2009年3月17日火曜日

ローストビーフ


この絵はテート・ブリテンにあるホガースの絵で タイトルは旧き良き英国のローストビーフ」

ホガースは英国を愛した画家で、その情熱と同じくらい、フランスが大嫌いでした。
それは個人的な理由で、スケッチ旅行に行った時に、カレーでスパイと間違えられて、逮捕されたことがあるからなんです。
この絵は後ろに見えているゲートのおかげでカレーだとわかるのですが、ゲートの左手を見てください。
ベレーをかぶっているホガースが見えますか?
肩に閲兵の手がかかっていて、これから逮捕されるところです。
この絵のテーマは「英国はとっても素晴らしいところで、反対にフランスはサイテー!!」
絵の右下を見てください。
タータンチェックの服装の彼は、スコットランド人です。フランスと組んで、イギリスにカソリックの王様を置こうとしたたくらみも敗れて、こんなところでひもじい思いをしています。
その脇ではそのたくらみに手を貸した、おろかなフランスの兵士たち。
彼らの食べるものというのは、水のようなスープです。
フランスの富を牛耳っているのは、僧侶たち。
清貧がモットーのはずの、フランチェスコ派の僧侶(茶色い衣でそれとわかる)さえ、貪欲で私服を肥やしていることが中央のイメージでわかります。
でも彼が食べたそうにしている美味しそうなお肉の包み(というか下の白い布)にはゲートの奥に見えている、有名な旅館の名前に加えて、ご宿泊の紳士淑女の皆様へ、と書いてあります。
この旅館は英国人御用達ということで有名な場所。
その前を通っているのは、またしてもカソリックの行列。
英国では見られない光景です。

でも、私の目はそんなことより真ん中のお肉に吸い寄せられてしまいます。
サーロインの塊りなんですが、その美味しそうなこと!!
これだけしっかりとした牛脂の層があるとホントにもう、オーヴンに放り込むだけでしっとりしたローストが出来上がります。
最近のお肉は脂肪が敬遠されがちなのでとってもリーン(脂肪分が少なくて赤身ばっかり)。
だからローストしようとするとベイスティング(料理の途中で脂をまわしかける事)するのが大変、面倒がってやらないとぱさぱさの仕上がりになっちゃいます。

今日はローストビーフを作りました。
程よく脂身が混じってて、なおかつ上にどっかりと脂が乗ってるこんなお肉が手に入ったら、もう最高。
これはリブといわれている部位で、骨付き、2キロ位です。
アバディーンアンガスという品種で、ちゃんと寝かせた美味しいお肉です。
オイルをなじませて、塩コショウをしたら、220℃にしたオーヴンに入れて、すぐに温度を180度に下げます。
で1時間40分位かな?
付合せに欠かせないのがヨークシャープディング。
お水とミルクを半分づつで150mlにしてお塩を一撮み、卵を1個割り入れて、そこに50gの薄力粉を入れて混ぜ合わせたら1時間ほど放って置きます。12個くぼみのあるトレイに大匙1ぱいづつのサラダ油を入れてお肉のオーヴンに入れて熱くしておきます。お肉を取り出したら熱々のトレイに12等分して210℃のまま25分で出来上がり。この間は絶対にオーヴンは開けちゃだめ!!
だからお肉を取り出した後に入れるってワケ。
お肉は冷めないように温かいところに置いとくか どうかしておいてね。お肉を取り出した後、オーヴンの受け皿に残った肉汁に、赤ワインと水を混ぜてコップ一杯ぐらい入れて、こそげおとすようにしたのを煮詰めてグレイヴィーソース。
薬味にはホースラディッシュ(西洋わさび)、生のものが手に入れば最高だけど、瓶詰めでも十分!
私はEPC (ENGLISH PROVENDER CO)というブランドを使っています。

ところで牛肉のサーロインっていう部分の名前はロンドンで始まったのはご存知ですか?
日本で言うと徳川家康の時代にジェームス1世っていう王様が居ました。
彼がチャーターハウスって言うところでご飯を食べている時に、お肉があんまり美味しかったので、
王様、「これはなんと言う肉じゃ?」
給仕頭が「ロイン(腰肉)でございます。」
王様「ただのロインではこの美味しさにふさわしくない、そうだ、SIR(騎士)の称号をつけることにしよう。」
というわけでサーロインって呼ばれるようになったわけ。
だから他のお肉はただのロインだけど、牛肉だけ、サーロイン。
ロンドンには色んなところに面白い逸話がちりばめられてます。
この話もプレートになってお肉の中央市場、スミスフィールドで見ることができます。
観光でロンドンに来るとお肉屋さんにはなかなか行かないとは思うけど、是非覗いて欲しいのがアレンというお肉屋さん。
メイフェアーのコンノートホテルの斜め向かいです。
12月に行って見て、そしたら天井から七面鳥が何百と下がっててそれは見ごたえがあります。

4 件のコメント:

phary さんのコメント...

私はみきさんのこういう記事が特に好きです。レシピももちろんですが、絵の解説というか説明がとても易しい言葉で、でも内容深くとても興味深いです。
たった一枚の絵も解説付きだと本当に面白く見ることが出来ますよね。
前に書いたかもしれませんが、フィレンツェに行ったときのガイドさんが時代背景もまじえてとても詳しく絵の説明をしてくれたおかげですごく充実した観光が出来たのです。
それ以来、出来るだけガイドさん付で観光するようにしています。ロンドンにもいつか行ってみたいです。(←在独ン年なのにロンドンはトランジットで空港に数時間滞在の経験のみの人)

NOMO さんのコメント...

Mikiさん、こんにちは。
それにしても、すごい肉の「塊」ですねぇ^^
これをご家族3人で食べちゃうんですよね?
うふふ、食欲もすごいや。
健康的で、気持ちいいです。
僕は最近肉系の料理を楽しんでいないので、久し振りにレアのステーキが食べたくなりましたよ。

英国と仏って、昔から仲が悪いんですね。
まぁ、日本とアジアの国々も決して仲が良いとは言えない状況ですが…。

サーロインの語源、なるほど…です。

Miki Bartley さんのコメント...

Pharyさん、おはようございます。
お返事が遅れてしまいました、ごめんなさい。
そう言って頂けると、とっても嬉しいです。
ロンドンにはたくさんのガイドがいるので、やっぱり自分らしさを出すのに一番気を使います。
最近は何処の博物館や美術館にもイヤフォーンガイド(番号を押して説明を聞くタイプのもの)が設置されているので、誰でも知っていることや、ガイドブックに書いてあることを言ってもあまり意味がありません。
それよりも、その季節に応じた話題とか、特定のクライアンツに応じた話題を出すように心がけています。
Pharyさんがロンドンに来てくれたら嬉しいです。
ひらめの活け造りをご馳走します(笑)
いつか来てくださいね。

Miki Bartley さんのコメント...

NOMOさん、おはようございます。
さすがにこれだけ大きいと、少し残します(爆)
ローストビーフは、次の日に冷たいまま食べても美味しいです。
極薄く切って、サンドウィッチにしたり、たたきみたいに大根おろしとポン酢で食べても美味しいし。
お野菜と炒めるときもあって、残っても大活躍です。
イギリスとフランスは百年戦争があったので、それ以来けんかしたり仲直りをしたりの繰り返しです。
同じ王様が治めていた時もあったんですけどね。
言葉にもそんな歴史が感じられるものがたくさんあります。
そのうち記事にしますね。