2008年10月30日木曜日

ハロウィーンのランタン

ハロウィーンのランタンを作りました。
かぼちゃはスーパーマーケットで買って配達してもらいました。
だって、重いんだもん。
4ポンドくらいでした。
左の小さな器具は、数年前買ったハロウィーンかぼちゃセットに付いていた物。
便利なので毎年使っています。
まず鉛筆でどんな柄にするか書いてから、実際に作業を始めます。
やっているところを桃太郎君に撮ってもらいました。
おうちにいるときは、こんなラグビーシャツとか、Tシャツ姿です。
なんか麺棒とか、後ろにゴチャゴチャ。出来上がってろうそくを入れたらこんな感じです。上手にできたでしょう?
居間の暖炉の前に飾ることにします。
桃太郎君はお菓子をもらいに外へ出るのは「子供っぽいので!!」去年からやっていません。
明日は夕方お散歩したら、たくさんのチビッコ魔女や悪魔に出会えます。

2008年10月28日火曜日

Savile Row

桃太郎君はハーフタームでお休みです。
ティムちゃんがセヴィル・ロウにアポイントメントがあったので、二人でついていくことにしました。
セヴィル・ロウはピカデリーサーカスの近くで、仕立て屋さんの並んでいる通りです。
日本語の背広という言葉はセヴィル・ロウの訛ったものといわれています。
ロンドンでは通りの名前がある職業をさす場合があるのですが、セヴィル・ロウにアポイントメントがあるということはスーツの仕立ての採寸や仮縫いをしに行くということ。
因みにハーリーストリートにアポがあるといえば、病気。専門医が並んでいるからです。
フリートストリートなら新聞社、ジャーミンストリートなら紳士用品店、パルマルは紳士クラブといった具合です。

地階では作業しているお店もあります。ティムちゃんの行きつけはこんな感じ、おしゃれです。
ここで売っているスーツはとても派手なので、とてもじゃないけど着られませんが、仕立てなら地味な風にもしてくれます。
そして、裏地はショッキングピンク、とかね。
その後は桃太郎君のお洋服を探してぶらぶらコヴェントガーデンをショッピング。
お昼ごはんはチャイナタウンで食べました。
私、チャイナタウンは安っぽくって汚いので嫌いなんですが、ティムちゃんが美味しいところがあるっていうのでついていきました。
この写真は通りがかりの別のお店です。

私たちが入ったのはMr Kongというレストランでライルストリート(Lisle Street )の21番地です。
美味しかった。
豪華さは全くなかったけれど、味はナカナカ。
前菜にスープ、ホタテとレイザークラムの蒸し物、そしてクリスピーダックを頼みました。
ワインとミネラルウォーターとオレンジジュースで65ポンド。
安い。
お手洗いもきれいだったしお勧めします。

2008年10月27日月曜日

Pheasant

雉肉のお料理。
土曜日のリッチモンドのファーマーズマーケットでティムちゃんが胸肉を買ってきました。
前にも書いたんだけど、Gameの短所の1つは食べにくいことです。
でもこんな風に切り身だと、お料理だって楽だし、食べるのも楽チン!
まだシーズン初めということもあって、とっても淡白でした。
ちょっと味の濃いチキンって感じかな?
フライパンで1-2分(ティムちゃんが)焼いただけ。
とーっても美味しかった。
付け合せはマッシュポテトと黒キャベツです。

グーグルでPheasantを調べたら、日本語では雉、国鳥・・・。
てっきり日本の国鳥って鶴だと思ってた。
食べちゃったけど、イギリス産だし、いいよね。

2008年10月26日日曜日

カワヒメマス


昨日の夜、近所に住むお友達から電話がありました。
「釣りに行ってグレイリングがいっぱい捕れたんだけど、いる?」
グレイリングなんて聞いたことがなかったんだけど、日本語ではカワヒメマスって言うそうです。
そっちも聞いたことない・・・。
グーグルで泳いでいる写真を見つけました。

