かあったときにどこに連絡すればいいのか、ということがわかりにくいのです。
旅行中に何かあったときの緊急連絡先として渡されるのは、通常こういったオペレーターのインバウンドの電話番号です。
オペレーターはたくさんのツアーをいろいろな会社から請け負っているわけですから、正規のツアー番号がないと、お客様を特定するのは大変難しいのです。

私がまだオフィス勤務だったときにも、よくお客様から電話がかかってきました。
「ロンドン8日間の旅で来ている、**ですが・・・」
これでは全くどこの誰だかわかりません。
通常はアルファベットと数字の組み合わせのツアー番号がありますから、それをいうと話が早いです。
「ツアー番号、GYE-709356、日本出発日*月**日のツアーの**ですが・・・」
その情報からわかることというのは、日本の旅行会社から、どんな内容の手配を請け負っているか、ということです。
ですからここで対処できるのは、請け負っている内容に関すること、といえます。
例えば予約されているはずなのに部屋がないとか、バスが遅れたとか、ガイドが来なかったとか。
そういったこと以外は、契約には含まれませんから、対応する、しないというのは旅行会社によるわけです。

例を挙げると、あるお客様がスリにあったとします。
お客様は緊急連絡先に電話をして「警察に届けを出さないといけないが、英語ができないので、ナントカして欲しい」
こういったケースではお客様の負担で通訳を雇っていただかないといけません(旅行会社はその手配はしてくれます)
通訳の費用がかかるといわれて、びっくりする人がたまにいますが、人を使ってお金がかかるのは当たり前です。
その費用が後からお客様の保険でカバーされるかどうかは、保険会社や入っている保険しだいです。
電車に乗り遅れた、とか飛行機に間に合わなかった、という時には、現地の緊急連絡先に相談して、一番いい方法を考えてもらうのが一般的ですが、それはもちろん追加の手配、ということになります。
また、どれくらい一生懸命やってくれるかどうかは、本当にその人しだいです。
「残業はしたくないから、今日はこれで終わり、明日の9時以降にまたお電話ください」
なんていうことももちろんありえます。

最近はインターネットのおかげで、お客様が旅行会社を通さずに旅行のパーツ(ホテルや飛行機、その他)を買えるようになりました。
でも万が一何かあったときの対応が、自分でできる人はまだまだ少ないようです。
また旅行会社を通していても、昔風の「親身になってくれる旅行社」というのは少なくなってきました。
最近のパッケージツアーの質や値段を見れば、一概に旅行会社のセイとも言えないと思います。
一番大事なことは、保険に必ず入ること。
安くても保障がちゃんとしていない保険は入る意味がありません。
旅行の終わりに費用を請求するだけではなく、旅行中の困ったときにも利用価値のある保険会社を選ぶといいです。
カスタマーサービスがしっかりしているところ。
クレジットカードもそういった観点から選ぶと、本当に役に立ちます。

例を挙げておきますね。
保険会社の例;5年位前ですが、アンダルシアのハレスでイギリスまでの帰りの飛行機がキャンセルになりました。
お昼くらいの飛行機だったんですが、夕方の便に振り替えできない分は翌日のフライトに回されることになりました。
格安飛行機だったので、翌日に回される人には迷惑料として、少しお金(とてもじゃないけど、ホテル代にはならない額)を返してくれることがアナウンスされました。
殆どの人たちは飛行機会社の係員に詰め寄って、自分たちで交渉しようとしましたが、私たちは保険会社に電話をしました。
事情を話してハレスのホテルを予約してもらい、ホテル代と夕食代その他は保険会社から直接支払われることになりました。
お金のことよりも、航空会社のカウンターで騒ぎ立てたり、相手の対応にイライラしたり、不安になったりしなかった、精神的なことが随分と良かった思い出です。
対応が早かったので、タクシーもすぐに乗れたし、保険会社って便利だなって思いました。