おうちに持ってきてくれるって事だったんだけど、そんなに遠くないのでティムちゃんと桃太郎君に取りに行ってもらいました。
下処理はしてくれていたので、そのまま冷蔵庫に入れて、今日のお昼ご飯にしました。
はじめは3枚におろしたんだけど、小さな骨が結構あるので骨をとるのにすごく時間がかかってしまいました。
小骨に慣れている人は気にならない程度の細いものですが、桃太郎君もティムちゃんも骨が苦手です。
切り身にして軽く塩コショウをしてフライパンで焼きました。
白身で締まっていて、とっても美味しかった。
川魚なので、処理している時はヌメリがあるけど、臭みはそれほどありませんでした。
もし気になるのなら、かんきつ類の皮を摩り下ろすとか、いろいろ手はあると思います。
私と桃太郎君はご飯でいただきましたが、ティムちゃんはマッシュポテトで食べました。
食べ終わってからお料理の写真を撮り忘れたことに気がつきました。
ま、いいか。

2008年10月25日土曜日

ポークのサンドウィッチ


バートリー家で人気の、週末のお昼ご飯。
テレビでフットボールの試合なんかを見ながら、簡単に手で食べられるもの。

サンドウィッチはサンドウィッチ伯爵が博打をしながら片手で食べられるもの、ということで始まりました。その時はローストビーフが挿まれたわけですが、我が家の人気メニューはローストポークです。
サンドウィッチの具にはいつも食べるロインではなくって、レッグがお勧め。
このお肉は1kg弱ですが、210度のオーヴンで1時間半焼きました。


その間にパンも焼きます。
強力粉だけではなく、薄力粉を半分ほど混ぜて、軽く焼いたパン。

バターを塗って、
お肉を乗せて、
アップルソースを乗せて、

スタッフィングを乗せて、
とっても美味しかった。



お肉は殆どなくなってしまいました。
バートリー家の食欲、恐るべし。

2008年10月22日水曜日

イギリスの成績表

この写真はクラスと名前は消しましたが、本物の桃太郎君の成績表。
名前を消す意味があるのかどうかは別にして、とりあえず本人の希望なので。
これまで成績を表すのは、努力も達成度も両方数字だったのに、今学期から達成度はアルファベットに変わりました。
これは来年受けるGCSEという全国統一試験のために評価をわかりやすくしているのが理由だそうです。
しかし桃太郎君、完全に文系の成績です。
将来何をしたいのかなぁ?

イギリスの学校は日本との違いがたくさんあります。
まず歴史が違います。
イギリスでははじめに大学ができました。
大学へ行ったのは、教会で出世できるように、神様についてのお勉強が必要だったからです。
聖書を読むためにラテン語やギリシャ語も必要です。
はじめは有名なお坊さんの下に、各自弟子入りをしましたが、そのうちもっとその規模を大きくした方がお互い便利だろうということで「カレッジ」が登場します。
というのは先生であるお坊さんが留守や病気のときに、代わりがいないと困りますし、先生の方もばらばらに弟子を取るよりは、何人かで責任を分担した方が効率がいいからです。
カレッジというのはチャペルと図書室と寮で成り立った共同体だと思ってください。
そして大学はそのカレッジの集合体です。

有名なオクスフォードではマートンカレッジが1264年、ケンブリッジではピーターハウスカレッジが1284年の設立といわれています。
ともに裕福だったお坊さんが作りました。

そのうち「カレッジに入る前にある程度のお勉強をいておいたほうがいいんじゃないの?」ということでパブリックスクールができました。
パブリックということは一般に開かれた、という意味で、公立という意味ではありません。
イギリスのパブも同じ意味です。
時々、「イギリスではパブリックが私立でプライベートが公立」といった、訳の解らないデマカセを読んだり聞いたりしますが、そんな事実はありません。
ということでパブリックスクールは13歳から18歳までの男の子の学校として始まっています。
そしてやはりチャペルが重要な位置を学校の中で占めているのです。
パブリックスクールにははじめからその目的(College)で始まったタイプのものと、教会付属の学校(School)から変化したものの2種類があります。
前者の代表がWinchester Collegeで創立1382年。
後者の代表はWestminster School、創立は1560年ですが、その前身の学校は1179年とという風に開きがあります。
桃太郎君の学校もウエストミンスター校のように元は教会付属校で450年以上の歴史がありますが、今では礼拝の義務はなくなりましたし、英国国教会信者以外の生徒もいます。


時代が下ると今度は「パブリックスクールの準備が必要」となって、その名もプレパレートリー(準備)学校というのができるわけです。
これは子供を入れたい時期はいろいろなので、入学時期よりも13歳に終わるというのが特徴です。

公立の学校が小学校、中学校と低年齢から上がるように発展してきたことと、私立の準備という感覚の発展の違いは今でも学校のシステムの歪として残っています。
何歳で何年生、というのは公立か私立かで変わってきます。

2008年10月20日月曜日

聖エミディウスのいる受胎告知


この作品は「聖エミディウスのいる受胎告知」という名前で、カーロ・クリヴェッリ(Carlo CRIVELLI)というベネチアの画家が1486年に描きました。
イタリアのアスコリという町の、サンシルベストロ教会のための祭壇画です。
このリンクでナショナルギャラリーのこの絵画のズームを見ることができます。
この部屋には同じ画家による作品が幾つか並んでいて、どれも宗教がテーマですから、日本からの観光客はただ通り過ぎていく人が大部分です。
タマにこの絵のインフォメーションが載っている、小さなパネルに目を向ける人もいますが、タイトルと年代以上に深く読む人は殆どいません。

教会に絵を掛けたのは、飾るためではなくて文盲の人たちに福音書を理解させる手助けの為です。
教養とは無縁の人々に、キリスト教とは何か、なぜ教会が大切なのかを教えようとしました。
教会に入ってくる収入は、人々からの税金や寄付、諸手続きの費用、時代によっては免罪符の売り上げなど、全て信者から入ってきます。
つまり「宗教画は教会の広告みたいなもの」だと思って差し支えありません。
だから現在の私たちがテレビのコマーシャルや街中のポスター、ショーウインドウや新聞広告を見ることと基本は同じなのです。

もちろん私はキリスト教をバカにしているわけではありません。
宗教自身とと宗教画はまったく別のものです。
そして私が今ここで書いているのは、16世紀までの宗教画のことです。
それ以降は個人の収集や投資目的、個人的な礼拝のための宗教画も珍しくなくなりますが、16世紀までの宗教画は一部の例外を除いて、その殆どが教会や修道院のために描かれています。

どんな商品をどの客層にアピールするか、広告会社のクリエーターはマーケティングにも時間を掛けます。
宗教画も同じ。
タレントの人気度や地方限定版の商品など、考えなくてはいけないことは山のようにあります。
商品だけではなくて、会社の総合的なイメージも広告では大切。
最近はイメージ優先で、いったい何の商品を扱っているのかわからないといった広告もあります。
宗教画も同じ。
宗教画を描いた画家たちは、フリーランスの広告クリエーターたちです。
たまには会社経営の大きなところもあります。これは工房と呼ばれました。

クリヴェッリはフィレンツェで流行っていたような、やわらかいイメージではなくて、どちらかというと厳格さを前面に出しています。
隣の部屋がフィレンツェ絵画ですから比べてみると面白いと思います。
受胎告知というのは、新約聖書からの引用で、大天使ガブリエルが処女マリアに「あなたが神様の子供を身ごもりました」とお知らせする場面です。

キリスト教で大切な福音書のエピソードが幾つかあります。
その中でも特に大切なことは3つ。
1、マリアの懐妊が汚れのないものであるということ。
2、キリストが人々の罪をかぶるために処刑されたということ。
3、キリストが復活したこと。