クレジットカードの例;
これもちょっと前のことですが、イタリアのナポリで、天気予報を見ていたら帰りの飛行機に乗る日が嵐。
ただでさえ飛行機嫌いなので、ちょっと乗る気にはなれませんが、変更不可のチケットだったので、クレジットカード会社のトラベルサービスに連絡して、ナポリからロンドンまでの列車の手配をしてもらいました。
ナポリ-ローマは特急、ローマーパリ間は寝台列車で、なんとダブルベッドのスイートでした。
パリからはユーロスターで戻りました。
電話で希望を伝えただけ。
旅行中に旅行会社を探したり、無駄な時間が必要なかったので、とってもいいサービスだと思いました。
因みにこれは裏の手ですが、ただ単に日にちをずらすだけなら、お医者様に行って診断書をもらったら、変更不可能なチケットでも大丈夫です。
これは飛行機会社がカウンターで対応(事前に連絡が必要)してくれるか、もしくは保険会社が手配してくれます。

8 件のコメント:

NOMO さんのコメント...

mikiさん、少しお久し振りです。
mikiさんは以前に添乗員も含めて旅行関係のお仕事をなさっていたんですね。
それからステップアップしてフリーランスのガイドさんというわけだったんですね。
誰かのお世話をするのが、お好きなのかな?

しかし乗ろうとしていたフライトがキャンセルになると、やはり一時パニック状態になります。

特にあちらこちらにウロウロするチケットを持っていると、一つ狂ったら その後は??など不安が一杯。

僕はヨーロッパをグルグルする時は、ロンドンの「ミキ・トラベル」と言う旅行会社にチケットの手配をお願いしてました。
同じ「ミキ」ですね^^
恐らくmikiさんも この旅行会社をご存知なのではないですか?

やっぱり日本の旅行代理店は、すごいと思いました。
僕はいつでもややこしい日程でフライトや時にはホテルの予約もお願いしていたのですが、
迷惑そうな雰囲気ひとつなく いつも明るい声で応対してくれました。

いつもいつも同じ担当者の方に助けてもらっていたのですが、ロンドンの事務所に電話をすると「ハイハイ、NOMOさん今日はどこにいらして次はどちらに行かれるのですか?」って少し笑いながら言ってくれるんです。
それだけで不安で一杯だった気持ちが安らいだなぁ・・・。

一度、お土産を持ってお礼に行きましたよ。「いつもありがとうございます、私がNOMOです」って^^

しかしいつも思いますが、僕が仕事でヨーロッパをウロチョロしていた頃に、mikiさんとお知り合いになれていたらなぁ・・・。
もっともっと色々な意味でヨーロッパを深く知ることができたのだろうなぁって思います。

ゆき珠 さんのコメント...

私はパッケージツアーとかが苦手なので、自分で飛行機とホテルの手配をしちゃうんですが、今のところトラブル経験はなしですね。
日系の旅行会社でも、法人契約しているとサービスはかなり良いのですが、個人だと…呆れる事があるので、私は自分で全て手配するようになっちゃいましたけど、クレジットカードや旅行保険がそんなところまでフォローしてくれるとは思ってもいませんでした。これは、利用価値ありますねっ!

これから息子たちが貧乏旅行をするようになるので、そういう知恵を付けてあげる事も大切ですね。

patio さんのコメント...

あー、私も一応旅行会社勤務経験あり一応ライセンス持ちなので、わかりますー「添乗員」と「ガイド」の違いも知らない方多いですものね。

でも、結局は日本の旅行会社の「なにかありましたら、現地日本人がお世話します」っていう売りが悪いんだろうなーって思います。そう言われていれば、普通はなにかあったのだから世話してくれるの当然でしょって思いますもん(笑)

クレジットカード保険も様々で日本で盗難に遭ったとき、イギリス発行のカードはどこも対応が全くダメでAMEXもマスターも全滅でした。「わが社では保険は扱ってません」とか言い切る人もいるし(苦笑)請求も数年がかりだし、ほとんど機能していなくて意味なしでした。

アメリカ発行のAMEXプラチナが一番良かったかな?旅行先で取れないチケットやレストランもとってくれることが多いし。(無理な場合ももちろんあります)

日本発行のカードや保険は、かけた電話が日本に繋がってしまうと対応の人が英語ができなかったりして、よけいに時間がかかってしまうことも(泣)電話口で通訳しながらかけなきゃ良かったって思ったことが何度もあったので、その場では使いません。あとで請求するくらいですね。これは問題なかったです。