「聖エミディウスのいる受胎告知」はそんなに大切なシーンなのに、かなり俗っぽいところが私は大好きです。
この作品は人物や町の様子、ディテールに凝っているので、宗教画だとは思わずに、風俗画として観るとたくさんの面白さが発見できます。
今回は説明は省きましたが、シンボルがたくさん出てくるので、そちらから楽しむのも手です
私はアスコリに行ったことはないのですが、町の様子はいまだにこの絵そのままなんですって。
グーグルで町の写真を見つけました。
ホントにそのまま雰囲気が残ってます。
アスコリは1482年にローマ法王シクストス4世から町の自治権を認められました。
その通知が3月25日、受胎告知のお祭りの日だったので、この日がアスコリにとって特別な日になったそうです。
イタリア人って面白い。
なんでも自分たちに都合のいいように変えちゃうのはお手の物。
マリア様はいつの間にかイスラエルからイタリアのアスコリという町にお引越しをしてきたみたいです。
彼女は婚約をしていて、花嫁道具になるいろいろな雑貨類が寝室に所狭しと並んでいます。
実家はどうやら随分と裕福なようで、寝台を見ても刺繍の入ったシーツやクッション、カーテンも豪華です。
天井のパネルの見事さ。
王侯貴族でも、これだけのものをこの時代に揃えるのは大変だったろうと思います。
全体に占める主要人物の割合だって、ガブリエルもマリア様もちょっと小さくないですか?
この絵では町の様子にクリヴェッリの情熱が奪われてしまっています。
大天使ガブリエルの隣には、この町の守護聖人「聖エミディウス」
彼が手にしているのはアスコリの町のモデルです。

この絵を見ていると、せりふが聞こえてきます。

ガブリエル「マリアよ、そなたの・・・」
聖エミディウス「すいません、ちょっといいですか?」
ガブリエル「・・・忙しいんで、あとに・・・」
聖エミディウス「イヤ、そんなに時間はかからないんで」
ガブリエル「いい加減にしてください、この方に神の・・・」
聖エミディウス「ローマ法王様からのお使いなんですよ」
ガブリエル「こっちは神様からのお使いなんです」
聖エミディウス「この町にとってはこっちの方が大事なんですから」
ガブリエル「・・・」
マリア「この姿勢って、結構疲れるんですけど・・・」

町の人たちが見ているのは聖エミディウスなのか、ガブリエルなのか、疑問に思えてきたでしょう?
神様の聖なる光は聖エミディウスを無視してマリアに注がれています。
でもアーチの上では、しつこく自治に関するローマ法王からのお知らせを読んでいる人が登場します。
伝書鳩(檻に入れられている)が見えるでしょう?
こんな俗っぽいところでちゃんと受胎できたか、心配になってしまいます。

この絵は「無原罪の御宿り」同じ画家です。
マリア様は罪なくしてキリストを受胎しただけではなく、そのうちお母さんのアンさんもヴァージンでマリア様を身ごもった、という考えが始まります。
全ての宗派が賛同した考えではなかったので、これは広告の必要がありました。
ナショナルギャラリーにある、有名なダヴィンチの岩窟の聖母はその宗派の教会のために作られました。
「やったこと、あったこと」を描くのはそれほど難しいことではありませんが、「やらなかったこと、なかったこと」を描くのは至難の業です。
無原罪の御宿りは、無垢を表すユリとマリアを表すバラが描き込まれていて、大概それとわかります。
因みにダヴィンチの絵は未完成のまま祭壇に掛けられました。

2008年10月14日火曜日

Rules


「イギリスらしいレストラン」に行きたい、というお客様に私がお勧めするのが、コヴェントガーデンのルールズです。
ここは1798年創立で、ロンドンで一番古いレストランだといわれています。
宿屋でご飯を出したり、会員制のクラブでご飯を出すところはそれ以前にもありましたが、「レストラン」というカテゴリーでは初めてらしいです。

「イギリス料理はまずい」というデマは、今では言った本人が馬鹿にされるのがオチです。
美味しいところはいくらでもあります。
ただ残念ながら「安くて美味しいところ」というのは殆どないのが現状です。
ここも決して安くはありませんが、「イギリス」というのを体感できるところです。
給仕(ウエイターというよりも、ここの人たちにはこの名前がぴったり)の身のこなしとか、お料理の種類、お店の内装、どれをとっても「イギリス」です。

イギリス料理は季節があります。
旬のものを食べるのが、どこの国でももちろん一番いいわけです。
それから各レストランの名物料理。
ここはローストビーフが名物です。
2人で注文しないといけないのですが、是非オーダーしてください。
こんな感じで出てきます。それをお皿に取り分けて・・・。
茶色い大きなのはヨークシャープディング。
ここは付け合せのホースラディッシュ(西洋わさび)も美味しかった。

お任せプラン


金曜日にミュージカル「ZORRO」を観てきました。
金・土・日と3日間、「芸術の秋、ロンドンを楽しむ行程をアレンジして欲しい」というリクエストだったので、観光だけではなくレストランや劇場の予約なんかも「お任せ」で手配させてもらいました。
「お任せ」というのは嬉しいんですけど、責任重大です。
こちらでいくらいいプランだと思っていても、お客様の好みやスタイルで受取られ方はいろいろですからね。

私がVIPのお客様を主にご案内させていただくようになった当初、よく担当の方から言われたことですが、一概にロンドンのガイドは「怖い人が多い」そうです。
ガイドをしている時にお客様が劣等感を感じてしまうんですって。
イギリスには観光ガイドの資格制度がありますから、ガイドのプライドは他の国に比べるとすごく高いと思います。
観光に意欲を燃やして来られる方は知識に対して欲張りな場合もありますが、お仕事でロンドンに来られた合間にロンドンを見てみようかな程度の期待度だと、バランスが合わないそうです。
これってすごくよくわかる・・・。
「観光がアレンジされているなんて思ってもみなかった」ってお迎え先でいわれたことも何度もあります。
観光名所を見るよりも、イギリスの現在というテーマで話を聞く方がいいなんて、結局カフェやパブで半日お話しをしたり、とかね。

Zorroは怪傑ゾロのミュージカル版です。
ロンドンでは2008年の6月末に始まったばかり。
Garrick劇場で公演です。
曲はジプシーキング。
フラメンコのショーに「ちゃんばら」を加えた感じで、時間があっという間に過ぎていきます。
雰囲気もあって、お勧め。
英語がわからなくてもストーリーを追うのは難しくありません。

2008年10月6日月曜日

STATUEPHILIA


STATUEPHILIA
造語なんですけど、こうやって書くと何のことかと思いますよね。
大英博物館でやっている特別展示のタイトルです。
STATUEは彫像のこと。
-PHILIAというのは簡単に言えばマニアのことです。
辞書で引くと病的愛好って書いてありますけど、ちょっとね。
最近ブログがあまりにも「食欲の秋」しているので(笑)「芸術の秋」にするために早速行ってきました。


まず正面入り口から入ったら、いきなり目の前にこの作品。英国には見ただけでどこにあるかスグにわかるという有名なランドマークがいくつかありますが、これの超巨大なものがイギリスの北東、ニューカッスルにあります。
正確にはGatesheadという地名で、ニューカッスルのタイン川を挟んだ南側です。
これ(ニューカッスルにあるほうの作品)は北の天使と呼ばれていて、作者アントニー・ゴムリーの代表作品です。
大英博物館の中には古代の王様や神様の像がたくさんありますが、「人間のカタチをしていながら人間ではない」それらのものを抽象的に現しているのがこのCase for an Angel 1です。
ゴムリーは「彫刻家になったのは子供の頃から親しんできた大英博物館の展示物のおかげだ」と言っています。