フライトのキャンセルはそのエアラインのカードがあると一番楽です。旅行だけは多い我が家はエグゼクティブプラチナなんとか、などという名前だけは大層な何の利益もないカード転がっていますが、そのときばかりは活躍しています。

そう言えば今倒産騒ぎの航空会社、911で緊急着陸した地で、ファーストクラスの人間だけしか世話しなかったって、有名ですよね。「契約」になかったのかもしれないけれど、そういう人間味のない対応もなんだかなぁ・・・。

「緊急の場合の対応」実際にどうなのか、保険は請求をいつしてくれるのか、などしっかり調べておいたほうが安心ですよね。

miki bartley さんのコメント...

Nomoさん、こんにちは。
誰かのお世話をするのが好き?
そんなことないですけどね。
結構ワガママなので、自分で采配できる仕事が好きです。
同じことを毎日する、きめ細かさ持ち合わせていないので、変化のある生活が楽しいです。
「ミキトラベル」はロンドンでは大手のオペレーターです。
昔、数回お仕事をさせていただいたことはありますが、この会社に対するコメントはちょっと控えさせていただきます(笑)
随分かわってしまった、とだけ書いておきます。

miki bartley さんのコメント...

ゆき珠さん、こんにちは。
旅行保険は本当に選んで入った方がいいです。
私たちはその都度掛けるのではなくて、1年間のものを掛けています。
エクセス(自己負担額)の高いものは少額のクレームができませんし、カスタマーサービスがちゃんとしていなければ、サポートしてくれません。
連絡できるところがメールアドレスだけなんていうのもXです。
緊急連絡先がちゃんとイギリスの専用ライン(イギリスではコストを下げるためにインドに繋がるものが多くってお話になりません)に繋がるっていうのが、私たちの選ぶ基準です。
エクセスもオプションで「なし」にしたりします。
クレジットカードも↓でPatioさんが書いているみたいに差があります。
私は日本やアメリカでカードを発行したことがないので、イギリスのものしかわかりませんが、カード会社の評価なんかをウェブで調べてみるのも面白いと思いますよ。
でも結局は自分とその会社との相性なので、他の人によくっても自分には、っていうところはあります。
日本のものだとJCBカードはロンドンにオフィスを置いて、カスタマーサービスに力を入れているみたいですね。
ダイナースもサービスカウンターがあると思います。
ヴィザやマスターはそれぞれの発行元によってサービスにかなりの開きがあるようです。
一般論ですが、飛行機会社や銀行と提携しているのものが、何かあったときの利用価値は高そうです。

miki bartley さんのコメント...

Patioさん、こんにちは。
日本って、サービスの質がいいっていいますが、マニュアルに書いていないことに対応できる人は少なそう。
平均するとヨーロッパとは比べ物にならないんでしょうが、期待度が高いだけに、外れるとがっかりって所ありますね。
アメックスのブラックやプラチナは付加価値のサービスはいいですが、チャージが間違っていたりすると後処理が大変だったことがあります。
やっぱり相性なんでしょうね。

phary さんのコメント...

みきさん、その節はいろいろとアドヴァイスをありがとうございました。
うちはたいてい「格安」を使うので、今後もこの手のトラブルがあるかもしれません。
今回娘達の使った保険はネットでホテルと飛行機のチケットを取った際に自動的に表示されたもので、万が一のために一番高いものにしていたのですが、今回のローマ-ミュンヘン間の電車代が支払われるかどうかはまだ回答が来ていません。契約書にはそういう記述がなかったのでだめだとは思うのですが、だめもとで問い合わせをしてみました。

miki bartley さんのコメント...

Pharyさん、こんにちは。
こちらこそ、いつも楽しい記事、ありがとうございます。
保険会社は本当にトラブルの最中に連絡がつくと、どんな手立てがあるか、とか、いくらくらいまでなら出してくれるのか、また手続きに必要な書類等回答してくれるので助かります。
ヨーロッパって後回しにすると、何だかんだって時間がかかりますからね。
でもこういったトラブルも旅行のうち。
身体さえ無事なら、後からいい思い出になる場合が殆どです。
スムーズに行った旅行よりも、きっとずっと長く覚えていると思います。