お次はギリシャのパルテノン神殿の展示の方向に進んでください。
エーゲ海に面して立っていたモニュメントに囲まれた部屋にいきなり金の像。
すごい格好をしていますが、よく見ればモデルのケイト・モス。タイトルはギリシャ神話から「セイレーン」
船乗りたちを惑わせて、その命を奪う恐ろしい魔物です。
作者のMarc Quinnは70年代に大英博物館であったツタンカーメンの特別展示を意識しているそうです。
ケイトモスは「最も美しい女性」とよく形容されます。
美の定義と合わせて、セイレーンがその歌声を響かせた代わりがこのポーズなのでしょうか・・・?
結構考えさせられます。

グレイトコートから北出入り口に向かっていくと、生と死のギャラリー。
イースター島のモアイ像の前に横たわっているのがロン・メックのマスクII という作品です。
これは自画像らしいのですが、本人はこの作品に関してはノーコメントだそうです。

次の作品はエジプトの部屋にあるものなんですが、今回の展示で私は一番興味深いと思いました。
棒の先に動物の死骸らしきものがまとめられています。
制作はティム・ノーブルとスー・ウェブスター。何これー???
と思ってよく見れば、光が当たっているので、影ができています。
顔だ!!でも棒に刺さったその影は、まるで中世に処刑された首のさらしものみたい・・・。
見る方向でまるで違った結果になるのが面白い。
飼っているネコがいろんな死骸を持って帰ってくるので、それで作ったそうです。
「げっ、猫飼いたくない」と思ってしまいました。
猫ちゃんを飼っている人、どう思いますか?


最後は最初の写真のズームアップ
デミアンハーストです。
この部屋はジョージ3世の図書館だったんだけど、今はエンライトメント・ギャラリーと呼ばれて、「啓蒙の時代」というテーマで展示物が並んでいます。
この頭蓋骨はみんなプラスティックだそうだけれど、こんな風に並べたら収集に対する醜悪に対して考えてみたくなりました。

この特別展示は2008年10月4日から翌1月25日まで。
大英博物館には紀元前のモノも含めて彫像がたくさんあります。
この特別展示では、現代の最先端の芸術家が大英博物館のコレクションに反応するカタチになっています。
私はこのブログでもよく取り上げることですが、美術館や博物館では何と何を一緒に見るか、何の後に何を見るかといったことがとても大切だと思います。
そういったことを実感できる、とても質の高い展示になっていますので、これはお勧め。
ぜひ見に行ってください。

2008年10月5日日曜日

イギリスの秋の味覚

イギリスの秋の味覚は色々ですが、野鳥類もその1つ。
イギリスではGAMEとよばれます。
GAMEは野鳥だけではなく、猟で捕ってくるものの総称といった方がいいかもしれません。
野のものは捕ってもいい季節が決められていて、殆どが秋に解禁となります。
またこういったお肉にはコッテリとしたソースが合うのですが、そんな材料になるきのこ類も秋は豊富です。

私はGAMEは食べるのは好きですが、触るのは好きではありません。
だからお料理はティムちゃんにお任せです。

この鳥はPartridge、辞書にはヤマウズラと訳が載っていました。
小さな鳥なので、オーブンには20分から25分くらい。
上に乗っているのはベーコンです。
食べるのには結構コツが要ります。
レストランでこんな状態で出てきたら、遠慮なく、食べやすくしてくださいといって差し支えありません。
そうしたら普通はキッチンで胸肉2枚と腿2本に解体(?)してくれます。
胸肉はナイフとフォークで食べられますが、腿は小さな骨を持って食べるとうまくいきます。
英語で味を表す言葉が幾つかありますが、GAMEY(ゲイミーと発音します)というのはクセのあるお肉の味を表現する言葉です。

2008年10月4日土曜日

幸せな生活

なんとなく凝ったものを作りたくなりました。
ストレス解消法の記事を読まれた方は、ピンときました?
朝、ティムちゃんからちょっとムカつくことを言われたんです。
私は黙って耐え忍ぶ「大和撫子タイプ」ではないので、思いっきり言い返しましたけどね。
ところでああいった日本女性のイメージはいったいどこから来てるんでしょうね?
私の友達には、従順なタイプの日本女性は1人もいません。
知り合いには何人か、何をされても黙って耐え忍ぶタイプの女性が何人かいますが、そっちの方が多数派なのかな?
ティムちゃんはいつも「きっとみきちゃんの先祖にアルゼンチンの血が入っている」と言います。
誰の血が入っているかは知らないけど、日本女性をなめるんじゃないわよ。

幸せな生活というのは人によって様々だけど、私の場合はいくつかそのためのポリシーがあります。
「我慢しない」
人を思いやることと、自分が我慢することは、全く次元の違う話です。
「やるからには楽しむ」
どうせ同じことをするなら楽しまないと!
効率も違うし、結果だって違います。
「シアワセは見つける」
幸せはどこにでもあります。
見つけることに慣れればどんなところにも、どんなことにでも見つけられます。
これは訓練次第。

上の写真は何かというと「餡パン」
小豆を煮てあんこを作りました。初めて作ったけど、餡の包み方に工夫の余地が見られます。
私は実は餡パンは嫌いなんだけど、桃太郎君が好きなので。
桃太郎君「おいしい」って。
シアワセ。

小豆は数時間水につけてから2回、30分くらいずつ煮ます。
その度に煮汁は捨てます。
水を切った小豆に、好みの量の砂糖と、塩ひとつまみを加えてかぶるくらいの水と一緒に煮崩れるまで煮ます。
煮汁が殆どなくなったら、スプーンで練って水分を飛ばすとできあがり。
軽めのパン生地(強力粉と薄力粉を2:1の割合で作る)で包んで30分置いてから215度で20分焼いたら出来上がり。

2008年10月1日水曜日

ターナープライズ

ターナープライズの候補者4人の作品を見に、テイト美術館に行ってきました。
ターナープライズというのは1980年代に始まった賞で、これから見込みのある(と思われる)新しい芸術家に贈られる賞です。
この賞にターナーの名前が付けられているのは、彼が生前色々な批判を受けていたにも拘らず、現在では大御所の仲間入りをしているからです。
ということで、ターナー賞は普通私たちが芸術だと思っている「伝統的な美しさ」からはかけ離れていたり、理解しがたいということもあって、毎年論議を巻き起こします。
地階のターナー賞候補展示の入り口。本当は写真をここに出したいんだけれど、禁止だったので撮りませんでした。
ディスプレイが2点、フィルム上映が2点。
ここからBBCのリンクに飛びます。
私はこの手のものはあまり好きではありません。


新しい芸術全てを毛嫌いしているわけではありません。
最近のものでも好きなものはたくさんあります。
例えば大英博物館にある「ゆりかごから墓場まで」これは簡単に言うと、この国の平均の薬の消費を並べたものです。
よく博物館でこの作品をご案内しますが、自分と対比させて、考え込むことの出来る深さを持っています。
この作品を見るときに、私は作者のことを考えたことはありません。
ところがターナープライズに出てくるものは、その作者の影というか、匂いというか、そういったものがチラチラするので作品に入り込むことが容易ではないのです。

単純に面白いというか何これ?みたいなものも、たまには楽しいんですけどね。
例えば今テイト美術館では、ランナーが美術館の真ん中を走り抜けています。
写真に撮ろうとしましたが、携帯電話のカメラなので、シャッターが遅くって、3回ほど撮り逃しました。
ようやくパチリ。
ぶれてるけど、走ってるって感じが出てるでしょ?

ターナープライズの展示は9月30日から来年の1月18日まで。
テイト美術館は無料なんですが、この展示は有料(7ポンド)です。